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第91期棋聖戦五番勝負第1局

2020年6月 8日 (月)

藤井七段の記者会見

感想戦終了後、勝った藤井七段は記者会見に臨みました。


――大熱戦で、最後も王手が延々と続きました。勝ちを意識したのはどのあたりなのでしょう。

藤井七段 際どい展開で時間もありませんでしたし、わからないまま指していました。勝ちを意識したのは△6七金に▲9七玉と逃げたところで、おそらくこちらの玉は詰まないだろうと思いました。

――本日は和服ではなく、スーツで臨まれました。

藤井七段 和服自体は師匠からいただいたものがありましたが、(挑戦権獲得から第1局までに)時間もなくて勝手がわからなかったので。第2局以降で着れればなと思います。

――五番勝負の第1局を制し、タイトル獲得に一歩近づいたといえると思います。勝って心境の変化はあるのでしょうか。

藤井七段 まずは1局勝ててほっとしています。しかしまだまだ先も長いので、第2局以降もしっかり指せればと思っています。

――ありがとうございました。

Photo_53 (藤井七段)

Photo_54(今回の記者会見は別室の記者がリモートで質問し、藤井七段が応じるという形で行われた)

Photo_57 (質問に答える藤井七段に多くのカメラが向けられる)

以上で本局についての更新は終了となります。第2局は6月28日(日)に、同じく「東京・将棋会館」で行われます。お楽しみに。

(康太)

感想戦

Photo_47 (藤井七段は得意の終盤で競り勝ち、タイトル戦初勝利を挙げた)Photo_48(険しい表情が続く。左奥は杉本昌八段)

Photo_49 (渡辺棋聖は終盤でわずかに届かなかったか)Photo_50(先手番の第2局で追いつきたいところ)Photo_51 (感想戦の模様)

Photo_52 (見どころの多い大熱戦だったが、このご時世なので感想戦は手短に終了)

(康太)

終局直後のインタビュー

Photo_45 (まずは勝った藤井七段が主催社からのインタビューに応じる)

―—お疲れさまでした。一局を振り返っていかがでしょうか。

藤井七段 途中苦しくしてしまったとは思いますが、勝負勝負と迫っていったのがよかったのだと思います。

―—タイトル戦初出場で、初勝利を挙げられました。いまのお気持ちはいかがでしょうか。

藤井七段 まず1勝できたことはよかったです。五番勝負ということで、またしっかりと準備を整えて次の対局に臨みたいです。

Photo_46 (続いて渡辺棋聖がインタビューに応じる)

―—渡辺棋聖、お疲れさまでした。本局を振り返っていかがでしょうか。

渡辺棋聖 (開幕局ということで)振り駒なので、作戦はちょっと絞り切れないところがありました。終盤はいろいろあって、ちょっとわからなかったです。

―—第2局に向けての意気込みをお願いします。

渡辺棋聖 月末で間隔が空きますし、2局目からは手番も決まっているので、より準備を整えて臨みたいです。

(康太)

藤井七段が先勝

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157手で藤井七段が勝ちました。終局時刻は19時44分。消費時間は、▲藤井3時間59分、△渡辺3時間59分。藤井七段がタイトル初挑戦で好発進を決めました。第2局は6月28日(日)東京都渋谷区「東京・将棋会館」で行われます。

(吟)

最後の追い込み

20200608p

藤井七段の寄せは決まっていたようで、後手玉は一手一手の状況に陥りました。受けのなくなった渡辺棋聖は豊富な持ち駒を生かし、先手玉を詰ましにかかっています。あとは先手玉に詰みがあるかどうかの勝負。いずれにしても終局が近いのは間違いありません。

(康太)

寄るかどうか

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19時を回り、藤井七段は馬を捨てて寄せに向かいました。しかし攻め駒が少なく、果たしてこれで寄るのかどうか。控室では明快な手順が見つかっていません。

(康太)

混戦

20200608n

前記事の▲1四桂に△2一玉と逃げ、▲1二歩の垂らし渡辺棋聖が△8六香から反撃に転じました。しかし△1八飛の王手に▲6八金(図)と受け、これで先手陣は急に寄る形ではなく、混戦模様とのこと。渡辺棋聖は図の局面で考え込み、残り時間の差もなくなってきました。

Photo_44(藤井七段の師匠である杉本昌隆八段も控室に来訪した)

(康太)

技の掛け合い

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1図は直前の△5七歩を▲同角と取った局面。後手の1筋が危ういようですが、ここで渡辺棋聖は△4六金!(2図)の奇手で切り返します。

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飛車角両取り。控室では「あれ?」「急に後手がよくなったような」「うっかりか」といった声が挙がります。藤井七段は▲1三飛成と突っ込み、△同玉▲4六角△2二玉▲1四桂(3図)と進行。先手が攻勢を維持していますが、△3一玉と逃げたあと、後手も△8六香からの反撃が楽しみです。「どっちがうまくやったの、これ。けど先手の戦力が足りないか?」と勝又七段。深浦九段も「さすがに(△4六金を)うっかりしたのだと思いますが……」と、後手が逆転したという見解を示しています。

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Photo_42 (苦しい流れだったが、渡辺棋聖が一気に巻き返したか)

(康太)

先手の攻勢

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図は17時頃の局面。渡辺棋聖は4三金を遠征させて歩切れを解消したのに対し、藤井七段は権利になっていた端攻めを決行し、桂得を確定させました。

深浦九段、勝又七段に青野照市九段が加わった検討陣は「効率よく馬を追う手があれば先手がよくなりそう」と話しており、▲6四歩を候補に挙げています。以下△4五馬(△同馬には▲3六飛)には▲3七桂とさらに追ってどうか。検討が進むにつれて、次第に先手持ちの声も出てきています。

Photo_41(17時頃の控室の検討陣)

(康太)

渋くキズを消す

20200608b_2図は15時過ぎの局面。藤井七段は▲6七金寄~▲7六歩と待ち続けます。この手順を見て「渋いねえ、17歳とは思えない」と、控室に来訪した勝又清和七段。「年々渋くなっていってるような」と深浦九段。△3六馬には▲9一角成の返し技があるので大丈夫とのこと。それならば後手の8筋攻めに備えるのが先決ということでしょうか。

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Photo_39(勝又七段は深浦九段と継ぎ盤を挟む)

(康太)

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