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2025年6月30日 (月)

記者会見

Dsc_9135(ホテルのスタッフから花束が贈呈された)

Dsc_9183(続いて記念撮影が行われた)

Dsc_9217(穏やかな表情を浮かべる藤井棋聖)

Dsc_9291(6連覇を指で現す藤井棋聖)

Dsc_9370(続いて記者会見が行われた)

【藤井聡太棋聖の記者会見】
――防衛おめでとうございます。6連覇の率直な思いをお聞かせください。
藤井 今回も結果は幸いしましたが、内容は際どく、これまでの6期を振り返っても、どれも大変なシリーズだったと思います。幸運な結果だと受け止めています。
――今期の全3局を振り返って。
藤井 振り飛車党の方とのタイトル戦は多くないので新鮮な気持ちを感じながらの戦いでした。第2局は中盤で指しやすくなって勝ちきることができたんですが、第1局と第3局は序、中盤で急所をつかむことができなくて、終盤戦も際どいところが多かったので、対抗形ならではの感覚をつけていく必要があるのかなと感じました。
――挑戦者の杉本六段の印象は。
藤井 長い持ち時間の対局は今回が初めてでしたので、楽しみでもありました。序盤から中盤にかけて常に急所が見えないというか、そうした指し回しをうまくされたと感じます。終盤戦では鋭く踏み込まれる手もあって、粘り強さと鋭さを兼ね備えられているのかなと感じました。
――通算タイトル獲得数が30期の大台に乗った。渡辺明九段の31期が次の目標になるかと思う。
藤井 これまで30期を積み重ねられたことには幸運もあったと思う。ここからさらに積み重ねていくためにはより実力が問われることが多くなる。そのことを意識してしっかり取り組んでいけたらと思います。
――棋聖戦は今期から賞金が増額された。
藤井 対局者としてはありがたい話と感じていますし、注目いただける面もあると思うので、より気持ちが入るところがありました。対局するにあたって直接意識することはないのですが、賞金を増やしていただいた重みもあるので、来期に向けてしっかり取り組んでいかなくてはいけないと思っています。
――将棋界への影響についてはどう思うか。
藤井 棋士だけでなく、これから棋士を目指す方にとってもすごく大きなモチベーションになると思いますし、社会的な注目も高まってくると思います。私自身は一プレイヤーとして見合った将棋を指せるように意識して取り組んでいきたいと思います。
――今後の目標について。
藤井 まずは王位戦七番勝負が開幕して、棋聖戦とは違った展開になると思うので、切り替えて準備していきたいと思います。

Dsc_9644_2(週末からは王位戦の防衛戦が始まる)

――振り飛車党とのタイトル戦というと、菅井竜也八段と杉本六段の違いは感じたか。
藤井 違った感覚はあったと思います。今回は対抗形の中でも特にじっくりした序盤戦が多く、相居飛車ですと直線的な展開になることも多いですが、対抗形らしく戦いが始まっても押したり引いたりがあり、考えていてわからないことも多かった。将棋の難しさを感じたシリーズだったと思います。
――賞金の使い道は。
藤井 今の時点で何か具体的な使い道を考えているわけではないんですけれど。両親に何かプレゼントすることも考えてみたいと思っています。
――初タイトルから5年たたずにタイトルを30期獲得した。振り返ってどうか。
藤井 初めて棋聖を獲得できたときを振り返ると、もうそんなにたったんだな、という感覚が強いです。タイトル戦の経験を通して成長できたところも多かった。最近は一進一退というか、シリーズごとによかったところもよくなかったところもある感覚を持っているので、経験を生かしつつより強くなるためにはどうすればいいか、しっかりと考えていかなければいけないなと思っています。
――春から名人戦、棋聖戦、王位戦とタイトル戦が重ならないように進んでいる。楽になったと感じるところはあるか。
藤井 一局ごとの準備にしっかり時間を取れていると感じますが、実戦感覚は公式戦を指してみないとつかめないところがあるので、バランスを踏まえて状況に応じて取り組んでいく必要があると思っています。
――各地のホテル三日月で7戦全勝。対局場の相性は感じるか。
藤井 私の場合ですと、ホテル三日月さまは歓迎していただいて対局に集中して臨めている、結果も幸いしていると感じていました。相性がいいときは思い出して、悪いときは意識しないスタンスがいいのではないかと思います。
――ファンの方にメッセージを。
藤井 ご覧いただきましてありがとうございました。際どい局面が多かったと思いますし、シリーズ通して複雑な状況・局面が多くあったのかなと思います。その中で6連覇という結果を出せたことはとてもうれしく思っています。タイトル戦では久しぶりの対抗形になって、非常によい経験ができたと思います。棋聖戦では来期の防衛戦に向けて実力を高めていけるように取り組んでいきたいですし、直近ですと王位戦七番勝負に向けて準備をしていきたいと思います。

