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第92期棋聖戦五番勝負第3局

2021年7月 4日 (日)

一夜明けて

五番勝負終幕から一夜明けて、改めて藤井棋聖にインタビューが行われました。

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【主催紙インタビュー】

――一夜明けまして、改めて初防衛についてのお気持ちと、昨年初タイトルを獲得されたときとの違いについてもお願いします
藤井「昨年の棋聖戦はタイトル戦自体、初めての経験で、なかなか実感が湧かないところもありました。今回は防衛戦ということで、タイトルの重みを感じながらの戦いだったので、その中で結果を出せたのは大きかったと思います」

――(今朝の会見で)「初心」と色紙に書かれましたが、どのようなお気持ちで揮毫されたのでしょうか。
藤井「今回防衛することができましたが、そういった結果に満足することなく、初心に戻って前を向いていきたいという気持ちを込めました」

――第3局を終えた昨夜は、ぐっすり眠れましたか
藤井「昨日は12時頃に寝て、7時頃に起きたので、普段と同じように7時間くらい寝ることができました」

――昨夜の対局のことは考えられたのでしょうか
藤井「終盤が難しかったので、その辺りのことは少し考えていました」

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【各社インタビュー】

――以前、相対的に強くなるのではなく、絶対的になりたいとインタビューでおっしゃっていました。藤井棋聖にとって強さとは、どのようなものを指すのですか
藤井「ほかの方との比較ではなくて、それぞれの局面において、より最善に近づいていきたいという気持ちがあります」

――昨夜、あるいは今朝、師匠(杉本昌隆八段)やご家族には何かお話しされたのでしょうか
藤井「こちらからは連絡していないのですが、師匠からは「おめでとう」と連絡をいただきました」

――各社の取材で、師匠が(先に九段昇段を決めたことについて)「ずるい」とおっしゃっていました。そのことについては、いかがでしょうか
藤井「(将棋界では)師匠以上の活躍をするのが「恩返し」といわれるので、今回こういった結果を出せたことは、いい報告になるのかなと思います」

――和服での対局はなれましたか。また、和服のこだわりはありますか。
藤井「回数も増えて、なれてきたところはあると思います。着付けについては今後、覚えていければと思っています。タイトル戦となると、和服は注目していただけるポイントかなと思っているので、ある程度、自分の個性を出していければと考えています」

――冒頭のインタビューで「タイトルの重みを感じながらの戦い」という表現がありましたが、それはいい意味で作用するのか、それともマイナスになるのか、その辺りについては
藤井「そういった気持ちがプレッシャーになってしまうとよくないと思いますが、今回の棋聖戦に関しては、ほどよい緊張感の中で戦うことができたのかなと思います」

――コロナ対策をしながらのタイトル戦で、ファンとの接触の機会が少ない状態が続いています。そのことについてと、感染対策をしなくてもよい時期がきたら、こんなふうにしていきたい、という思いがあったら教えてください
藤井「昨年からタイトル戦の前夜祭なども難しい状況になり、ファンの方に楽しんでいただく機会が減ってしまったことは残念に思っています。その中で、インターネットの中継というのが非常に充実してきている状況もあるので、いままでと違った形で楽しんでいただく機会は増えてきたのかなと思っています。今まで自分は前夜祭などのイベントは経験があまりないので、そういったものが開催できることを心待ちにしています」A7304007

以上で、第92期棋聖戦五番勝負の中継を終わります。ご観戦ありがとうございました。

(玉響)

記者会見

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【主催紙インタビュー】

――将棋界には、「タイトルを防衛して一人前」という言葉があります。見事、防衛されましたが、その感想をお願いします
藤井「今期の棋聖戦は、渡辺名人を挑戦者に迎えるという形になって、自分にとって試練といえる五番勝負と思っていたので、その中でなんとか防衛という結果を出せたのはうれしく思います」

