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2024年4月

2024年4月22日 (月)

五番勝負の日程

五番勝負の日程は以下の通りです。本日の中継は以上で終了となります。五番勝負もお楽しみに。

【第1局】 6月6日(木)千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」

【第2局】 6月17日(月)新潟県新潟市西蒲区岩室温泉「髙志の宿 髙島屋」

【第3局】 7月1日(月)愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」

【第4局】 7月10日(水)兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」

【第5局】 7月23日(火)静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」

(紋蛇)

囲み取材

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(感想戦のあとに囲み取材が行われた。一部を抜粋する)

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――本局の総括をお願いします。

山崎 そうですね、挑戦者決定戦の大一番ながら、 伸び伸び指そうと指したんですけど。相手から強く動かれました。序盤戦は勝負を忘れて楽しく長考したと思います。中盤戦は、決勝トーナメントの全局で大体悪くなっていたのに、本局はよくなったかなと思いました。しかし、よくなったあとは課題として勝ちきれないというか、よくなったときに考えた指し手の方が大体悪い手を指すという傾向が続いていて。本局もよくなったり悪くなったりっていうのを繰り返して、結局悪くなったときに勝負勝負で伸び伸び指せてっていう感じで、いつも通りの自分の将棋になったなと思いました。もちろんもっと強い、よい将棋を指したいんですけど、そこは変わりませんでした。ただ、悪くなったときに何もできずに負けるよりは、決勝トーナメントに入って一応、「勝負、勝負」で指せるようになってるので、そこはちょっと前よりはいいかなという感じで、 いつも通りはらはらした展開の一局だったなっていう感じです。

――久しぶりのタイトル戦ということについてはいかがですか。

山崎 いや、想像もしなかったです。タイトル戦に出るということを、自分の中では決勝トーナメント始まる3月の時点ではあまりまったく意識しなかったので、逆に正直にいえばどこかで負けるだろうと思っていたので。逆になんか勝負、勝負で負けよう、ギリギリの方で踏み込んで負けようみたいな感じだったので、あまり挑戦者になる意識は、今日の前まではまったくなかったです。さすがに先週、挑戦者決定戦まで進むと意識してしまうところがあったんですけど、バシバシ指すか慎重にやるか迷いながら指していました。

――藤井棋聖について、どんなイメージですか。

山崎 もう何年も前から僕はもう眺めているほうで、もう自分では全然勝てなかった人たちに勝つときの勝ち方がすごいので。自分が挑戦するのは不思議な感じなんです。自分はよくなったり悪くなったりの振れ幅があるのに、藤井棋聖はよくなった時にそのまま勝ちきられる方です。どれぐらいチャンスがあるのかないのかは、自分でもちょっと正直わからない。見た感じだと、自分がよくなっても悪くなることが多いので、その時に逆転を許してくれないっていう意識はあります。そうなると勝ちパターンがないので。ちょっと怖いところです。この数ヶ月、課題にしている中盤戦に挑戦し、あの番勝負までにさらに調子をよくしていかないといけないなという意識です。それでも、大変な人ですね。

――最後に、五番勝負の抱負をお願いします。腕の見せどころだと思いますが、いかがでしょう。

山崎 見せどころというか、いままでは藤井棋聖、八冠への挑戦者は みんなが納得という実力者ばかりでしたよね。みんなすごい豪速球を投げるような挑戦者ばっかりなのに、 僕はどちらかというと変化球のタイプなので。そういうタイプに藤井棋聖どれぐらい完全無欠なのかは、自分もやってみないとわからないところですし、藤井棋聖も初めてのことだと思います。そういう意味では注目はしていただけると思うので、終盤戦までどちら勝つかわからないような将棋を指したい。チャンスがきたら、ボールをずっと持ち続けれるように奇跡が持ってほしいなっていう感じですね。ずっと課題なんですけど、この番勝負でいちばんよい将棋が指せればと、本当に自分自身がいま思います。

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(自虐を交えながら本音を語る、山崎八段らしいインタビューだった)

(紋蛇)

感想戦

感想戦は1時間20分ほど行われました。

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Dsc_3625(山崎八段の弟子、磯谷祐維女流初段が感想戦を聞いていた)

(紋蛇)

終局直後

Dsc_3551(逆転勝ちを収めた山崎八段。2009年以来のタイトル挑戦を決めた)

Dsc_3548(敗れた佐藤九段)

Dsc_3563(終局直後のインタビュー)

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【山崎八段のインタビュー】
――序盤から中盤にかけて、どういう感触でしたか。

山崎 序盤は積極的に動かれて怖かったところはあったんですけど。欲張らず丁寧に指せてそんなに不満もないのかなと思っていたですけど、 中盤からこちらの指し手が多分まずくて、綺麗にさばかせてしまったので、中盤からちょっと少し苦しくなってたと思いました。

――夕方ぐらいまで形勢は後手が悪く、夕方以降は指しやすくなってきたとは思うんですけれども、 その辺りから終局まではいかがですか。

山崎 時間がお互いなくなったあたりなので、自信ないときと少しよくなったなっていうときが揺れ動いていました。
うーん、歩を垂らしたあたり(132手目△1七歩)は結構、一瞬手応えがあって、逆転しかけてるかなと思ったんですけど、そのあとに端を払わせてしまい、弱い手を指してまたヨリが戻ったかなっていう感じです。

――勝たれたときの気持ちは?

