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2026年7月 1日 (水)

共同記者会見

棋聖7連覇を達成した藤井棋聖の共同記者会見が行われました。

Dsc_5276(記者会見の様子)

【藤井聡太棋聖の記者会見】
――7連覇おめでとうございます。

藤井 ありがとうございます。

――現在の率直な思いをお聞かせください。

藤井 服部七段とは奨励会の頃から対戦がありますので、タイトル戦という大舞台で対戦できることは非常に楽しみでもありました。内容としては中盤戦の構想力や判断力が問われる将棋が続いたかなと思うのですが、その中で集中して自分なりの方針を見いだして指していくことができたのかなと感じていますし、それが結果にもつながったのをうれしく感じます。

――棋聖戦の連覇記録は羽生善治九段の10連覇です。7連覇はそれに次ぐ大山康晴十五世名人に並ぶ記録です。記録についてどのように思われますか。

藤井 連覇記録は一度途切れてしまうと次を目指すのがなかなか難しいと思うので、今回はそれをひとつ伸ばしつつ、大山十五世名人に並ぶことができたのは非常に光栄なことだと思います。来年も厳しいシリーズを迎えることにはなるかと思いますが、ひとつひとつ一局一局を大切にして頑張っていけたらと思います。

――年明けの王将戦と棋王戦ではカド番に追い込まれる試練を迎えましたが、見事に跳ね返しました。続く名人戦と棋聖戦ではストレートで防衛を果たしました。現在は好調の波に乗っているように見受けられますが、どのように立て直されたのですか。秘訣があればぜひ。

藤井 結果だけではなくて内容的にもあまり思わしくないかなと感じることもあったのですが、そういう状況をすぐに反転させるようなことは難しいのかなと思いますし、特別なことを意識したという感じではなかったです。結果として徐々に上向いてきたのは幸運もあったかなと感じています。一方で調子の波というのはある程度は避けられないのかなと実感しました。ある程度は受け入れつつ、どんな状況であっても全力を尽くすということを大切にできればと思っております。


――藤井棋聖にとって沼津という土地は初めてタイトルを防衛され、九段に昇段されたゆかりの地であると思います。当時を振り返りながらいまのお気持ちをお聞かせください。

藤井 沼津で対局をさせていただくのが今回で3回目でしたが、私にとっての初めての防衛戦という状況でした。将棋のことは今でもよく覚えていますし、終盤で少し苦しかったのですが、勝負手を放つことができた思い出に残る一局になっています。棋聖戦を長らく開催していただき、地元の方の熱意をすごく感じています。歓迎して迎えていただいて、集中して対局に臨めていると思っています。

Dsc_5205(言葉を選びながらコメントする藤井棋聖)

――結果と内容といった話がありましたが、初防衛のときの会見で「結果ばかり求めていると結果が伴わないときにモチベーションを保つのが難しくなる。だから内容を求めていくのだ」といった趣旨のことを話されていました。経験を重ねて結果と内容、そしてモチベーションとの関係をどう感じて戦っておられるのでしょうか。

藤井 今でも基本的に同じように考えてはいて。結果というのは客観的に求められることでもありますし、棋士として重要なものではあるのですが、一方でどうしても結果に関しては勝ちか負けかという結果が伴うわけなので、いいときもあれば悪いときもあります。それに気を取られてしまうと長期的な目標を見失ってしまうようなところもあるのかなと思っていて。一手ごとに自分で判断して選んでいくわけで、振り返って新たな発見があることも多いので、それを大事にして長い目で見たときに少しでも実力を高められればと思っております。

――4日から浜松で王位戦があり、10月には三島で竜王戦が行われます。静岡の皆さんにメッセージをお願いします。

藤井 静岡で対局を指せていただくのは多く、将棋が非常に盛んな地域なのかなという印象を持っています。4日の王位戦、秋の竜王戦のどちらも多くの方に注目していただき、期待をしていただける対局になると思います。対局を迎えていただける地元の方や注目していただく多くの方の期待に応えられるように精一杯頑張りたいと思います。

――棋聖戦が終わり、週末の王位戦開幕に向けての抱負をお願いします。

藤井 伊藤匠二冠との対戦になります。伊藤匠二冠の強さはこれまでのタイトル戦でも感じているので、それを踏まえてよりよい将棋を指していけるようにしたいです。2日制ということでより深く一手一手考えていければと思っています。

