【藤井棋聖の談話】
――序盤は研究範囲で進んでいたか。
「前例がある形だったと思うんですけど、▲5八飛(37手目)に△2四角と上がった辺りから手探りという感じでした」
――午前中は小刻みに時間を使っていた。
「やはり手が広い局面が続いていたので、比較をしながらという感じでした」
――昼食休憩明け以降については。
「玉頭戦のような感じになったんですけど、なかなか玉頭に手厚い形を作れないので、あまり本意ではないというか、自信がない展開かなと思いながらやっていました」
――100手を超えて激戦になったように見えたが、終盤については。
「▲2七香(105手目)を読んでいなくて、その対応がよくなかったです。特に△4三桂(108手目)と打った手が悪い位置だったかなと思うので、ちょっと苦しい形になってしまったかなと思っていました」
――一局を振り返って。
「中盤は一手ごとにかなり難しく、大事なところでミスが出てしまったと思うので、次局以降に向けて修正していきたいと思います」
【杉本六段の談話】
――得意の三間飛車でしたが、午前中の進み具合については。
「そうですね。想定通りのところまでは早く指そうかなと」
――午後も難解な局面が続いているように見えた。
「▲2七金(71手目)、▲2六金(77手目)が勝ちづらい構えだと思っていましたが、一応、端を攻める展開が実現して、やりたいことはできたのかな、という気がしていました」
――終盤については。
「△2六香(114手目)に対して踏み込んでいったんですけど、△1二銀(130手目)で堅くなってしまったのが誤算で、そこで取り返しがつかなくなっていたという感じでした」
――初めてのタイトル戦、その第1局を終えての感想は。
「本当にいろいろな方の支えがあってタイトル戦というものが成り立っているんだなというのがすごく実感できて、そういった環境に改めて感謝したいと思います」
――惜しくも敗れてしまった点については。
「終盤のところで選択肢を間違えてしまったところは残念でした」
――第2局に向けての抱負は。
「後手番なので、より厳しい戦いにはなるかなと思うんですけども、また精いっぱい準備したいと思います」
(玉響)
図の局面で杉本六段が投了しました。終局時刻は19時15分。消費時間は▲杉本3時間59分、△藤井3時間52分。開幕戦を藤井棋聖が制し、6連覇に向けて好スタートをきりました。第2局は6月18日(水)に兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われます。
(紋蛇)
控室では「先手苦戦」の声もありましたが、杉本六段は受け身にならず果敢に攻め合っています。図は△2七香不成の王手に▲1八玉とかわした局面。もう詰む詰まないの終盤戦ですが、ハッキリした結論は出ていません。
(玉響)
第1図は16時過ぎの局面。先手が端攻めを起点にして、玉頭戦に持ち込みました。ここで▲2六金が力強い直進。自玉の守りは薄まりますが、攻撃特化で穴熊を攻略する心積もりです。
局面が進んで第2図。先手のトーチカと後手の穴熊では、桂を跳ねているトーチカのほうが玉の堅さで劣ります。先手は桂交換に持ち込むことで、その優位性を打ち消すことに成功しました。しかしながら、端歩の関係性においては後手有利です。実戦は第2図から▲3六金△1六歩と進んでいます。
(玉響)