第1局 10月26日(水)東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
第2局 11月16日(水)福島県郡山市「郡山ビューホテルアネックス」
第3局 12月6日(火)岐阜県岐阜市「長良川温泉 十八楼」
第4局 12月13日(火)東京都渋谷区「将棋会館」
第5局 12月20日(火)東京都渋谷区「将棋会館」
記者会見
感想戦終了後、里見女流王座と加藤女流三段による記者会見が行われました。
――挑戦者となりました加藤桃子女流三段に、今期の五番勝負への抱負や意気込みを聞きたいと思います。
加藤 挑戦者になりました加藤桃子です。リコー杯女流王座戦は思い入れのある棋戦といいますか、最初に取ったタイトルで愛着のある棋戦です。挑戦者になることができてうれしく思いますし、里見女流王座とタイトル戦を戦うことができるのは光栄なことです。この間もタイトル戦を戦いましたがまた戦えるということで、喜びを感じています。開幕まで時間がありますが、少しでも強くなれるように精進したいと思っています。
――続きまして、里見女流王座に加藤女流三段の印象と、女流王座では通算6期を目指す番勝負です。防衛への意気込みや抱負をお願いします。
里見 加藤さんの印象は、今日の将棋もそうですが、果敢に攻めて勢いある将棋だと思っています。五番勝負ですが一局一局自分の力を出しきれるように一生懸命頑張っていきたいと思っています。
――加藤女流三段は今回、クイーン王座のかかる五番勝負になります。それに向けての意気込みをお願いします。
加藤 先ほどクイーン王座のかかる五番勝負と知ったのですが、タイトルを持っていたときはとても意識していました。なれたら光栄なことなので、意識するのは当然だと思いますが、現在の気持ちとしては挑戦者になれたことだけでもとてもうれしくて、これからどう戦っていくかを考えていく途中です。クイーン王座は狙えたら狙っていきたいと思っています。
――里見女流王座に五番勝負に向けての抱負をお願いします。
里見 今期から地方対局を開催していただけるので、うれしく楽しみにしています。リフレッシュにもなると思いますので、体調管理に気をつけて力を出しきれるようにコンディションを整えたいと思います。
――清麗戦から間もないタイトル戦になります。残念ながら結果は失冠となりましたが、その教訓をどのように生かそうとお考えでしょうか。
加藤 失冠が先月でした。教訓といいますかそうしたものを盤上に表現できたらと思いますが、清麗戦は3局で終わってしまったので、なんとか1局でも多く指せたらと思っています。
――清麗戦で負けてからすぐ挑戦できたのはどのように思われますか。特にタイトルホルダーの西山白玲・女王に勝って挑戦したことへの思いをお聞かせください。
加藤 1ヵ月でよく立て直したなと我ながら思っております。逆にいうと、これしかないという気持ちで追い込んだところがあったので挑戦者になれたのはうれしく、今日だけは思い切り喜びたいと思います。でも、タイトル戦が始まるので、明日から1秒も無駄にしないように、考えながら生活していきたいと思います。
――これまでのタイトル戦で、挑戦者として挑む場合と防衛側で迎え撃つ場合で、違いがあればお聞かせください。
里見 立場は変わっても、変わりません。
加藤 私は若干変わると思っていて、挑戦者だと勢いよく指すことができると感じていて、そう感じているのは未熟な部分かもしれません。里見さんのように安定した強さを発揮できるよう頑張りたいと思います。
――王位戦で牧之原市に戻られてモチベーションになりましたか。
加藤 王位戦は牧之原市で開催してくださりありがとうございます。盛り上がったと思いますし、開催いただいたことがうれしく、注目いただけたことも喜ばしいです。牧之原市にうかがいましたが、市長さんに「頑張ってください」と声をかけてくださり、記念品もいただきました。地元の方の声援が励みになって挑戦者になれた部分もあったと思います。
(書き起こし=銀杏、撮影=文)
感想戦
終局直後
■加藤桃子女流三段
――今日の将棋を振り返ってのコメントをお願いします。
加藤 後手番なので、相手についていくような指し方をしましたが、難しくてよくわかりませんでした。受ける展開になると思っていました。△4五桂打(68手目)からの反撃が本当にうまくいくかどうかの将棋と思っていました。
――よくなったと思ったのはどのあたりでしょうか。
加藤 最後までわからなかったのですが、△3六歩(104手目)と打ってキズを消せて少しよくなったのかなという気がします。
――5年ぶりの五番勝負登場となりました。ご感想をお願いします。
加藤 タイトル戦を戦えることは光栄なことです。そのことはとてもうれしいです。タイトル戦は厳しい戦いになると思いますが頑張ります。
――女流王座は4期取って、クイーン王座がかかる勝負になります。終わったばかりですが意気込みをお願いします。
加藤 最初に取ったタイトルなので、思い入れがある棋戦です。クイーンがかかっているのを知らなかったですけど、華やかな舞台だと思いますので、自分の力を出せたらと思います。
■西山朋佳白玲・女王
――本局を振り返っていかがでしょうか。
西山 やってみたかった形でした。ただ、昼食休憩の局面は若干自信がありませんでした。なんとか手を出していったのですが、最後はもう少し粘れる順があったかもしれません。
囲いの差が出やすいので、仕掛けの段階でもう一工夫必要だったのかなと思います。
――リベンジマッチはかないませんでした。
西山 残念な気持ちはありますが実力だと思うので、課題を見つめ直したいと思います。
(書き起こし=銀杏、撮影=文)
加藤女流三段が制する
里見香奈女流王座への挑戦を目指す第12期リコー杯女流王座戦挑戦者決定戦の▲西山朋佳白玲・女王-△加藤桃子女流三段戦は、15時41分に110手で加藤女流三段の勝ちとなりました。消費時間は▲西山2時間37分、△加藤2時間22分(チェスクロック形式)。
里見女流王座への挑戦権を獲得した加藤女流三段は、第7期以来の五番勝負登場となります。五番勝負第1局は10月26日に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われます。
弱点を狙う
西山白玲・女王の攻勢に対して加藤女流三段が反撃に出ました。数の足りていない地点に放り込む△3七銀(72手目)は強烈な一手。金銀2枚の銀冠は玉のコビンが急所で、弱点を狙っています。先手は左金が玉の守りに働いていないのが泣きどころ。後手はいつでも△6二飛と質駒の角を取って戦力を補充でき、寄せまで見越した攻めになっています。加藤女流三段がペースを握ったといえるでしょう。
対局再開
昼食休憩
ゴキゲン中飛車対左美濃
戦型は西山白玲・女王の先手版ゴキゲン中飛車に加藤女流三段の居飛車で対抗形になりました。加藤女流三段が足早に右銀を繰り出して攻めの姿勢を見せると、西山白玲・女王は同じように銀を向かい合わせて受ける「銀対抗」を選択。守備重視で安定感のある指し方ですが、角道が止まるため攻撃力で劣る点がネックになります。特に本局は振り飛車が先手のため、手詰まり模様になっては作戦失敗。左美濃の堅陣を築いた後手に対して、どのように攻めるかが問われます。