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2025年6月30日 (月)

終局直後の様子

Dsc_8500_2(3連勝で防衛を果たし6連覇達成の藤井棋聖)

【勝った藤井聡太棋聖】
――今シリーズ初の中飛車でした。序盤は想定の範囲内でしたか。
藤井 ▲5四歩(29手目)と突かれるのはあまり想定していなくて。そこでどういう方針で指すか、悩ましい局面を迎えたのかなと思っていました。

――▲4八金(25手目)と上がられて▲5四歩(29手目)と突いたあと、互いに時間を使った局面がありました。そのあたりを振り返って。
藤井 そうですね。先手の指し方もかなり手広いかなと感じていたので、どういうふうに進むか長考した段階でも、わからないかなと思っていました。

――後手番ながら積極的な指し回しでしたが、意識していたのですか。
藤井 お互い1歩を持ち合う形になり、できれば動いていく手をやっていきたかったのですが、そういう手が具体的に精査できなかったので、△5五歩と打ってからはあまり主張がない展開にしてしまったかなと思います。

――午後に入ってからはいかがでしたか。
藤井 △5五歩(42手目)と打ってからはこちらの陣形が伸びきってしまっていて。陣形を生かした指し方が思った以上に難しいかなと感じたので、自信のない展開になってしまったかなと思っていました。

――△5六歩(62手目)と突いたところはいかがですか。
藤井 △5六歩はあまりやらないほうがいい可能性も結構あるかなと思ったのですが、ただ陣形に進展性がないので他の手もそれほど自信が持てる局面ではないのかなと思っていました。

――自信の持てる局面になったのはどのあたりですか。
藤井 終盤はかなり際どい形でわからなかったです。▲3二金(75手目)に△同飛と取るか玉を寄るかかなり迷っていたのですが、最後の最後に△2七銀(84手目)と打って初めていけそうなのかなという感じがしました。

――3連勝で防衛し、6連覇を達成しました。タイトル獲得も大台の30期になりました。
藤井 ここまでのタイトル戦を振り返ると、どれも大変なシリーズばかりなので、30期という結果は少なからず幸運もあったのかなと感じています。

――シリーズを通して。
藤井 序、中盤が長い将棋が多かったのですが、考えてもなかなか急所をつかめないということも多かったので、対抗形ならではの難しさを感じたところも多かったかなと思います。

Dsc_8510(終局直後の主催者インタビューの様子)

Dsc_8535(穏やかな表情で振り返る杉本六段)

【敗れた杉本和陽六段】
――中飛車を選択されました。
杉本 △2二玉(28手目)と寄られた手に対して、▲5四歩(29手目)と突くあたりで想定を外れたのですが、じりじりした展開が続いて難しいところがありました。

――序盤は研究の範囲内で進みましたか。
杉本 似たような形はなりやすい面があって。同じではないですが、類型は指したことがあったので、そのあたりで多少は経験のある形でした。

――午後に入って流れはいかがでしたか。
杉本 △7二飛(46手目)と寄られたところで▲6八角はやや我慢したような手なので、もう少し積極的な手を探したのですが、難しくて本譜は辛抱した感じです。

――一局を通していかがでしたか。
杉本 ▲3二金(75手目)に△1二玉の局面で▲5二歩はちょっとぬるいような気がしたのですが、代案が見えなくて。そのあたりが悔やまれるところです。

――初めてのタイトル戦ということに関して。
杉本 はっきりとした自分の課題が目に見える形で現れたので、今後の棋士人生に生かしていきたいと思います。

――得るものはあったと思いますが。
杉本 やはり今まで経験したことがないような舞台でしたので、どうなるかなと不安はあったのです、始まってしまえば将棋のほうでは集中して指すことができましたので、そのあたりは周囲の方に感謝したいです。

Dsc_8538(藤井棋聖に続いて杉本六段への取材が行われる)

(琵琶)

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