2022年8月23日 (火)

囲み取材

広瀬八段の囲み取材の内容です。

――いまの率直な心境をお願いします。

広瀬 今日は途中で結構苦しくしてしまって厳しいかなと思っていました。今日勝てたことは運がよかったというのが率直な気持ちです。

――夕食休憩のあたりの形勢判断はいかがでしたか。

広瀬 そのあたりはまだ互角くらいと思っていましたが、駒損しているのでうまく手を作らないといけないと思っていました。そのあとの指し方がまずかった気がします。

――はっきり好転した、勝ちを意識したのはどのあたりでしょうか。

広瀬 飛車を取って(119手目)、銀を取って(123手目)一段飛車の攻めが結構厳しそうなのと、こちらの穴熊がわかりやすく詰めろがかかりにくい形をしているので、正しく指せば1手勝っていると思いました。

――3期ぶりの登場です。竜王のタイトルについて、どのような思いがありますか。

広瀬 最高峰のタイトルという思いが強いですし、実力者がタイトル戦に出ている印象もあります。

――藤井聡太竜王との対戦ですが、広瀬八段から見た藤井竜王の強さは?

広瀬 いまさら私が語ることではないと思いますが、より一層序中盤の研究が精度が上がって、終盤の強さは相変わらずです。序中盤で出遅れることが少なくなって、完成度が年々上がっているのが強さの要因だと思います。

――3期前に失冠してからは竜王戦の相性がよくなかったと思いますが、今期ここまで勝ち進めた要因はどのあたりにありましたか。

広瀬 ランキング戦のあたりも本局のように結構負けそうな将棋が何局かあって、最初の藤井猛九段戦も負け寸前までいっていました。ランキング戦から運がよかったということに尽きます。

――七番勝負まで若干の日にちがあります。どのように臨まれますか。

広瀬 これから考えますが、藤井竜王との番勝負を戦うのは初めてで光栄ですが、厳しい相手であることは変わりないので挑戦者の私が何とかシリーズを盛り上げないといけないと思っています。

――藤井竜王との初めての番勝負ですが、これまでの対戦では王将戦でも逆転劇がありました。これまでの対戦での藤井竜王の印象をうかがえたらと思います。

広瀬 最初は朝日杯の決勝戦でそのときは棋士になって1年くらいでしたが、王将戦の最終戦で当たってそのときは勝ちを拾うことになりました。ただ、年々、だんだん内容がこちらから見るとダメな将棋も多くて、最近だと勝負になっていない将棋ばかりです。藤井竜王が成長著しいところにこちらが対応できていないというところです。

――今期は挑戦至るまで「運がよかった」という話もありますが、結果として充実している印象も受けます。4期前に挑戦したときは爆発的に勝っていました。そのときと似たような印象も受けますが、いかがでしょうか。

広瀬 どうでしょうか、自分では好調とは思っていません。本局も途中で指し手が乱れたところもありますし、挑戦者決定三番勝負では第1局も終盤で乱れたところもありました。内容としては課題だらけで、このままではいけないと思っています。

――ご家族は観戦しているでしょうか。

広瀬 わかりませんが、子どもは寝ている時間なので。

――パパになって初めてのタイトル挑戦です。以前の挑戦時と違う感覚はありますか。

広瀬 前回の竜王戦から家族が増えたのは違ったところで生活も変わりました。大変なところはありますが、いい刺激になっていますし、家族のために頑張るようにしています。