カテゴリ「第34期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2021年8月 6日 (金)

Img_2447(八代七段の後ろから新聞解説の村田顕六段と西川和六段が見守る)
Img_2437
Img_2448

Img_2451(藤井王位・棋聖は表情を緩める場面もあった)

Img_2431
挑戦者決定三番勝負第1局は、8月12日(木)、東京・将棋会館で行われます。
以上で、本局の中継を終了します。ご観戦、誠にありがとうございました。

Img_2416(快勝で挑戦者決定三番勝負進出を決めた藤井聡太王位・棋聖)

■勝った藤井聡太王位・棋聖の談話

── 一局を振り返って。
藤井 序盤でこちらが△6五歩(26手目)と位を取って、その位を生かせるかどうかポイントだと思っていました。本譜は、そのあと△6四角(32手目)を拠点に攻めていける展開になったので、流れはいいのかなと思っていました。

── 挑戦者決定三番勝負への進出が決まりました。
藤井 竜王戦で挑決まで進めたのは初めてなのでうれしく思います。第1局がすぐにありますので、それに向けてしっかり状態をよくしていければと思います。

── 永瀬拓矢王座の印象は?
藤井 永瀬王座とは普段からVS(1対1の練習将棋)で教えていただいているのですが、序盤の作戦が非常に豊富で、中終盤でも気づきづらい好手をよく指されている印象を受けます。

Img_2419(敗れた八代弥七段)

■敗れた八代弥七段の談話

── 一局を振り返って。
八代 ちょっと押されている時間が長くて、観ていただいている方に申し訳ない内容になってしまったなと思っています。

── 不本意な内容でしたか?
八代 まあでも、いまはこれが実力なのかな、というような気もしているので。

── 今後に向けての抱負を。
八代 この竜王戦では、決勝トーナメントに初めて出させていただいたのですが、やはり注目される舞台はありがたいことだな、と改めて感じた次第です。この経験を生かして、またこの場に戻ってこられるように頑張りたいなと思っています。 

Img_2425(インタビューのあと、感想戦が行われた)

書き起こし=夏芽記者
撮影=武蔵

投了図

決勝トーナメント準決勝▲八代弥七段-△藤井聡太王位・棋聖戦は、96手で藤井王位・棋聖が勝ちました。終局時刻は20時19分。消費時間は▲八代七段4時間11分、△藤井王位・棋聖3時間47分。

勝った藤井王位・棋聖は、挑戦者決定三番勝負に進出です。

2021080684藤井王位・棋聖は角取りを放置して、飛車を取りました。▲7三桂成△同金に▲1八香と手を戻すと、△5七桂が厳しい王手。以下、(1)▲5七同銀は△同歩成▲同金△7七歩成で攻めが止まらず、(2)▲7九玉は△6九飛までの詰み。(3)▲5八玉も△3九飛(変化図)が詰めろ銀取りで受けが困難です。藤井王位・棋聖が勝ちに近づいているようです。
2021080690Img_2318(藤井王位・棋聖が踏み込んだ)

2021080676△6七歩は、「焦点の歩」と呼ばれる手筋で、▲6七同銀は△7七歩成で後手優勢。左右どちらの金で取っても、△5五桂で手が続きます。先手は7筋を突破されずに、被害を最小限で食い止める手段を考えたいところです。19時35分、八代七段の残り時間がまもなく1時間を切ります。記録係の机上に残り時間の早見表が用意されました。

Img_2265(藤井王位・棋聖の攻めを受け止められるか)

2021080670夕食休憩から▲6六歩に△7五歩と進みました。村田顕六段の解説どおり、▲同歩には△同飛が3五の銀取りと△7六歩の桂取りを見て厳しい一着です。
村田顕六段と新聞解説を担当する西川和宏六段は、「先手は3五の銀が浮いていて狙われやすいのが気がかりです。△7五歩は局面をよくしにいった手で、形勢はかなり後手持ちです」と見解を述べています。

Img_2414(西川和六段)

Img_2321(八代七段は苦しい情勢)

2021080668_218時、この局面で八代七段が34分考えて夕食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲八代3時41分、△藤井2時間55分。夕食の注文は藤井王位・棋聖がCoCo壱番屋のハッシュドビーフ、八代七段がやまがそばの肉なん定食(うどん)。対局再開は18時40分です。

Img_2410(ハッシュドビーフ)
Img_2412(肉なん定食、うどん)

2021080668棋士室では新聞解説を担当する村田顕弘六段が、初手から上図までを振り返っています。
「藤井さんの作戦が秀逸で、後手が早い段階から指しやすくなっていると思います。八代さんは▲3五銀(43手目)から攻めを目指しましたが、この動きは脇が甘くなりやすく、△6四角(46手目)の反撃で少し困っているのかもしれません。▲7六歩に△5六歩(上図)が感触のいい伸ばしです。角の利きを通し、次に△7五歩▲同歩△同飛で、3五の銀取りと△7六歩の桂取りを狙えます」(村田顕六段)

Img_2402(村田顕六段)

2021080661先手は飛車が使いにくく、8筋を詰められており、手出しが難しい局面です。対して後手は、桂頭の隙を見て△7五歩とすぐに突きたくなる局面ですが、藤井王位・棋聖は腰を落とし、慎重を期しています。結果、7分の考慮で△7五歩と突いて桂を狙いにいきました。棋士室では、後手がやや指しやすいとの見解が示されています。
Img_2379(藤井王位・棋聖はここからの指し回しでペースをつかめるか)