――今回の服部七段のように同世代や若い世代の棋士がタイトル戦に続々と上がってきていると思いますが、藤井棋聖にどのような刺激やインスピレーションを与えていますか。

藤井 服部七段とは奨励会で何局も対戦がありましたし、伊藤匠二冠とは同じ歳ということで、近い世代の方とタイトル戦で対戦する機会が多くなってきたのかなと感じています。服部七段も伊藤匠二冠も私と棋風が違うといいますか、自分にはない強さを持たれている棋士だと感じるので、そういった方とタイトル戦の大舞台で複数局戦うのは自分にとって非常に刺激になることかなと感じています。

Dsc_5329(地元支部の方から花束が贈呈された)

Dsc_5396(初戴冠から6年が経った藤井棋聖)

Dsc_5432(大山康晴十五世名人と並ぶ棋聖7連覇を達成した)

中継は以上です。今期もご観戦ありがとうございました。来期の棋聖戦もよろしくお願いいたします。

【お知らせ】
7月11日(土)に駒テラス西参道で飯島栄治八段、佐藤紳哉七段によるヒューリック杯第97期棋聖戦振り返り大盤解説会&指導対局会が行われます。詳細は下記URLをご参照ください。
https://www.komaterrace.com/info/2026/06272001133440.html

(琵琶)

両対局者が大盤解説会場へ

Dsc_4971(感想戦終了後、両対局者が大盤解説会場に移動した)

Dsc_4947(感想を述べる藤井棋聖)

Dsc_4995(はっきりとした口調で語る服部七段)

Dsc_5058(大盤を使ってポイントの局面を振り返る)

Dsc_5072(会場のファンは大きな拍手で両対局者を称えた)

(琵琶)

感想戦

Dsc_4826(感想戦の様子)

Dsc_4851(攻め駒をきれいにさばいて快勝の藤井棋聖)

Dsc_4821(守勢のまま押し切られた服部七段)

Dsc_4839(検討中に笑みを浮かべる場面もあった藤井棋聖)

Dsc_4806(どこで苦しくなったかわからないと話す服部七段)

Dsc_4907(感想戦を見守る立会人の青野九段)

(琵琶)

終局直後の様子

Dsc_4774(3連勝で防衛し、7連覇を達成した藤井棋聖)

【勝った藤井聡太棋聖インタビュー】
――先手番で得意の角換わりになりました。序盤の立ち上がり、午前の戦い方はいかがでしたか。

藤井 こちらがどう打開を目指すかという将棋で▲2六角(51手目)と打ったのですが、△5二金~△5五歩と柔らかく対応されて、打った角が働くか見通しが立たない展開になってしまったかなと思いました。

――手持ちの角を2六に打ちました。決断の角打ちという覚悟の手でしょうか。

藤井 ▲6八金上(49手目)と固めて、△5二金以外の手だったら動いていってから考えようと思っていたのですが、▲2六角か▲4五歩か、そのあとも難しい展開になるのかなという感じがしました。

――昼食休憩が明けて▲4四歩(57手目)と取り込みました。昼食休憩のときもかなり考えたのですか。そのあたりの心境はいかがですか。

藤井 △4一飛(56手目)に▲4六銀と出る手が利くかどうかを考えたのですが、△4七角で催促されてうまくいかないと判断して本譜を選びました。ただ、▲4六歩に△5三銀と引かれて、次に△4四歩が間に合ってしまうと2六角の働きを封じられてしまうので、依然として忙しい展開なのかなと感じていました。

――午後の流れはいかがでしたか。

藤井 やはり強く△5三銀(60手目)と引かれて、次に△4四歩と打たれてしまうと2六角が働くなって苦しくなってしまうと感じました。なにか動いていくしかないと考えてやっていました。

――午後からは構想通りに進んでいたのでしょうか。

藤井 ▲5六歩(61手目)△同歩▲同銀△4六飛と進むと本譜のような展開が考えられると思っていて。▲5八飛(67手目)の局面は1歩しかないので攻めが細い感じもしましたが、玉の堅さを生かせる展開に持ち込めたらと考えていましたか。

