2023年10月25日 (水)

Dsc_9067(感想戦)

Dsc_9070(加藤女流四段。一局を戦い終えて体が熱いのか、おしぼりを頬に当てていた)Dsc_9071(里見女流王座。途中は苦戦を意識していたという)

Dsc_9080(検討陣から意外な手を指摘されると、考え込んでいた)Dsc_9083

Dsc_9086


以上で本局の中継を終了します。なお、後に中村太地八段による第1局のダイジェスト番組がYouTUbeで公開される予定です。そちらもあわせてご覧ください。

【YouTube:リコー杯女流王座戦】
https://www.youtube.com/@user-gh4mc2wy7b

※22時15分追記。
ダイジェスト番組が公開されました。

【リコー杯 第13期 女流王座戦 五番勝負ダイジェスト 第1局】
https://www.youtube.com/watch?v=KuvRvuJIUh8

Dsc_9059(終局直後)Dsc_9060(先勝した里見女流王座)

【里見女流王座の談話】

――本局を振り返って いかがでしょうか。

里見 途中は動きやすい形なのかなと思っていたんですけど。具体的にはちょっと見えなくて、途中からは大分まずくしてしまったように思います。

――どのあたりでペースをつかみましたか。

里見 こちらの玉が左辺に逃れていけるような形になったので、 ちょっと難しくなったのかなと思っていました。

――最後、勝ちになったと思われた局面はどこでしょう。

里見 ▲4二とと寄ったところですかね。

――本局の感想と次戦の意気込み、抱負を聞かせください。

里見 本局はちょっと勝負どころで間違えてしまったのかなと思います。次局は先後が決まってるので、一生懸命頑張ります。

Dsc_9062(敗れた加藤女流四段)

【加藤女流四段の談話】

――本局の感想をお願いします。

加藤 中盤は割と手厚いのかなと思っていたものの、 その具体的なよさの求め方の方向性をちょっと誤ってしまったのかなと思います。いや、そっか。あの角2枚を並べる形があまり寄らないのが誤算でした。やっちゃったからにはもういかないといけない構想だったので、その辺りの見極めがうまくできていなかったと思います。

――次局以降の抱負をお聞かせください。

加藤 先後が決まっていますので、 準備したいと思います。

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里見香奈女流王座に加藤桃子女流四段が挑戦するリコー杯第13期女流王座戦五番勝負第1局は、17時56分に131手で里見女流王座の勝ちとなりました。消費時間は▲里見2時間57分、△加藤2時間59分。第2局は11月10日に仙台市「懐石料理 東洋館」で指されます。

20231025121加藤女流四段が嫌みをつけているものの、里見女流王座が冷静に対処しています。図は▲5三角と打った場面です。△4八竜(▲同金に△4一金▲同と△6八飛から迫る狙い)には、▲3一角成△同玉▲3二歩から詰むため、後手は△2一金と逃げるしかありません。これで先手は銀の質駒を解消できました。また5三の角は先手玉が5六から上部に逃げ出したときに、6四にカナ駒を打たれる筋を先受けした意味もあります。

Dsc_9035(伊藤若冲の羅漢石。約20体あり、表情は様々だ。対局者も一局のうちに様々な感情を味わう)

2023102596△6八銀は挟撃態勢を築こうとする加藤女流四段の勝負手。以下▲5八飛△2九竜▲3九歩△6九銀成と進んで、一見は成功ですが……

20231025100▲5二歩成△2八成香▲9八飛が受けの好手順です。

20231025103▲9八飛は△3九竜に▲5八玉△5九竜▲6七玉の逃げ道を用意しています。5筋の成り捨ては△5五香に▲5六歩の受けを作っており、先手がしのいだようです。加藤女流四段は△3二金と逃げましたが、▲3三歩のカウンターが厳しく先手優勢がはっきりしました。

Dsc_8983(里見女流王座は本領の受けを発揮した)

Dsc_8964(加藤女流四段。現在は形勢も時間も苦しい)

Dsc_9021(庭園を散策中、幽翠池(ゆうすいち)で「東京雲海」が始まった)

Dsc_9024

Dsc_9028(一変した景色に歓声が上がっていた。夜はライトアップされて、さらに幻想的な風景になる)

2023102579加藤女流四段が強襲に出ました。▲4七銀とぶつけた手に△1七角成▲同飛△同角成!▲同玉△1五香▲同銀△1六香!です。

2023102586▲1六同玉は△4八飛が王手金取りです。実戦は▲2八玉に△1八飛から迫っています。先手が左辺に逃げてしのぐか、それとも駒損ながら飛車の威力で寄せてしまうのか。いよいよ終盤戦です。屋敷九段と中村太八段が熱心に検討しています。

Dsc_9053(屋敷九段)

Dsc_9052(中村太八段)

Dsc_9056(屋敷九段が先手、中村太八段が後手を持っている)

Dsc_9002(椿山荘のシンボルのひとつ、三重塔。夜になるとライトアップされる)

Dsc_9004(戦いの神様、毘沙門天)

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(ニワトリをモチーフにした「庭の神」。庭園では七福神ならぬ「八福神」巡りができる)

Dsc_8998(庭園内はまだ紅葉が始まっていないが、立派な柿が実っていた。目白のメジロがついばむ)

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図は△4四角打に▲1九飛打!と受けたところ。代えて▲1九飛と節約するのは、△1七角成▲同飛△同角成▲同玉△1九飛と迫られました。以下▲2八玉は△1六飛成、▲1八角は△8九飛成だけでなく△1五香▲同香△1六香の筋があります。