(終局直後、主催紙のインタビューが行われました)
【渡辺明竜王インタビュー】
――角換わりから▲1八香は棋王戦第4局と同じ進行でしたが
「そうですね。先手だったらやってみようと思っていました」
――本局を振り返っていかがでしたか
「駒得したあとの指し方がよくわからなかったですね。終盤はきわどかったと思います」
――どのあたりで勝ちを意識されましたか
「▲8二飛を打って寄せが見えたので」
――これで五番勝負進出となりました
「久しぶりですが精一杯頑張りたいです」
――羽生棋聖には勝ち越しています
「棋聖戦の4時間の勝負は初めてなので、新鮮な気持ちで臨みたいです」
【郷田真隆九段の談話】
――本局を振り返っていかがでしたか
「そうですね、ずっと自信が持てないまま指している感じでした」
――棋王戦第4局と同じ将棋でしたが
「変化して動いてみたのですが、ちょっと無理だったのかもしれません」
(八雲)
羽生善治棋聖への挑戦を目指す第84期棋聖戦の挑戦者決定戦は19時46分、135手で渡辺竜王の勝ちとなりました。消費時間は▲渡辺3時間46分、△郷田3時間59分。
五番勝負の第1局は6月4日(火)に兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われます。勝った渡辺竜王(棋王・王将)は羽生棋聖(王位・王座)への挑戦権を得て、四冠王にチャレンジ。三冠王同士によるタイトル戦は史上初めてです。
図は18時15分頃の局面。形勢は「先手優勢からまもなく勝勢か」と言われていましたが、図の△4七歩が鋭い切り返しで、「まだ大変」と評価が変わっています。△4七歩に▲同飛は△7六角の筋が残って危険。▲同銀は飛車の利きが止まります。
「まだ先手がいいとは思うのですが、かなり難しくなりました」(糸谷六段)
(八雲)
時刻は18時を回りました。郷田九段は▲8五同金の局面で攻めが続かないと見て△2四同歩と手を戻しました。そこで▲4四歩△同銀左▲2三歩△同金▲2五歩と攻めても先手優勢と言われていましたが、渡辺竜王は▲9六香と打っています。これは△9六歩のような反撃を消してから攻める狙いで手堅い一着。控室では「先手がはっきり優勢」と言われています。
▲9六香の局面で残り時間は▲渡辺1時間16分、△郷田28分。
(八雲)
図は17時30分過ぎの局面。糸谷六段、永瀬五段の検討は図から△8五同香▲同銀△同桂▲同金(参考図)。そこで後手から思わしい攻めが見つからないとのこと。△7六角は強く▲8六金、△6九角は▲7八香でうまくいかない。△9六歩▲同歩△6九角▲7八香△9六飛と工夫しても▲9七歩△6六飛▲6七金で続きそうにない。
「後手は歩が少し足りない感じです。ここで攻めが続かないと厳しいですね」(糸谷六段)
(八雲)