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第83期棋聖戦五番勝負第3局

2012年7月 8日 (日)

博物館

有福温泉から出雲空港に向かう途中で、島根県立古代出雲歴史博物館を見学しました。

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学芸員の方から説明を受ける羽生棋聖と中村六段。

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上の写真で両者が見ていた出雲大社の復元模型。

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第83棋聖戦の中継はこれで終了いたします。
今期もご観戦いただき誠にありがとうございました。

(八雲)

一夜明けて

対局の翌朝、記念撮影が行われました。

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「(一夜明けて実感はわきましたか、の問いに答えて)ああ、そうですね。今朝の産経新聞を見て、実感がわきました笑」と羽生棋聖。

続いて、翌朝に撮影した有福温泉の街並みを掲載いたします。
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(八雲)

2012年7月 5日 (木)

記者会見

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タイトル戦が終わってホッとした気持ちもありますし、大変な記録を達成できたということでの充実感もあります。数字のうえでは、あとひとつという状態は分かっていたわけですけれども、具体的に現実味を帯びてきたのは、この五番勝負であとひとつになったときに、そういう可能性があるんだなぁと思いました。始まる前は特に考えませんでした。対局が続いていくほうが、集中する意味ではやりやすいです。ただ実際的なコンディションの問題もありますので、そのあたりを考えながらこの一週間は過ごしていました。

748_3数字のことではなくて、本当に大山(康晴)十五世名人に追いついたとか、そういった実感はまったくないですし、偉大な大先輩、棋士という意味では変わりはありません。今となっては対局することはできないですが、少しでも近づけるように向上していけたらと思っています。

印象に残っているタイトル戦は、やはり初めて十代のときに出た竜王戦です。予選とは違う舞台、和服を着ること、設営に関しても至れり尽くせりという感じで将棋が指せてありがたいなと思いましたし、なじんでいくのは大変だなと思った記憶があります。記憶としては、今日の棋聖戦など最近のもののほうがよく覚えています。
最近の実感として、タイトル戦を1回勝つのは本当に大変なので、今後の数字の目標をあげるのは非常に難しいです。ただまだ四十代ですので、自分なりに工夫をして、結果として獲得数なども増えていけばいいなと思います。六十代、七十代になって元気に活躍している先輩も多いですが、あんまり先のことを考えると嫌になってしまうので(笑)、自分なりにできることをやっていくのがいいかなと考えています。

こうして現実に81期となっても、もうそんなになったかなと思うところもありますし、将棋はそもそも一手ずつ指していくものなので、状況に関わらずベストを尽くしていくしかありません。長いスパンでの戦いですので、マラソンを走っているというような感じでやってきました。 三十代に入ってから後輩の棋士との対戦も増えてきて、序盤の細かい作戦的なところも変わってきて、ぼんやりしていると置いていかれてしまう。そういう感覚はあります。若い人たちは本当に熱心なので。経験をどうやっていかしていくかを最近は考えていますし、モチベーションも急に極端に上がることも下がることもないので、平均的によいパフォーマンスを目指していくことについて、年代が上がったことでやりやすくなっているのかもしれません。年代が上がったなりの強さを見つけてやっていくことはモチベーションになるかなと思います。

有福温泉は自然にあふれていて静かな場所ですし、対局場として素晴らしいと思いました。温泉にも入りましたし、将棋に集中することができました。

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(文章書き起こし=烏)
(写真=八雲)

感想戦

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大盤解説会場から戻り、あらためて感想戦が行われた。

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羽生棋聖のタイトル81期の偉業達成に、多くの報道陣が詰めかけている。

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大盤解説会場へ

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インタビュー終了後は大盤解説会場に移動してファンの前で対局を振り返った。

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(八雲)

終局直後

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終局直後の様子。

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3連勝でタイトル防衛、11期目の棋聖位を獲得した羽生棋聖。