Dsc_9582(笑みを浮かべる藤井棋聖)

以上で第96期棋聖戦の中継を終了いたします。最後までご観戦いただき、ありがとうございました。

(琵琶 書き起こし=文)

感想戦

Dsc_8810(感想戦の様子)

Dsc_8964(笑みが漏れる藤井棋聖)

Dsc_9126(盤上を食い入るように見る杉本六段)

Dsc_8903(ヒューリック株式会社の西浦会長も感想戦を最後まで見守る)

Dsc_8834(杉本六段は厳しい表情を浮かべるシーンも)

Dsc_8875001 (鋭い視線で盤上を見つめる藤井棋聖)

Dsc_9130(第96期棋聖戦は藤井棋聖の6連覇で幕を閉じた)

(琵琶)

両対局者が大盤解説会場へ

Dsc_8555(登壇する両対局者)

Dsc_8632(ポイントの局面を振り返る藤井棋聖)

Dsc_8587(多くのファンに感想を語る杉本六段)

Dsc_8601(石井七段と本田女流四段が感想を尋ねる)

Dsc_8639(会場には多くのファンが訪れた)

(琵琶)

終局直後の様子

Dsc_8500_2(3連勝で防衛を果たし6連覇達成の藤井棋聖)

【勝った藤井聡太棋聖】
――今シリーズ初の中飛車でした。序盤は想定の範囲内でしたか。
藤井 ▲5四歩(29手目)と突かれるのはあまり想定していなくて。そこでどういう方針で指すか、悩ましい局面を迎えたのかなと思っていました。

――▲4八金(25手目)と上がられて▲5四歩(29手目)と突いたあと、互いに時間を使った局面がありました。そのあたりを振り返って。
藤井 そうですね。先手の指し方もかなり手広いかなと感じていたので、どういうふうに進むか長考した段階でも、わからないかなと思っていました。

――後手番ながら積極的な指し回しでしたが、意識していたのですか。
藤井 お互い1歩を持ち合う形になり、できれば動いていく手をやっていきたかったのですが、そういう手が具体的に精査できなかったので、△5五歩と打ってからはあまり主張がない展開にしてしまったかなと思います。

――午後に入ってからはいかがでしたか。
藤井 △5五歩(42手目)と打ってからはこちらの陣形が伸びきってしまっていて。陣形を生かした指し方が思った以上に難しいかなと感じたので、自信のない展開になってしまったかなと思っていました。

――△5六歩(62手目)と突いたところはいかがですか。
藤井 △5六歩はあまりやらないほうがいい可能性も結構あるかなと思ったのですが、ただ陣形に進展性がないので他の手もそれほど自信が持てる局面ではないのかなと思っていました。

――自信の持てる局面になったのはどのあたりですか。
藤井 終盤はかなり際どい形でわからなかったです。▲3二金(75手目)に△同飛と取るか玉を寄るかかなり迷っていたのですが、最後の最後に△2七銀(84手目)と打って初めていけそうなのかなという感じがしました。

