――本局を振り返っていかがでしたか。
渡辺 △5四金(42手目)からちょっと大胆な指し方でこられて。均衡が取れるように指してたつもりだったんですけど、一気にバタバタとダメになってしまったような内容でした。
――△5四金は予想されていなかったでしょうか。
渡辺 前例もあまりない将棋だと思うので、互角ぐらいのわかれを探してはいたんですけど。
――△3一銀(58手目)のあたりはいかがですか。
渡辺 ▲6六角(57手目)に△3二金かなと思ってたので、△3一銀は全然読めてなかったですね。そのあとやっていたら、いきなりダメになってしまったので。▲3四歩(61手目)と取り込んだあたりが悠長だったのかなというのは、いま思っていることですけど。
――カド番で第3局を迎えることになりました。
渡辺 今日はちょっと差がついてしまったので、もう少しいい将棋を指さないといけないなと思います。
――名人戦と棋聖戦のダブルタイトル戦で、研究や体調管理は大変ではないですか。
渡辺 (名人戦第3局と本局は)中1日だったんですけど、睡眠も予定してたとおりに取れて、今朝起きた段階では体調がよかったので、体調管理や研究などもうまくこなせたと思います。
(牛蒡)
――本局を振り返っていかがでしたか。
藤井 序盤はやってみたかった作戦で、積極的に動いていけたかなと思っていたんですけど、こちらの玉が薄い形なので、難しい局面が続いたと思っています。
――やってみたかった作戦とは△5四金(42手目)から△4二飛(44手目)のことでしょうか。
藤井 △5四金はその局面になればやってみたい手でした。5三歩型だと部分的にある手で、本譜の形でもやってみたかったです。
――作戦的にうまくいったということでしょうか。
藤井 △5四金のあとも難しいと思っていました。
――午後に入って激しい攻め合いになりました。
藤井 途中から激しくなったんですけど。うーん、▲6六角(57手目)に△3一銀(58手目)と受けたんですけど、△3一銀では、あまり自信がある感じではないのかなと思いました。
――これで2連勝。奪取まであと1勝になりました。
藤井 ここまでいい状態で指せているかなあと思うので、次戦も気負わずに臨みたいと思います。五番勝負だと5局でひとつの勝負だと思っているので、次もいままでと変わらない気持ちで臨めれば。
――和服での対局についての感想を教えてください。
藤井 和服は長時間の対局では初めてで、どんな感じかわからないところもあったんですけど、実際着てみると思ったより快適というか、普段どおりやれたのかなと思っています。
――7月から王位戦七番勝負も始まり、大変になると思いますが。
藤井 今後も対局が続くので、休むときはしっかり休んで、体調を崩さないようにしたいと思います。
(牛蒡)
この局面で渡辺明棋聖が投了し、藤井七段の勝ちとなりました。終局時刻は18時38分。消費時間は、▲渡辺明3時間50分、△藤井聡3時間55分。藤井七段は2連勝です。
先手は粘りづらい形です。後手勝勢で終局間近と見られています。
(牛蒡)
佐藤康九段、鈴木九段、中村修九段が検討を進めています。佐藤康九段が検討の中心です。飯島栄治七段と伊藤真吾五段も控室を訪れました。飯島七段はサンケイスポーツの局後解説を担当します。