【羽生善治棋聖インタビュー】

――第1局と同じく横歩取りになりました
「横歩取りの可能性はあるかなと思っていました」

――序盤の▲9六歩は中村さんが1年前に指した手でもあります
「8筋に歩を打たないでやるとどうなるのかわからなかったので指してみました。似た形の経験はありますが、同じ形はほとんどないです」

――▲8六角がふんわりとした手という評判でした
「しかし、危なかったかもしれないですね。壁の状態で戦いになってしまったので、自信が持てない展開になってしまいました」

――勝ちと思ったのはどのあたりですか
「(71手目)▲6五銀と打って、はっきりよくなったかなと思いました」

――これで今期もシリーズ3連勝で防衛となりましたが、シリーズを振り返られて

「第1局は完全に負けの将棋だったので拾ったような感じでしたかね。全体的に非常に複雑な展開が多かったと思います」

――今回は17歳年下の中村さんとの戦いになりましたが
「そういう機会はこれから増えていくのかなと思っています」

――これで大山十五世名人の80期を超えてタイトル通算獲得数の単独1位となりました。心境はいかがでしょうか
「終わったばかりなので手応えとかは全くないんですが、素直によかったと思います」

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中村太地六段は初のタイトル挑戦も3連敗。

【中村太地六段インタビュー】

――本局を振り返って
「中盤以降ずっとギリギリの変化がいろいろとあって、全く分からない状態でした」

――形勢を損ねたと思ったのはどのあたりでしょうか
「(45手目)▲2四桂と踏み込まれる手を予想できていませんでした。読んでいる中では足りない変化が多かったので、もしかしたら悪いのかなと思って指していました」

――シリーズを振り返って
「普段指している戦型で結果を出せなくて残念でしたが、大舞台で自分らしく指せたかなと思います」

(八雲)

羽生棋聖、タイトル81期の大記録達成

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第83期棋聖戦第3局は、77手まで羽生棋聖の勝ちとなりました。終局は18時33分、消費時間は▲羽生3時間45分、中村3時間59分。
五番勝負はこれで羽生棋聖の3連勝。防衛を果たすとともに81期目のタイトル獲得となり、(故)大山康晴十五世名人が持つタイトル獲得数80期の記録を破りました。

先手勝勢の声

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図の▲2六金は強い手で決着をつけにいった一手。
ニコニコ生放送解説の屋敷九段も予想しており、この手で先手勝ちと見ているようです。

控え室も終局近しの雰囲気。
羽生棋聖が勝てば、タイトル獲得数歴代単独1位の偉業が達成されます。

(八雲)

羽生のギヤチェンジ

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画像は控え室にどよめきをもたらした▲3六飛がさされた局面。

「指されてみれば羽生棋聖らしいスピードダウンするギヤチェンジの一手ですね。しかし、ここで▲3六飛は思いつかない。こんな切り合いの場面で緩急をつけられたら、中村さんは疲れちゃうね」と勝又六段。

▲3六飛以下、△4五角成▲2三飛成△2五金と進みました。
▲2三飛成が指された瞬間、モニターを見ていた関係者からは「羽生さんの手が少し震えた」の声。

(八雲)

粘りある一手

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17時30分過ぎ、控え室でも予想されていた△3三金が指されました。
一時は先手優勢と見られていましたが、この手が粘りある好手で控え室の見解は「形勢不明」に戻っています。

―棋譜コメントより抜粋―
「△3三金以下▲2二飛△4二金▲2一飛成に△4四歩(参考図)と馬の利きを通し、手番がまわれば△2四銀と桂を取りきることができる。途中の▲2一飛成に代えて▲4五桂も、△3四金▲同飛△同銀▲3二桂成△6四歩で、これも一筋縄ではいかない」

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17時45分頃、実戦は△3三金以下▲2二飛△4二金に▲4五桂(次図)と進みました。
▲4五桂までの局面で「羽生さんが残り26分。中村さんは19分」と対局室から戻ってきた勝又六段。

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(八雲)

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