カテゴリ「第34期竜王戦七番勝負第1局」の記事 
終局直後
終局直後に主催者インタビューがありました。
(苦しい将棋だった藤井三冠。一瞬のチャンスをつかんだ)
――本局を振り返って。
藤井 △8六歩(30手目)から積極的に動かれて、そのあと△3四歩(36手目)に▲4六歩としたんですけど、▲8七金とかで強く戦うべきだったかもしれません。本譜は△3五歩(38手目)から△2四飛と回られて自信がない展開になってしまったと思います。
――封じ手のあたりはいかがですか。
藤井 飛車の配置が悪いので失敗したかなと思っていました。
――二枚飛車と二枚角で激しい戦いになりました。あのあたりは。
藤井 金が上ずってしまっている分、常に自信のない展開だと思っていました。
――どのあたりで手応えを感じましたか。
藤井 ▲7一飛(79手目)と打って攻め合いの形が作れたかなと思いました。
――よくなった局面は。
藤井 ▲3六玉(111手目)と桂を取って、こちらの玉がいい形になったと思いました。
――能楽堂での第1局で先勝したことについて。
藤井 能楽堂での対局ということで、普段以上の緊張感がありました。1勝することができたので、また次局以降も全力を尽くしたいと思います。
(藤井三冠のインタビューの間、豊島竜王は視線を落としていた)
(質問に答える豊島竜王)
――本局を振り返って。
豊島 難しい将棋でした。そんなに自信はなかったです。歩損なのでどうだったのか。どこかで間違えているんだと思うんですけど、そんなにはっきりよくできる感じでもありませんでした。でも途中からちょっとずつ悪くなってしまったので……。均衡を保つ手があればよかったんですけど。
――二枚飛車を持ったあたりは。
豊島 飛車角交換になったあたりですか。よくわかりませんでした。何か手段がありそうだと思ったんですけど。
――能楽堂での公開対局でした。
豊島 集中して指すことができたと思います。
――第2局に向けて。
豊島 気持ちを切り替えて、また頑張りたいと思います。
藤井三冠が先勝
123手で藤井三冠が勝ちました。終局時刻は19時25分。消費時間は▲藤井7時間56分、△豊島7時間59分。第2局は10月22・23日(金・土)の両日に京都市右京区「総本山仁和寺」で行われます。
先手勝勢
△6七香成(図)で豊島竜王は一分将棋に入りました。藤井三冠は4分を残し、形勢も勝勢とみられてます。
先手がリードを広げる
図から▲4五歩△3六桂▲3五歩。▲4五歩は玉のコビンを開ける手で怖さもありますが、これが最も効果的な攻めでした。△3五同歩は▲3四歩が厳しいため、実戦は△3三玉と逃げましたが、3筋の勢力争いは先手が制しそうな勢いです。
自然に指す
夜戦へ
▲7一飛は逆転の一手か
1図から△7七飛成▲同銀△8九飛成に▲7一飛(2図)と進みました。飛車角交換から△8九飛成は、後手が勝ちにいった順ですが、▲7一飛が厳しい手のようです。次は▲6五桂のほか、▲5三角成△同玉▲5一飛成の強襲もあり得ます。飛車を打ち込んだことで9七角まで働く可能性があるのです。「先手の4七玉はとらえどころなく、妙にしっかりしています。▲7一飛は狭い場所に打つので見えにくい手でした」と松尾八段。
2図で後手は△6九角▲5八桂と合駒請求することはできますが、そのあとが難しい。たとえば△6九角▲5八桂に(1)△9九竜は▲8八銀と竜に当てられます。(2)△8二竜は▲2一飛成△3一金▲同竜△同銀▲4五歩△3六桂▲同玉と進んだとして、次に▲5四桂△同歩▲3一角成の攻めがあります。
藤井三冠が手を止める
再び長考
前回の記事から図まではパタパタと進みました。ここで豊島竜王が再び時間を使っています。現地の大盤解説会では、中村修九段が「後手がよくなる手がありそうなんだけど……」と話しています。後手リードは変わりませんが、具体的な手をたぐり寄せるのは簡単ではないようです。先手玉が右に逃げる展開になれば、3八銀と4九金が美濃囲いとして働き、粘りが利きます。後手としては5八玉型のうちに決定打を放ちたいところです。