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【各社インタビュー】

――渡辺名人というトップ棋士を迎えて、去年は3勝1敗、今年は3勝0敗でストレート勝ちという結果になりました。そのことについてはいかがですか
藤井「今回の棋聖戦は第1局から第3局まで、どれも苦しい部分があったと思うので、3連勝というのは実力以上の結果が出たのかなと思っています」

――昨年、棋聖を取ってタイトル保持者になられて1年がたちました。今日、改めて防衛されて、ご自身で変わった点や、成長したなと思うところがあれば教えてください
藤井「タイトルホルダーになったことでトップ棋士の方と対戦する機会が格段に増えて、成長した実感というよりは、新たな課題が見つかることのほうが多かったと思います。それも成長につなげていければと思っています」

――今日で九段になられたということでお聞きしたいのですが、三段から四段に上がったときを振り返って、そのとき九段に対してどのようなイメージをお持ちでしたか。また、九段になるまでどのくらいかかると思われていましたか
藤井「九段になると実績のある方ばかりという印象でした。自分もそこに加わることができたのは、うれしく思っています。昇段の規定はいろいろあるので、そのような(どのくらいで九段になれるか)イメージはなかったです。

――今後の具体的な目標や、将来的なビジョンはありますか
藤井「タイトル数とか具体的な数字は意識していなくて、それよりも対局の内容をよくしていきたいと思っています」

――藤井棋聖は記録であるとか、数字であるとか、段位であるとか、勝負の世界に生きるものであったら誰もが追い求めるものに、あまり興味を示されないかと思います。それはどうしてでしょう
藤井「結果ばかりを求めていると、それが出ないときにモチベーションを維持するのが難しくなってしまうのかなと思っています。内容を重視して、1局指すごとに新しい発見をして改善するというのがモチベーションにつながると思っています」

――よく「強くなりたい」という言葉をおっしゃっていますが、そういった思い、将棋の真理を追うといいますか、それを目指していくお気持ちというのは
藤井「これまで公式戦で200局以上、指したと思いますが、その中でも完璧に指せたなという将棋は1局もないですし、自分が強くなることで、いままで見たことがないような景色を見ることができたらなと思っています」

――1年前と比べて、ファンや地元の方を意識した言葉が多くなったように思いますが、その辺りについては

藤井「タイトル戦に出るようになってから、いろいろな方のおかげで将棋が指せるんだなという意識が強くなったところはあると思います」

――今回の棋聖戦で3連勝できた勝因は、どのように考えていますか
藤井「勝因というのは難しいんですが、第2局と第3局はこちらの持ち時間が少なくなって時間に差がつく場面がありましたが、そういった状況で粘り強く指すことができたのかなと思っています」

――第1局と第2局は相掛かりでしたが、昨年までは先手番でその戦型にしていなかったと思います。何か戦法の幅を広げるというような意識があったのですか
藤井「1年ほど前まで(先手番で)角換わりの割合がかなり高かったですが、いろんな戦型を指したほうが、面白いのかなと思っています」

――終局直後のコメントで「防衛して一人前」という大山康晴十五世名人の言葉があり、防衛の難しさを語ったものだと思いますが、実際に防衛を果たされたいま、改めてどう感じていますか
藤井「今回防衛戦で結果を出すことができましたが、それで一人前になったかというと、そういう意識はなく、今回の五番勝負で改善できるポイントがいろいろあったので。防衛してホッとしているところはありますが、それに満足することなく、やっていきたいなと思っています」

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(玉響)

2021年7月 3日 (土)

感想戦

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感想戦終了後、防衛を果たした藤井棋聖は沼津リバーサイドホテルに移動し、そこで記者会見が開かれます。

(玉響)

終局直後

A7303410(終局直後の様子)
A7303411_2(藤井棋聖は最年少防衛、最年少九段昇段を決めた)

【藤井棋聖の談話】
――本局を振り返って
藤井「序盤、△7二飛(22手目)と寄る形をやってみようと思っていました。そのあと△7六歩(36手目)に強く▲6六銀と上がられて、どう指すか難しい展開になったのかなと思いました。▲2二歩成(49手目)~▲5五歩という組み合わせが見えていなくて、その辺りから形勢が悪くなってしまったのかなと思って指していました」

