【勝った渡辺明二冠の話】
――本局を振り返ってください。
「手将棋みたいな進行でした。模様をよくしようと思って動いていったんですが、反撃されたところは動きすぎたかなと。仕方がないんですが……」
――戦型は第1局と同じ矢倉模様でした。
「もちろん第1局を踏まえてです。中間に別の棋戦でも指したので、その辺も踏まえてです」
――どの辺りで自信が持てそうになりましたか。
「模様がよさそうな局面は続きましたが、はっきりしたのは▲6三歩成(95手目)で駒得になりましたので。それまでは攻めあぐねている感じもあって、長い将棋になるのを覚悟していました」
――あと1勝で初の棋聖位ならびに三冠復帰となります。
「第4局までしばらく間が空くので、しっかりと準備をして臨みたいと思います」
【敗れた豊島棋聖の話】
――本局を振り返ってください。
「▲9六同香(53手目)のあと△4一玉(54手目)と引くのでは失敗したと思っていました。△5二玉(44手目)と上がった手か端を攻めていった手がよくなかったのかなと思いました。どうやればよかったかはわかりません」
――本局に敗れて1勝2敗になりました。カド番となった第4局に向けては?
「苦しくはなりましたけど、気持ちを切り替えて次も頑張りたいと思います」
図の局面で豊島棋聖が投了しました。終局時刻は18時2分。消費時間は、▲渡辺明3時間16分、△豊島3時間51分。勝った渡辺二冠はシリーズ成績を2勝1敗とし、棋聖奪取にあと1勝に迫りました。第4局は7月9日(火)に新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」で行われます。
17時30分過ぎ、図の局面になりました。▲6四歩に後手が手を抜いて△8六歩と取り込んだ局面です。▲6三歩成を受けずに豊島棋聖が決着をつけにいったといえるでしょう。▲6三歩成のときに後手にいい攻めがあるかどうか、控室で検討されています。後手にうまい攻めがなければ先手が押し切る可能性が高そうです。
(琵琶)
16時過ぎ、局面は図のように進みました。控室では▲5四桂と銀を取って△同銀に▲8二銀と打つのが好手といわれています。△8二同飛は▲6三歩成が飛車取りになるため、△5一飛と逃げますが、▲9一銀不成と香を取るのが急所で先手よし。以下△8四桂には▲9九香とつないで後手の攻めを受け止めます。
(琵琶)