――3連勝で防衛し、6連覇を達成しました。タイトル獲得も大台の30期になりました。
藤井 ここまでのタイトル戦を振り返ると、どれも大変なシリーズばかりなので、30期という結果は少なからず幸運もあったのかなと感じています。

――シリーズを通して。
藤井 序、中盤が長い将棋が多かったのですが、考えてもなかなか急所をつかめないということも多かったので、対抗形ならではの難しさを感じたところも多かったかなと思います。

Dsc_8510(終局直後の主催者インタビューの様子)

Dsc_8535(穏やかな表情で振り返る杉本六段)

【敗れた杉本和陽六段】
――中飛車を選択されました。
杉本 △2二玉(28手目)と寄られた手に対して、▲5四歩(29手目)と突くあたりで想定を外れたのですが、じりじりした展開が続いて難しいところがありました。

――序盤は研究の範囲内で進みましたか。
杉本 似たような形はなりやすい面があって。同じではないですが、類型は指したことがあったので、そのあたりで多少は経験のある形でした。

――午後に入って流れはいかがでしたか。
杉本 △7二飛(46手目)と寄られたところで▲6八角はやや我慢したような手なので、もう少し積極的な手を探したのですが、難しくて本譜は辛抱した感じです。

――一局を通していかがでしたか。
杉本 ▲3二金(75手目)に△1二玉の局面で▲5二歩はちょっとぬるいような気がしたのですが、代案が見えなくて。そのあたりが悔やまれるところです。

――初めてのタイトル戦ということに関して。
杉本 はっきりとした自分の課題が目に見える形で現れたので、今後の棋士人生に生かしていきたいと思います。

――得るものはあったと思いますが。
杉本 やはり今まで経験したことがないような舞台でしたので、どうなるかなと不安はあったのです、始まってしまえば将棋のほうでは集中して指すことができましたので、そのあたりは周囲の方に感謝したいです。

Dsc_8538(藤井棋聖に続いて杉本六段への取材が行われる)

(琵琶)

藤井棋聖が防衛、6連覇達成

Kisei20250630010184

五番勝負第3局は藤井棋聖が勝ちました。終局時刻は18時30分。消費時間は▲杉本六段3時間59分、△藤井棋聖3時間47分。藤井棋聖が3勝0敗でシリーズを制し、棋聖防衛を決めるとともに6連覇を達成。通算タイトル獲得数を30期に伸ばしました。

(文)

居飛車が勝勢に

20250630m1図から▲5七金△3六歩▲5六金△3五桂(2図)と進み、後手が勝勢になったといわれています。▲5七金が銀を入手しにいく狙いとはいえ、危険な手だったようです。藤井棋聖の△3六歩~△3五桂がスピード感のある反撃になりました。

20250630n2図で▲2二銀が▲2一銀不成△1三玉▲2五桂までの詰めろになりますが、▲2二銀には△2七銀▲1七玉に△3三桂が好手で後手玉が寄らなくなるそうです。

(琵琶)

際どい玉寄り

20250630j▲5五桂に藤井棋聖が△5六銀と銀を取って加速しました。以下▲4三桂成△同金▲4一銀△7二飛▲3二金(1図)と進みました。検討では△3二同飛▲同銀成△同玉▲5二飛△4二金打▲5六飛成△5四銀▲4五歩△同歩▲2四角△同歩▲5五歩に△6五角(参考図)が痛打で後手が有望と見られていました。

20250630k

ところが、藤井棋聖は1図で△1二玉(2図)と寄ったのです。先手の攻めが切れているとの判断だと思いますが、▲1五歩や▲4五歩があって怖いところです。際どい攻防といえるでしょう。

20250630l_2

Dsc_8468(控室の検討風景。左から飯島八段、石井七段、木村九段、ヒューリック株式会社の西浦会長)

Dsc_8476(観戦に訪れた野原未蘭女流二段も検討に加わる)

(琵琶)

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