――勝ちを意識したのは
藤井「ずっと苦しいかなと思っていたんですけど、△7一飛(96手目)と引いて、うまい詰めろがかからなければと思っていました」

――本シリーズの感想について
藤井「防衛戦ということは意識せず、前期と同じように指すことができたかなと思います」

――これで最年少記録を2つ更新しましたが、最年少で防衛ということについては、いかがでしょうか
藤井「タイトルを防衛して一人前という言葉が将棋界にあるので、防衛できてよかったと思います」

――最年少で九段昇段という記録も更新されました
藤井「段位はまったく意識していなかったですが、九段というのは最高位なので、光栄なことだと思います」

A7303435(渡辺名人は番勝負で初のストレート負けを喫した)

【渡辺名人の談話】
――本局を振り返って
渡辺「いろいろあったんですけど、終盤は分からなかったですね」

――終盤で形勢がよくなったところがあったように見えました
渡辺「そういう場面もあったかとは思いますが、具体的な手が難しかったです。誘われて(69手目▲2二飛成と)飛車を切った感じになっちゃったかなと」

――タイトル戦で初めてのストレート負けという結果になりました。2連敗されたときに意識していましたか
渡辺「それは別に……。負け方はスコアがどうでも一緒かなと。フルセットだろうが、どう負けようが、あまり意味はないと思うので」

(玉響)

藤井棋聖が防衛

Kisei20210703e棋聖戦第3局は19時14分、藤井棋聖が勝ち、防衛を決めました。消費時間は、▲渡辺3時間59分、△藤井3時間59分(持ち時間は各4時間)。藤井は2連覇を達成。18歳11ヵ月でのタイトル防衛、九段昇段(タイトル3期獲得による)は最年少記録です。

(牛蒡)

両者、一分将棋に入る

20210703_84時刻は間もなく19時。この局面で渡辺名人も一分将棋に突入しました。すでに詰む、詰まないの際どい場面ですが、まだ勝負のゆくえは分からない激戦です。

(玉響)

渡辺名人が踏み込む

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渡辺名人は先ほどの局面から▲2二飛成△同金▲5四歩と果敢に踏み込んでいきました。日本将棋連盟会長として現地を訪れている佐藤康光九段は「渡辺さんが勝ちにいった手ですね」としながらも、図の局面は後手が指せると見ています。

(玉響)

千日手の可能性

20210703_68図は17時41分頃の局面。後手よしが控室の見解でしたが、この△4五歩で千日手の可能性がささやかれています。すなわち、▲4四桂△同角▲2一飛成△2二金▲1一竜と進み、以下△2三金▲1二竜△2二金▲1一竜△2三金を繰り返していくと千日手になります。控室の検討では、△4五歩に代えて△2五銀打が本命でした。

(玉響)

西附属邸(2)

A7303213 (旧沼津御用邸本邸復元想像模型)

A7303217_3 (さざれ石)

A7303222_3 (皇族の食事場所だった「御食堂」)

A7303224_3(謁見所)

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A7303228_4(テーブルの上に何やらボードゲームのようなものが置いてあった)

A7303229_3 (昭和天皇が幼少期に遊んだとされる「クロックノール」。2対2のチームに分かれ、円形の駒をはじいて点数を競うゲームで、カーリングに近い要素を持つ。中央に近づくにつれ、5ポイント、10ポイント、15ポイントと点数が上がる)

A7303233_3 (四つ玉式の撞球台がある「御玉突所」)

(玉響)

西附属邸(1)

本邸正面から右手に進むと、明治38年に昭和天皇の御用邸として造営された西附属邸があります。邸内には家具や調度品が展示されており、当時の生活様式や文化に触れることができます。

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A7303203(三輪自転車)

A7303206(皇族の食事を作っていた調理室。当時の流し台、かまど、天窓などが残っているとのこと)

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(玉響)

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