【羽生善治三冠】
――今日の対局を振り返っていかがですか。
「途中までは反対を持って指したことはあった形ですが、結構険しい変化がたくさんあってよくわからないまま指していました」
―― ▲7一歩成(39手目)は新手だったみたいです。
「そうですね、早めに捨てておかないと危ない変化もあるんじゃないかなと思いました。意味としては同じなのですけどね。昼休で8五桂がなかなか取り切れないので、つまらない将棋にしたかなと思っていました」
―― 作った馬(51手目▲7四角成)が大きいように思えました。
「思ったよりは手ができなかったですね。もうちょっと8五桂が簡単に取れるんじゃないかと思っていましたが、△6六歩を突かれて(56手目)自信がなくなりました」
――勝ちを意識したのは?
「▲8三歩成(95手目)で飛車を取れる形になったところです」
【渡辺明竜王】
――本局を振り返って。
「中盤で冴えない感じになってしまって、その後はダメになってしまいましたね」
――具体的にはどの辺りでしょう。
「△6六歩(72手目)~△5五桂(76手目)と6七を攻めていったんですが、案外入玉含みになってよくなかったです」
――8五桂の存在はプレッシャーになったのでは。
「結局取られるのでちょっと……。取られる間に馬を作り合う展開にしたかったんですが、その後の攻めが淡泊でした」
(翔)
(終局直後)
(先勝した羽生善治棋聖。終始むずかしい表情でインタビューに答えた)
(敗れた渡辺明竜王。ゆっくりと言葉を紡ぎだした)
(翔)
棋聖戦第1局▲羽生善治棋聖-△渡辺明竜王は111手までで羽生棋聖が勝ちました。終局時刻は18時6分。消費時間は▲羽生3時間32分、△渡辺3時間37分。第2局は6月22日(土)に愛知県豊田市「ホテルフォレスタ」にて行われます。
(大盤解説会では、井上九段が「おっちゃん、何問解けたん?」。次の一手で『3手詰ハンドブック2』が当たったお客さんが夢中で解き続けていたようだ)
井上九段「詰将棋は短いのをたくさん解くのがいいですね。私は昔、100何十手の詰将棋を6時間かけて解いたこともありますけど、いまはそんな根気がありません」
続いて話題は弟子の船江五段のことに。
井上九段「最近はネット中継やニコニコ生放送があって便利になりました。今日は私の弟子の船江がニコニコ生放送で解説しています。電王戦(第3局、船江五段がツツカナに敗れた)では自分の弟子ながら立派な態度やなと思いました。さっき放送で『師匠にあまり怒られたことはない』と言っていたんですが、100回くらい怒ったし、寿命が縮むような怒り方も3回くらいしたんですが……。でも立派になってくれてよかったです」
井上九段「先手を持って指してみたいですね」
安用寺六段「駒得なんですかね」
井上九段「銀得ですが、(△6七歩成から銀桂交換になるので)実質桂得ですね。しかし▲8三歩成で飛車が取れますからね」
安用寺六段「それまでに後手が攻めをつなげられるかということですか。しかし渡辺竜王は細かい攻めをつなげるのが上手ですから、まだわかりません」
(翔)