山崎 秒読みなので、本当は打ち歩詰めで必至をかけて勝たなきゃいけないところもあるんですけど、自分の中でうっかりとか読み抜けがあるので。勝ち方として最後は弱い手順ではあったんですけど、かっこつけずに泥臭く勝ててよかったなという感じです。

――一局を通しての感想をお願いします。

山崎 序盤は結構お互いに見たことがなくて、楽しい感じだったですかね。中盤はうまくまとめられたらよかったんですけど、多分大きな疑問手を挟みました。中盤はいつも通り疑問手を挟んで悪くなって、それからは勝負でしょうといういつも通りの感じで。本当は中盤、もうちょっとうまく指したかったですが、いつも通りのブレのある感じでした。

――これで棋聖初挑戦、2009年の王座戦以来2度目のタイトル戦登場です。

山崎 自分がいま挑戦できるという感じは、ちょっと前までまったく自分自身も周りも思ってなかったというか。どちらかというと3月末は(順位戦B級1組で) 降級しそうな感じでしたし、危機感を持ってやってはいたものの、挑戦できるとは思ってなかったんですけど、せっかく棋聖戦で強い人とずっと当たれるので、踏み込んで勝負、勝負でいこうみたいな気持ちが、結果としてはついてきたのですごく不思議な感じです。

――五番勝負に向けての抱負をお願いします。

山崎 実力差があるのはわかってはいるので、作戦をしっかり考えて、少しでもチャンスのある将棋、五番勝負にしたい。見てる方に最後までわからないような将棋になるように、これからまたより頑張りたいですね。

Dsc_3571 【佐藤九段のインタビュー】

――本局を振り返ってください。

佐藤 本当に序盤は最初の最初から前例のないような将棋になりました。山崎さんがいわれていたように、面白くて、お互いに持ち味が出るような将棋になったかなとは思っていたんですが。 振り飛車としては左辺の作りが軽い感じはあったので、その辺りをどう耐えられるかというところではあったんですけど、中盤をなんとか乗り越えて、模様がいい局面もあったかなという気はしていたんですけれども、ちょっとその先に進めなかった。相手の王様に手をつけるタイミングをうかがっていたんですけど、攻めていきづらい感じで。はっきり攻めに転じることができるタイミングをつかめなかったというのが……。はがされたあたりは旗色が悪くなって、その後はもうお互い時間がないので(形勢が)揺れ動いてたかなと思うんですけど。最後は手厚く、駒の戦力に差がある展開になってしまったので、その辺りが勝敗に繋がったかなという感じがしています。

――攻めるタイミングを逸したという感じだったんでしょうか。

佐藤 厳密にはどっかで攻めるタイミングがあるんじゃないかなと思ってたんですけど、そういう展開に入ったときは秒読みなので、精査して攻めを繰り出す時間がなかったです。その辺りはもし何かあったとしたら、見つけることができないといけなかったのかもしれないですけど、実戦ではわからなかったという感じでした。

――棋聖戦の挑戦者決定戦はこれで3度目で、勝てば初挑戦でした。惜しくも届かなかったですが、いまの心境は?

佐藤 (山崎八段のように)「僕も」といういい方も変ですけど、去年から結構スタイルを変えていくなかで、このタイミングでこういうチャンスが訪れるのは、あんまり思ってなかったことではありました。 自分でも意外な感じはしていたんですけれども。とはいえやっぱり大きなチャンスではあるので、ここまできたからにはそれをつかめるように全力を尽くしたいと思っていたので、結果は残念ですけれども。ただ、その内容としては、いまの自分が持っているいいところと悪いところ、両方出たかなという感じがしています。

――いまのスタイルは今後も続けていかれますか。

佐藤 結構、気分屋なところもあるので、ちょっとどうなるかわからないんですけど(笑)。 まあ、今日の今日、いまのいまはそういつもりでもあります。戦法云々もありますが、今日の将棋のように、勝負は勝負で大きなものではあるんですが、自分の中での面白みとか楽しみみたいなものを見いだしながらやってるのが最近、いい面としてはある気がするので、そういうところは大事にして続けていきたいなとは思います。

(紋蛇)

山崎八段が熱戦制して初挑戦

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山崎八段が佐藤九段に勝ちました。終局時刻は20時46分。消費時間は両者3時間59分。大熱戦を制したのは山崎八段。劣勢をはねのけて挑戦権をつかみました。五番勝負第1局は6月6日(木)、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われます。

(文)

決め手の銀打ち

20240422166△6四銀(図)と打って、馬筋を遮断するのが決め手です。先手は馬取りと△2八金の詰めろを同時に解除するのが難しく、後手勝勢になっています。

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後手優勢

20240422156▲6三馬と銀を取った手に、△4二金打が鍛えの入った手です。以下▲7三馬に△4七香で寄せにいきました。形勢ははっきり逆転して、後手よしです。

Dsc_3467(再開前の山崎八段。2009年以来のタイトル挑戦が近づいている)

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山崎八段が踏み込む

20240422150図の局面で、手数は150手に達しました。少し前の控室では「終わりが見えない」といわれていましたが、7六の竜で4六の銀を取った手が鋭い踏み込みで、▲6三桂成△同銀▲4六馬と竜を素抜かれても△4五香と切り返せそうです。図の残り時間は▲2分、△1分。最終盤が近づいています。

Dsc_3435(対局開始前の佐藤九段。現在は追い込まれている)


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残り2分

20240422119▲5八歩で残り時間はともに2分になりました。歩打ちは△5七とや△5六歩と受けた意味です。直前の△6五桂が気持ちよく、少なくとも攻守が逆転しています。山崎八段が怪力を発揮し、佐藤九段を混戦に引きずり込んだようです。

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形勢不明

20240422110山崎八段がうまく粘って追い上げています。と金を作った図の局面は、後手玉の堅さが増して簡単に倒れません。先手は飛車をどう働かせるかが難しくなっています。形勢は不明になりました。

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