――豊島八段、本局を振り返っていかがでしたか。
豊島八段 力戦型で、ずっと難しい将棋でしたが、途中は疑問手やよくない手をたくさん指していたと思います。
――羽生棋聖のほうが、出だしで工夫されたと思います。しかしわずか3分で▲7八金を指しましたが、あのあたりはいかがでしたか。
豊島八段 予測はしていませんでしたが、この段階で考えても先の見通しが立てられないので。
―― 2勝1敗でタイトルにあと1勝となりました。次への意気込みをお願いします。
豊島八段 次の対局もしっかり準備をして頑張りたいと思います。
――羽生棋聖、工夫の出だしでしたが、いかがでしたか。
羽生棋聖 (△3二金~△7二飛で)力戦調の将棋にはなると思いましたが、そのあとが指してみないことにはよくわからないので。ただ端を攻められたところで少し悪くなってしまいましたね。もう少しゆっくりとした指し方をすべきだったかもしれません。
――1勝2敗となってしまいましたが、次への意気込みをお願いします。
羽生棋聖 気持ちを切り替えて、また次に臨みたいと思います。
(康太)
棋聖戦第3局は19時33分、145手で豊島八段が勝ち、五番勝負の成績を2勝1敗としました。消費時間は、▲豊島3時間59分、△羽生3時間59分(持ち時間は各4時間)。
図の局面は羽生棋聖が数の負けている5七に突っ込んでいったところ。5筋の歩を取ると▲5四歩が発生。さらに桂を渡すので▲3四桂も生じます。これでは終局が近そうだと見られていました。ところが……。
1図以下、▲同銀△同桂成▲同角△5五角成▲3四桂△2二歩(2図)と進行。最後の△2二歩が1二竜の利きを遮っており、後手玉への厳しい攻めが見えにくくなりました。まだ駒損の羽生棋聖が相当に苦しいのは間違いないですが、先手も楽観できる状況ではないようです。
(康太)