2025年10月22日 (水)

20251022065▲8四歩△同歩▲8三歩で図の局面。▲8四歩△同歩は飛車を狭くする意味で自然。そして▲8三歩がさらに好評を博す一手でした。「うまい手渡しだと思います」と屋敷九段。

△8三同玉は▲7四銀△同歩▲7一飛があります。かといって、玉近くの垂れ歩を放置するのも気持ち悪いもの。後手は指し手の悩ましい局面を迎えています。あまり激しく動くと、それこそ8三歩を生かして反撃されそう。じっとしているわけにもいかなそうです。先手が攻めてくる可能性もありますし、▲3七銀でも差が開くかもしれません。西山女流二冠の60手目△3六歩はさすがの一手でしたが、福間女流王座の対応も見事です。

Dsc_0958(関係者控室の入り口。正面には羽生善治九段の揮毫色紙がある)

15時になり、午後のおやつが出されました。
福間女流王座 フルーツ盛り合わせ、アイス紅茶、オレンジジュース
西山女流二冠 和菓子、オレンジジュース、ウーロン茶

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20251022060図から43分の考慮で▲3六同歩。福間女流王座は逸ることなく、グッとギアを落としました。激しい変化をすべて読んだうえでの選択と思われます。継ぎ盤周りから「強い」の声が漏れ聞こえました。▲3六同歩に△9五歩なら▲8四歩△同歩▲3七銀(8筋を突かずに▲3七銀は△9四飛)とさらに手を入れるかもしれません。▲3七銀は壁銀を立て直して大きな手になります。

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2025102260「ねじり合うのかと思いましたが」と藤森五段。控え室の予想とは異なり、ストレートに激しく戦う将棋になりました。福間女流王座は9三にいた銀を▲9三角成(57手目)で食いちぎり、▲7五銀(59手目)で飛車を捕獲しました。

図の△3六歩(60手目)は角を使うための「筋の一手」。先手は▲7四銀と飛車を取りたいのですが、以下△7四同歩に▲2三飛は△1三角打▲2一飛成△6八角成の直線手順に入って危険です。後手に銀を渡すと△5九銀(▲同飛は△6八角成)も生じます。福間女流王座は図で20分を越える考慮に入りました。「ここがいちばんの勝負どころかもしれない」との声もあります。

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