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*第91期棋聖戦五番勝負第4局

2020年7月17日 (金)

一夜明けて(2)

記者会見の模様の続きです。

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―― 藤井棋聖の将棋を見ていると、相手が渡辺二冠や羽生九段のような大棋士であっても、そうでなくとも、またAIであっても、相手に関係なく盤面に集中しているように感じるんですけど、何か目の前の人がこういう人だからとか、そういうことは関係なく戦われているのでしょうか?

藤井 将棋というゲームは盤上を通してのコミュニケーションというところもありますし、直接的ではないかもしれませんですけど、相手の指し手を見て、こういうのもあるのかと思うところもありますし、対局者によって、それぞれいろいろな発見があるのかなと思います。


―― これまで、実力をつけたいなど、謙虚な言葉を並べられていらっしゃいます。今回、ひとつ目標を達成されて、御自身でどこが一番成長したと思われますか?

藤井 プロになってからこうやってタイトル戦に出る機会ができて、そのなかで自分の課題というのを見つけることができたかなと思います。中盤の指し回しなどは以前に比べたら成長できたかなと思います。

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―― 藤井棋聖のような棋士を目指している将棋を頑張っている小学生や、何か夢中になれるものを頑張っている子ども達に向けて、励ましの言葉を。

藤井 自分も好きなことに夢中になったことで、この結果につながったのかなと思いますので、好きになったことを全力で取り組むということを大切にしてほしいなと思います。

―― これからますます戦いが続いていきますが、大勝負のなかでどのようなことを大切にしていきたいと考えていますか?

今回、棋聖戦や王位戦だったり、渡辺先生や木村先生との番勝負は貴重な機会という風に感じていまして、その経験を生かして成長していきたいという思いがあります。

10 ―― 今後の目標はなんでしょうか?

藤井 自分のなかでまだまだ課題が多いと思っていて、対応力を伸ばしていきたいなと思っています。

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―― 昨日の将棋で渡辺棋聖は、終盤に意外な手を指された印象だったのですが、藤井棋聖は悪くなったなかで、どのような展開に持っていこうと思われていましたか?

藤井 中盤、渡辺先生のほうに強く攻められて、受けに回る手も合ったかなと思うんですけど、なかなかうまくいく手が見えなかったので、先手になんとか嫌みをつけてということでした。(以上、記者会見内容)

Photo_17 (記者会見は9時20分に終了となった)

以上が記者会見の模様でした。

(潤)

一夜明けて(1)

こんにちは。第4局の中継ブログを担当しました潤です。
藤井聡太新棋聖誕生で幕が降りた第91期ヒューリック杯棋聖戦。決着局となった第4局の対局場である関西将棋会館では、大勝負の余韻の残る中、昨夜に引き続いて藤井新棋聖の記者会見が今朝行われました。その模様を掲載致します。

Photo_6 (藤井棋聖誕生から一夜明け、17日9時から改めて記者会見が行われる運びとなった)

Photo_7 (藤井聡太棋聖。昨夜同様、色紙を手にして会見席の前で掲げた)

―― 一夜明けて、どういった思いでしょうか?

藤井 タイトル獲得ということに関しては実感がありませんが、これから徐々にというところかなと。渡辺先生と五番勝負を戦えたことは、自分にとっていい経験になったかなと思います。

―― ご家族との連絡は?

藤井 昨日、電話で取りました。

―― なんとご報告を?

藤井 結果は知っていたので、短い言葉で。母には「よかったね」と言ってもらえました。

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―― 杉本師匠にはどのように?

藤井 昨日も会見で同席していただいたんですけど、非常に喜んでいただいて。先日、竜王戦のほうで対戦したんですけど、竜王戦のほうも頑張ってほしいと(笑)


―― 色紙に「探求」と揮毫。この思いについて

藤井 今回、タイトルを取りましたけど、将棋というのは本当に難しいゲームで、この立場に立っても分からないことばかりだなと感じるので、これからも探究心を持って盤上に向かっていきたいという思いです。

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―― 藤井棋聖という風に呼ばれることは慣れるでしょうか?

