インタビューのあと、対局者が大盤解説会に出演しました。
(大盤解説会場)
(藤井聡太棋聖)
「△3五歩(28手目)から仕掛けられて、一歩損の代償をどこで求めていくかという展開でしたが、▲8六銀(45手目)から端を詰めて、少しずつ厚みを作ってという形にできました。中盤戦で判断の難しい局面が多く、そのあたりをしっかり振り返って第3局に向けて準備をしていきたいと思います」
(杉本和陽六段)
「序盤は予定通りに進んでいたのですが、昼食休憩のところで突っ張った指し方をしたのが自玉の薄さを突かれてしまいました。判断を間違えたというところで終盤に接戦にできなかったのが心残りですが、実力をしっかり受け止めたいです。第3局までに日があるので少しでも実力を高めて、もう少し充実した内容の将棋を皆さんにお見せできるようにがんばりたいです」
(あいさつのあと、小林健二九段の先導で対局室に戻る)
(翔)
(終局直後)
(勝った藤井聡太棋聖)
藤井聡太棋聖インタビュー
--序盤の立ち上がりはいかがだったでしょうか。
「△3五歩(28手目)から動いてこられる展開になり、そのあと▲7五銀(37手目)と出たあたりから一手一手、手が広いと思っていました」
--△3三歩(38手目)はいかがでしたか。
「あの局面は受け方がいくつかあって、△3三歩も有力と思っていました」
--中盤まではどのように見ていましたか。
「7五に出た銀をどう活用するかというところで、本譜は▲9四歩(51手目)と押さえて部分的には主張ができました。一歩損なので形勢をどう見るかは難しかったです。いろいろ組み合わせがあるのでわからなかったですが、指してみるとこちらの手がいきる形になったと思います」
--一局を振り返ってください。
「早い段階で1歩損してその代償をどこに求めるかという将棋で、判断が難しかったですが結果的に端を主張にすることができたと思います」
--開幕2連勝。次局に向けて抱負をお願いします。
「後手番なのでしっかり準備をしていきたいです」
(敗れた杉本和陽六段)
杉本和陽六段インタビュー
--序盤、立ち上がりはいかがでしたか。
「序盤は予定通りの作戦ではありました」
--△3三歩(38手目)は予定でしたか。
「考えたことのある手で、本譜のように△4二飛から△4四銀と使う構想までは想定通りでした。ただ昼食休憩のところ(51手目▲9四歩)が方針の分岐点で、素直に謝るか(△9二歩)、本譜のように突っ張るかを考えたのですが、結果的に端の裏を取られたような気がしました」
--△7三桂(56手目)と跳ねた局面はいかがですか。
「結果的には桂頭のキズがたたるような展開になり、判断がまずかったです。△1二香(58手目)に▲8六角で固まっている(1時間10分の長考)ようでは、△1二香が軽率でした。
--一局を振り返ってください。
「チャンスらしいチャンスがなかったので、内容をよくしたいです」
--次局に向けて抱負をお願いします。
「本局は終盤になる前に差をつけられたので、第3局は終盤まで持ち込めるようにがんばりたいです」
(インタビューのあと、対局者は大盤解説会場へ移動した)
(翔)
五番勝負第2局は87手で藤井棋聖の勝ちとなりました。終局時刻は18時10分。消費時間は▲藤井3時間18分、△杉本3時間59分。五番勝負は藤井棋聖が2連勝し、防衛まであと1勝としました。第3局は6月30日(月)に千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われます。
(飛龍)
上図は△5八角と打った局面。小林健二九段は「▲6六桂ではないでしょうか。△6七角成▲同金△8七香成▲同玉△7九竜(参考1図)のときにいきなり▲8二角と打ち込んで詰むと思います」と話します。終局が近いようです。
上の参考1図からは、▲8二角△8一玉▲9一角成△同玉▲9三香△8一玉▲9二香成△同玉▲9三歩成△同玉▲9四銀(参考2図)から詰んでいます。
(翔)
図は▲4五桂と跳ねたところです。△2九飛成(70手目)で取られる直前に▲3七桂(65手目)と跳ねた桂馬が、さらに4五に跳ねました。遊び駒をあっという間に使いこなす、華やかな跳躍です。
小林健二九段は「終局が近いです。18時までに終わる可能性もあります」と話しています。
(翔)