第1図は100手目△3六同玉の局面。感想戦でも多くの時間を費やして検討されました。その検討内容は▲4七角(1)△同歩成▲同金△3五玉▲3六歩△3四玉▲4五銀△3三玉▲2三歩成△同玉▲2五竜(参考1図)以下も手数は長くなるも、先手が良かったというものでした。
ところが▲4七角(2)△3七玉▲2五竜△4七歩成▲同銀に△3四角(参考2図)があったようです。守り駒がと金だけなので、受けなければならなそうなところで、攻めの催促とはちょっと気がつかない手。感想戦では△4四角なら▲2九金で受けなしということでした。
参考2図から▲4八金打△2八玉▲3八金△1九玉▲2七竜は△1六桂(参考3図)として、次いで▲3九金には
△7八角成▲同玉△4五角の王手竜取りがあります。この△7八角成▲同玉△4五角の筋が△3四角の狙いです。井上九段に見解をうかがったところ「△3四角の局面は寄ってないように思います」とのこと。すると、第1図は後手が良かった可能性があります。
ただし、「現実的には(▲4七角に対して△同歩成▲同金から玉が)下がるんですよね。いい勝負そうだから下がりますよね」と渡辺竜王が感想戦で話していたように、はっきりした勝ちを読み切らないと△3七玉は危険なので指しにくい面があります。今後の研究が待たれます。いずれにしても、実戦的には▲4七角は勝負手でした。
カテゴリ「第25期竜王戦七番勝負第3局」の記事
ご観戦ありがとうございました
感想戦(2)
感想戦(1)
終局直後
―― かなり際どい終盤だったように思えたのですが。
渡辺 そうですね。ちょっと最後まで……。
―― 寄せられる可能性があったと?
渡辺 中盤以降はずっとその可能性がありました。
―― 相当、苦しいというか危険な将棋という印象だったのですか?
渡辺 そうですね。後手番なので仕方ないのですが、それにしても守勢になってしまったので。
―― 最後はどのへんで勝ちだと?
渡辺 △3三桂(104手目)と跳んで入玉がようやく見えてきたので。入玉かどうかは別にして自玉が寄らなくなったので。
―― 防衛にあと1勝ですが。
―― 控室では追い詰めたという声もありましたが?
丸山 ちょっと桂跳ねがまずかったですね。▲2五桂(57手目)が。▲3八金(89手目)△3六歩でちょっと足りなくなったかなと。
―― 序盤からかなり工夫されていて感心したのですが
丸山 こういった指し方もあるかなと思っていたので。
―― 作戦的にはまずまずだったのでは?
渡辺竜王勝利
渡辺明竜王に丸山忠久九段が挑戦する第25期竜王戦七番勝負第3局は18時54分、106手で渡辺竜王の勝ちとなりました。消費時間は丸山7時間59分、渡辺7時間52分。第4局は11月20・21日(火・水)、滋賀県近江八幡市「ホテルニューオウミ」で行われます。
大逆転か
▲1四角を見て加藤九段は「あれれれれ、なんで4七から角を打たなかったんだろう。これは大逆転です」と話す。渡辺竜王は▲1四角にスッと2筋の歩を取り払った。
同じ頃、ニコニコ生放送の中村修九段からも「大逆転」とのフレーズが聞こえた。
丸山九段優勢
※棋譜コメントより抜粋
△2五金▲3六歩△同玉に▲4五銀や▲4七角が検討されている。▲4七角は△同歩成なら▲同金△3五玉▲3六歩△3四玉▲4五銀と押し返せる。これは先手が勝ちそうだ。▲4七角に△3七玉も▲2五竜から寄せられそうだ。
■ニコニコ生放送■
中村修九段>これは金合い以外では▲2三歩成ですので、△2五金とします。しかし▲3六歩△同玉に▲1四角で寄りでしょう。
2五に金合いは先手が勝ち筋。控室では△2五香と安い駒を合駒する手はどうかと言われている。△2五香に▲4五角や▲2三歩成がが検討されている。