――終盤は速度を重視していきたい感じだったのでしょうか。

藤井 自玉に手がつく前に攻めの形を作れればと考えていました。

――自玉の堅さが生きましたか。

藤井 重たいですけど▲5五金(77手目)と打って、攻めが続く形になったと思いました。

――総括をお願いします。

藤井 全体的にこちらが細い攻めをつなげていけるかどうか。激しい変化も多くて、判断に悩む局面が多かったかなと感じており。

――3期連続でのストレート勝ちになります。感想をお願いします。

藤井 シリーズを通して集中して指すことができたと感じていますし、結果につながったことをうれしく思います。

――棋聖7連覇は大山康晴十五世名人と並んで歴代2位の記録です。

藤井 その点は意識していませんでしたが、幸運なことだと感じます。連覇は途切れると目指すのが難しくなりますので、少しでも長く続けられるように来期に向けて取り組んでいけたらと思います。

Dsc_4791(3連敗で敗れたタイトル初挑戦の服部七段)

【敗れた服部慎一郎七段インタビュー】
――藤井棋聖得意の角換わりを受ける展開になりました。

服部 角換わりなら右玉でいこうと思っていました。

――午前中の流れはいかがでしたか。

服部 金をお互い動かして待ちながらという感じでした。▲2六角(51手目)と打たれてからも本譜は自然な対応だと思っていました。6八金型が堅いので、2六角の攻めがヒットしないようにと思っていたのですが、どこでバランスを崩したのかは今のところはわかっていないです。

――△4一飛(56手目)と回ったのは自然な流れだったのでしょうか。

服部 △5二金(52手目)に▲4五歩なら△5五歩と突いてから▲4七銀に△4一飛で軽くと思ったのですが、もしかしたら△4三金左と上がったほうがよかったのかもしれません。

――昼食休憩明け以降の流れはいかがでしたか。

服部 いつか▲5六歩と突かれるとは思っていたのですが……。△5三銀は△4四歩で角を止めて形だと思ったのですが、なかなかそういった展開にはならなかったので、△5三銀が危なかったのか。△4六飛も危なかったかもしれません。

――気になる指し手はありましたか。

服部 △4六飛(64手目)と走ると▲5八飛まで進むと思っていたので、できれば飛車は走りたくはなかったです。そこでなにか見つけられないかと考えていたのですが、読んでいくうちに6八金型が堅くて。次に▲6五歩や▲4五桂をからめて攻められるので、どう指せばよかったのかわかっていないです。

――一局を振り返って。

服部 △5五歩に▲4七銀(55手目)と引かせたところは、実戦的には自玉が薄いので大変かもしれないですが、難しい戦いぐらいはあったと思うので、方針を固めないといけなかったかもしれません。

――初タイトル戦を迎えていかがでしたか。

服部 貴重な経験。開幕する前の1ヶ月前から取り組んで、将棋漬けの日々でした。結果は残念でしたが、自分としては充実していたと思います。

――実力を発揮できなかったという考えでしょうか。

服部 100パーセントの力を出し切れなかったような感じもしますが、でもやっぱり力不足だったと感じております。また来期、頑張りたいと思っています。

Dsc_4766(終局直後の対局室)

(琵琶)

藤井棋聖が制して棋聖7連覇を果たす

20260701_87藤井聡太棋聖に服部慎一郎七段が挑戦するヒューリック杯第97期棋聖戦五番勝負第3局は、17時11分に87手で藤井棋聖の勝ちとなりました。消費時間は▲藤井2時間58分、△服部3時間29分。
本局の結果、五番勝負は藤井棋聖が3連勝で防衛。棋聖7連覇を果たしました。
(銀杏)

先手がギアを上げる

20260701l△5四歩(図)は飛車と金の連携を崩しにいく手です。藤井棋聖は百も承知のようで、▲6四金と歩を取りました。△5六竜と飛車を取られますが、▲7四歩で後手は受けが難しいと控室ではいわれています。△6二銀と上がる手が目につきますが、▲7三歩成△同銀に▲7一角成と捨てる手があるようで、△7三同玉に▲7三金(参考図)が厳しい寄せになるようです。後手玉は▲7二銀までの詰めろ。△7二飛には▲7四歩とつないでおけば、後手はしのぐのが難しいかもしれません。

20260701m

好調な攻め

20260701j冨田五段が「らしい粘りですねぇ」と語ったのが1図の△5一銀打でした。以下▲5二と△同銀引として踏ん張ります。しかし、藤井棋聖は攻め手を休めることはしませんでした。▲7五歩△同歩に▲5五金(2図)がその順です。▲5五金は4五桂を守りながら▲6四金~▲7四歩や▲5六飛を見ています。先手が好調な指し手を続けています。

20260701k

Dsc_4001(信玄袋から時計を取り出す藤井棋聖)

(琵琶)

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