カテゴリ「第34期竜王戦七番勝負第1局」の記事 Feed

2021年10月 9日 (土)

以上で第1局のブログ更新を終わります。
ご観戦いただきまして、ありがとうございました。
第2局は10月22・23日(金・土)の両日に京都市右京区「総本山仁和寺」で行われます。

Dsc_4860 

Dsc_4854 

Dsc_4828 

Dsc_4822 

Dsc_4812 

Dsc_4844

終局直後に主催者インタビューがありました。

Dsc_4771 

Dsc_4776(苦しい将棋だった藤井三冠。一瞬のチャンスをつかんだ)

――本局を振り返って。
藤井 △8六歩(30手目)から積極的に動かれて、そのあと△3四歩(36手目)に▲4六歩としたんですけど、▲8七金とかで強く戦うべきだったかもしれません。本譜は△3五歩(38手目)から△2四飛と回られて自信がない展開になってしまったと思います。

――封じ手のあたりはいかがですか。
藤井 飛車の配置が悪いので失敗したかなと思っていました。

――二枚飛車と二枚角で激しい戦いになりました。あのあたりは。
藤井 金が上ずってしまっている分、常に自信のない展開だと思っていました。

――どのあたりで手応えを感じましたか。
藤井 ▲7一飛(79手目)と打って攻め合いの形が作れたかなと思いました。

――よくなった局面は。
藤井 ▲3六玉(111手目)と桂を取って、こちらの玉がいい形になったと思いました。

――能楽堂での第1局で先勝したことについて。
藤井 能楽堂での対局ということで、普段以上の緊張感がありました。1勝することができたので、また次局以降も全力を尽くしたいと思います。

Dsc_4783(藤井三冠のインタビューの間、豊島竜王は視線を落としていた)

Dsc_4778_2 

Dsc_4789_2(質問に答える豊島竜王)

――本局を振り返って。
豊島 難しい将棋でした。そんなに自信はなかったです。歩損なのでどうだったのか。どこかで間違えているんだと思うんですけど、そんなにはっきりよくできる感じでもありませんでした。でも途中からちょっとずつ悪くなってしまったので……。均衡を保つ手があればよかったんですけど。

――二枚飛車を持ったあたりは。
豊島 飛車角交換になったあたりですか。よくわかりませんでした。何か手段がありそうだと思ったんですけど。

――能楽堂での公開対局でした。
豊島 集中して指すことができたと思います。

――第2局に向けて。
豊島 気持ちを切り替えて、また頑張りたいと思います。

20211009a123手で藤井三冠が勝ちました。終局時刻は19時25分。消費時間は▲藤井7時間56分、△豊島7時間59分。第2局は10月22・23日(金・土)の両日に京都市右京区「総本山仁和寺」で行われます。

34_1_98図から▲4五歩△3六桂▲3五歩。▲4五歩は玉のコビンを開ける手で怖さもありますが、これが最も効果的な攻めでした。△3五同歩は▲3四歩が厳しいため、実戦は△3三玉と逃げましたが、3筋の勢力争いは先手が制しそうな勢いです。

34_1_92高見七段は第4回ABEMAトーナメントで藤井三冠とチームを組みました。藤井三冠からは「自然に指してください」とアドバイスされたそうです。大盤解説会では、図の局面で自然な手は何か、と話題になっていました。
実戦は▲7九歩。▲3七玉も候補に挙がっていたようですが、鈴木大介九段は「指されてみれば自然」。自玉の安全を図るもので、時間のないこともあわせて考えれば実戦的な手といえそうです。

Dsc_4767(現地大盤解説会)

34_1_83

18時を回りました。先手の評判が上がっています。ただし、先手が勝ちになった、というわけでもありません。激戦の終盤になるかもしれません。図で残り時間は、▲藤井24分、△豊島31分。

Mnt1809(18時9分のモニター映像。豊島竜王は両手で首筋を押さえる)

34_1_751図から△7七飛成▲同銀△8九飛成に▲7一飛(2図)と進みました。飛車角交換から△8九飛成は、後手が勝ちにいった順ですが、▲7一飛が厳しい手のようです。次は▲6五桂のほか、▲5三角成△同玉▲5一飛成の強襲もあり得ます。飛車を打ち込んだことで9七角まで働く可能性があるのです。「先手の4七玉はとらえどころなく、妙にしっかりしています。▲7一飛は狭い場所に打つので見えにくい手でした」と松尾八段。

34_1_792図で後手は△6九角▲5八桂と合駒請求することはできますが、そのあとが難しい。たとえば△6九角▲5八桂に(1)△9九竜は▲8八銀と竜に当てられます。(2)△8二竜は▲2一飛成△3一金▲同竜△同銀▲4五歩△3六桂▲同玉と進んだとして、次に▲5四桂△同歩▲3一角成の攻めがあります。

Dsc_4748(控室では▲7一飛以下の検討が進められている)

Dsc_4754(継ぎ盤では、先手が後手玉を追い詰める変化も出てきた)

34_1_70図の局面で藤井三冠が手を止めています。この一手にかけた時間は、すでに1時間を超えました。△4四桂は藤井三冠の読みの本線ではなかったでしょうか。現地の大盤解説場では高見七段が「▲6六金が自然です。それ以外は勝負に出る手という感じがします」と解説しています。仮に▲6六金のつもりだとしても、その後の△8八歩成を何で取るかなど、考えるべきことはいくつもあります。

Dsc_4297(本日朝の藤井三冠)

34_1_69前回の記事から図まではパタパタと進みました。ここで豊島竜王が再び時間を使っています。現地の大盤解説会では、中村修九段が「後手がよくなる手がありそうなんだけど……」と話しています。後手リードは変わりませんが、具体的な手をたぐり寄せるのは簡単ではないようです。先手玉が右に逃げる展開になれば、3八銀と4九金が美濃囲いとして働き、粘りが利きます。後手としては5八玉型のうちに決定打を放ちたいところです。

Dsc_4668(豊島竜王は後手番で勝利を手にできれば大きい)