藤井 現状ではまだまだ慣れませんが、これからタイトルホルダーとして、勉強していきたいと思います。


―― 藤井棋聖は5人目の中学生棋士です。一部のファンからは中学生棋士は「タイトルを取るのは義務だ」と言われたりなどもあったりしましたが、ある意味で義務をひとつ果たされたことについては?

藤井 そのことについては自分としては意識していませんでしたが、ほかに中学生棋士となられた方は素晴らしい実績を残されたばかりですし、それに少しでも近づけたのはよかったと思います。これからもそういった先輩方の姿勢を見て、自分自身成長できたらなと思います。

 

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―― 棋聖のタイトル挑戦を決められたときの会見では、デビューから4年はもうそんなに経ったのかという風なことを仰っていましたが、改めて17歳11ヵ月でのタイトル獲得は、早かったのか遅かったのか、どのように感じていらっしゃいますか?

藤井 棋士になった段階ではタイトルというところを目指してはいたのですが、なかなか遠いものであって……。棋士になって3年半で、経験と成長ができて、今回の結果につながったのかなと思います。


―― 王位戦について聞かせてください。棋聖戦は五番勝負を勝たれて、今度は王位戦を第3局から棋聖として木村王位と相まみえることになりますが、意気込みはいかがでしょうか?

藤井 王位戦はここまで2局指して、木村王位の力強い指し手に苦しめられる場面も多かったので、そのあたりを反省して第3局につなげていきたいと思います。

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(潤)

2020年7月16日 (木)

ご観戦ありがとうございました

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以上で本局の中継を終了いたします。ご観戦いただきましてありがとうございました。
第91期は藤井聡太新棋聖の誕生で幕を閉じました。
第92期はどの棋士が挑戦者になるか、来期もヒューリック杯棋聖戦、並びに当中継ブログをよろしくお願い致します。

(潤)

記者会見

Photo_85 (撮影タイムが終了し、記者会見が開始された)

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―初タイトルを最年少の記録更新での獲得となりました。いまの気持ちは?

藤井 獲得についてはまだ、あまり実感がないのですが、とてもうれしく思っています。また、これからタイトルホルダーとして、しっかりした将棋をお見せしなければという思いもあります。

―今シリーズ五番勝負を振り返って?

藤井 シリーズを通して渡辺先生の指し手で勉強になるところが非常に多かったと思います。
シリーズを通して自分として成長できたかと思っています。

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―師匠の杉本八段にも。弟子が初タイトルで藤井棋聖となり、お気持ちは?

杉本 タイトルは私たち棋士にとって夢の舞台で、すべての棋士の目標です。わが板谷一門では、私の師匠(故)板谷進九段、東海地方にタイトルを持ち帰るのが長年の悲願でした。それを私の弟子、私の師匠からすると孫弟子の藤井七段が今回、実現してくれて、東海地方にタイトルをついに持ち帰ってくれるんだなと思うと感慨深いですね。

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―新記録について、タイトル挑戦、獲得も最年少記録を更新。どう思っているか?

藤井 最年少記録という点に関しては自分自身では、あまり意識することはなかったのですが、獲得できたというのは非常にうれしい結果だなと感じています。

―コロナウイルスの関係で対局ができない期間が約2ヵ月あり、対局再開されてから成績が16勝2敗(未放映のTV棋戦含む)と非常に絶好調。理由は?

藤井 4、5月にかけてしばらく対局が空きましたが、それで自分自身の将棋を見つめ直すことができたのがよかったかと思います。

―少し具体的に?

藤井 現状の自分の将棋の課題を見つけて、それを改善するという形でやっていました。

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―差し支えない範囲で、普段の研究でAIをどのように活用しているか?

藤井 ソフトの読み筋や評価値を見て、自分の考えと照らし合わせるという使い方が多いです。

―ご家族にはどのように伝えたい?

藤井 いつも自分から結果を報告することはないのですが、対局はいつも見てくれていると思うので、こういう結果を出せてよかったと思います。

―(隣にいるが)師匠にはどのようにいいたい?

