2022年8月26日 (金)

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里見香奈女流王座への挑戦を目指す第12期リコー杯女流王座戦本戦準決勝の▲加藤桃子女流三段-△上田初美女流四段戦は、15時59分に109手で加藤女流三段の勝ちとなりました。消費時間は▲加藤2時間28分、△上田2時間49分(チェスクロック形式)。勝った加藤女流三段が挑戦者決定戦進出を決めました。

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図は89手目▲9三香の局面。加藤女流三段は駒得して取った香を後手の弱点である端に打ち込みました。
穴熊が横からの攻めに強いのは金の守りが一因。端攻めは金を相手にせず攻められるので、穴熊の強みが生きにくいのが特徴です。上田女流四段は懸命に受けていますが、加藤女流三段が優位を広げています。

Dsc_6175_2 (厳しく攻める加藤女流三段)

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図は63手目▲9三歩の局面。加藤女流三段は端を絡めて攻め合いました。急戦に出たのも、端攻めに期待してのものと想定されるため、構想通りの展開といえます。
▲9三歩以下、△同銀▲7四銀△同飛▲2二歩△8二銀▲2一歩成(下図)と左右から揺さぶって先手桂得。加藤女流三段がポイントを挙げました。
9筋の突き合いがなかったら、先手の攻めが単調で後手十分だったかもしれません。



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Dsc_6175 (戦果を挙げた加藤女流三段)

将棋会館の1階は販売コーナーで、将棋盤や駒、扇子などのグッズ、入門書から専門書までの棋書を取り扱っています。これらの商品は将棋連盟オンラインショップでも購入できます。

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Dsc_6202 (本局の対局者である加藤女流三段や里見香奈女流王座の扇子も)

Dsc_6231(扇子は人気のグッズ)

Dsc_6210 (書籍では森けい二九段著による里見香奈女流王座の実戦次の一手集『里見香奈 イナズマの一手』もある)
Dsc_6225 (前女流王座である西山朋佳白玲・女王の『実戦で学ぶ 振り飛車の勝ち方』は最近出た新著。佐藤康光九段の『佐藤康光 剛腕の一手』は直筆サイン入りで売られていた)

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図は48手目△5五歩の局面。午後に銀交換してからはじりじりとした進行が続いていましたが、14時になって上田女流四段が△5五歩と動いていきました。△5五歩は軽妙な攻めで、▲同飛は△3六歩、▲同歩なら△5六歩の垂れ歩が生じて効果的な突き捨てです。実戦は▲5五同角と加藤女流三段が応じています。

Dsc_6166(動いた上田女流四段)

Dsc_6162 (上田女流四段が先に対局室に戻る)

Dsc_6172 (加藤女流三段は昼食休憩に入ってからも10分ほど考えていた)

Dsc_6177 (対局が再開されると、加藤女流三段は▲3四銀を着手)

Dsc_6191 (上田女流四段は△3四同銀と応じる)

Dsc_6185 (対局室の様子)

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図の38手目△6四歩の局面で、加藤女流三段が3分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲加藤34分、△上田1時間24分。対局は12時40分再開です。
昼食の注文は、加藤女流三段が「ゴーヤチャンプルー弁当」(鳩やぐら)、上田女流四段は「玉子とじうどん」(ほそ島や)でした。

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図は31手目▲6六角の局面。加藤女流三段は右銀を3五まで繰り出して右辺は十分な形です。そこで、攻めをいったんやめて▲6六角から▲8八銀~▲7七銀として上部を厚くしました。
その間、上田女流四段も△8二銀から△7一金と固めて強く戦えるようになりました。双方主張のある進行といえます。

Dsc_6090 (3筋方面でポイントを挙げてじっくりと指す方針の加藤女流三段)

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図は22手目△9二香まで。上田女流四段の四間飛車対加藤女流三段の居飛車という、二人の対戦でも多い出だしでした。
先に工夫を見せたのは上田女流四段。△9四歩と突いてから△9二香と穴熊を見せました(図)。居飛車が穴熊を目指すときに端歩を突き合うのが近年の傾向ですが、四間飛車穴熊では珍しい指し方です。
△9二香を見た加藤女流三段は後手の指し手をとがめようと、▲3八飛と転じて▲3五歩△同歩▲4六銀の速攻を見せました。駆け引きある序盤戦です。

Dsc_6085 (工夫の序盤を見せる上田女流四段)