藤井 入門のときからずっとお世話になってきたので、1つ恩返しができたのかなと思っています。

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―将棋めしが注目。今日の昼のみそ煮込みうどんは地元愛に満ちたメニューだが、どういう選択だった?

藤井 あまり深い意味はないのですが、愛知の名物でもあるので、今日の対局がそれで好結果を残せたのはよかったなと思います。

―今日の和服は?

杉本 私から答えてもいいですか。羽織と袴は私がプレゼントしたもので、中の白い着物は藤井七段が自分で作ったものですね。

―杉本八段が「東海に持ち帰ったタイトルは、大切にいつまでも保ち続けてください。これからも将棋が指せる幸せと、すべての人への感謝を忘れずに」のメッセージを寄せているが?

藤井 タイトルは獲得できましたが、これからさらにいっそうの精進が必要かと思っていますし、これからもファンの方に楽しんで見ていただけるような将棋を指せるように、頑張っていかなくてはいけないなと思います。

―かなり過密なスケジュールで対局が続いてファンの方からも疲れがないか心配の声も。対局を終えたいま、疲れ具合や体調は?

藤井 先日、王位戦の対局があって今日も中1日という形ではありましたが、前日に十分、休息が取れて今日もいい状態で対局に臨めたかなと思います。これからも体調管理に気をつけていい将棋が指せるようにしていきたいと思います。

―昭和に活躍した板谷進先生が、東海地方にタイトルを持ち帰るのを夢にしていた。夢をかなえた感想は?

藤井 これまで地元の多くの方に支えていただいたり、温かく見守っていただいたりしたからこそ、ここまでこられたと思います。これで地元の方にひとつ、いい報告ができるかと思います。

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―将棋界はAIとの共存期を迎えた。そのような時代に人間、棋士の持つ可能性について?

藤井 数年前は棋士と将棋ソフトの対局が大きな話題になりましたが、そういう対決の時代を越えて共存の時代に入ったと思います。将棋プレイヤーとしてはソフトを活用することで自分自身、より成長できる可能性があると思っていますし、見ていただく方にとっても観戦の際の楽しみの1つにしていただければと思います。いまの時代においても、そういう将棋界の盤上の物語は不変と思いますし、その価値を自分自身、伝えられたらと思います。

―公式戦29連勝、今日も最年少タイトルで、次は何で驚かせて?

藤井 自分としてはさらに実力を高めて、よりいい将棋をお見せできるようにしたい。その結果としてさらなる活躍ができればと思います。

―各放送をご覧のたくさんのファンの方に向けて一言。

藤井 今日もご観戦いただきまして、ありがとうございました。今回、棋聖を獲得できて、これまで応援していただいた方にはいい報告ができることをうれしく思っています。これからもいっそう精進して、よりよい将棋を指せるように頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたしします。

(書き起こし=飛龍記者。写真=潤)

 

記者会見前

Photo_81 (20時40分、記者会見場に藤井聡太新棋聖が姿を見せた)

Photo_82 (記者会見に先立ち、撮影タイムが取り持たれた)

Photo_83 (師匠の杉本昌隆八段から花束が贈られた)

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(潤)

感想戦(2)

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(潤)

感想戦(1)

 

終局後、主催紙インタビューと共同インタビューが行われ、その後、感想戦が開始となりました。

Photo_75 (史上最年少のタイトルホルダーとなった藤井聡太七段)

Photo_76 (渡辺明棋聖は初防衛とはならなかった)

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Photo_80 (一瞬、笑みが見えた)

(潤)

主催紙インタビュー、共同インタビュー

対局終了後に行われた主催紙インタビューと共同インタビューを掲載致します。まずは藤井七段から。

―― 本局を振り返って

藤井 バランスの取り方が難しく、途中から自信のない展開でした。 

―― 矢倉は1、2局と連勝していました

藤井 序盤は第2局と同じような形でした。玉の薄い形が続くので、難しい将棋かなと思っていました。 

――  中盤の入り口あたりはいかがでしたか?

藤井 先手に手段が多いように思いました。自信はなかったです。

――  勝ちを意識したのは?

藤井 最後まで分からなかったです。 

――  初タイトル獲得のご感想は?

藤井 獲得できたのは非常にうれしい。まだ実感がないというのが、正直なところです。渡辺先生と五番勝負で対局して、勉強になったところもあります。 

――  タイトルホルダーとしてこれからいろいろとプレッシャーもあるかと思いますが?

藤井 責任のある立場になるので、よりいっそう精進して、いい将棋を指したいです。 

――  終局直前の気持ちは?

藤井  最後まで際どいと思っていましたので、局面以外のことは意識していなかったです。 

――  4局のうち印象深い対局は?

藤井 第3局でこちらが気付いていない好手を指されて、勉強になりました。 

――  第2局では△5四金や△3一金など、AI超えや神の手などよも言われました

藤井 どちらも手の広い局面でした。いろいろあったかなと思うのですが、自分なりに考えて指せたのが良かったです。 

――  家族にはどう伝えますか?

藤井 いつも自分から結果を報告することはありません。対局はいつも見てくれているので、結果を出せて良かったです。 

――  過密日程での対局でしたが

藤井 王位戦第2局から中1日でしたが、前日に十分休息が取れて、いい状態で臨めました。これからも体調管理に努めたいです。

―- AIとの共存の中での可能性について、どうお考えですか?

藤井 棋士とソフトの対局が話題になりましたが、今は共存の時代に入ったのかな。プレーヤーとしてソフトを活用することで、自分自身成長できると思っていますし、盤上の物語は不変の物。その価値を伝えていけたらと思います。観戦の際の楽しみの1つにもしていただければ。 

――  3日後に18歳の誕生日を迎えます。プレゼントになったのでは?

藤井 気にしていないのですが、結果を残せたのがうれしいです。 

――  29連勝以来の第2ブームが来ているように思います

藤井 多くの方に注目していただいて、観戦いただけるのはありがたいこと。これからもそれに応えられるような内容の将棋を指したいです。 

――  次の目標は?

藤井 今回得た物がいろいろあります。実力を高めて、成長につなげられるようにしたい。結果としてさらなる活躍ができればと思います。

続いて渡辺棋聖にインタビューが行われました。

――  本局を振り返られて

渡辺 第2局の改良で予定の作戦でした。8筋から攻められて、△4六歩から広く揺さぶられて、分からなくなりました。全体的には△2六金でまずくしたかなと。ただ、ちょっと分からないです。

――  矢倉を選ばれました

渡辺 第2局の改良だったんですけど、そのあとが分かりませんでした。

――  形勢はどう見られていましたか?

渡辺 8筋から9筋方面が受かっているので指しやすいと見ていましたが、右辺から攻められる手が読めていなくて、分からなくなりました。

――  これで失冠となりました

渡辺 すぐに取られてしまったのは残念なところですが、全体としては競った将棋を負けているので仕方がないかなと。

――  藤井七段について

渡辺 中終盤の競ったところで勝てなかった。こちらの気づいていない手が多かったです。

――  注目されたシリーズでした。どのようなお気持ちでしたか

渡辺 対局に入ってしまえば普段とは変わらないので。注目度が高く、やりがいがありました。

――  年下にタイトル戦で初めて敗れました

渡辺 今回、藤井七段と初めての番勝負で、内容的に競ったところで負けているので、やっぱりすごい人が出てきたなという感じです。

(潤)

藤井七段が棋聖位奪取

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五番勝負第4局は110手で藤井七段の勝ちとなりました。終局時刻は19時11分。消費時間は▲渡辺3時間59分、△藤井3時間58分。藤井七段が対戦成績を3勝1敗とし、初タイトルとなる棋聖位を奪取しました。

(飛龍)

決め手の跳躍

20200716100 藤井七段は飛車を逃げることなく5四にいた桂で金を取りました。後手玉に詰みはなく、初タイトルを手中にする決め手の跳躍となったようです。

(潤)

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