――対戦相手の印象
藤井 水町さんはおそらく、アマチュア大会のときからいちばんよく対戦している相手です。対抗形になることは分かっていましたけど、彼女の居飛車はバリエーションが豊富なので、形は絞れていませんでした。力戦形が得意で粘り強い、というのは以前から変わりませんので、気を引き締めて挑みました。
――本局の振り返り
藤井 21手目▲3三角成に△同桂という、変わった形を指してみました。師匠(伊藤博文七段)との研究会で出てきた手で、前例が△同銀しかなかったので、どうして皆さん△同桂じゃダメなんだろうって思いまして。将棋ソフトの評価値も互角の数値が出てきましたし、これは調べたほうがよいのではないかと。ただ本局のように普通に対応(23手目▲6八銀や29手目▲5五歩)されたときに何だか微妙になってしまいました。個人的には23手目で▲2二角と打ち込んできてくれるかなと期待していたのですが、全然そんなことなくて冷静に指されましたね。45手目▲2六歩で桂を捕獲されたあたりは苦しかったです。何とか手はつなぎましたけど我慢の多い将棋になって、形勢は悪いと思いながら指していました。87手目▲5三歩成に代えて▲3七飛成△4二角に▲3二竜とされていたら負けまであったのではないかと思います。
――本戦トーナメント2回戦への抱負
藤井 前期の本戦トーナメント1回戦ではボロボロの将棋で終わってしまいました。本局は反省の多い内容でしたけど、前期よりひとつ上に進めたことと、ひとつでも多くこのリコー杯女流王座戦で指せることがうれしいです。反省するところは反省して、気持ちを新たに次も挑みたいと思います。
――ファンに向けて
藤井 今回も戦型で工夫してみました。いつも支えてくださっている方々にひとつでもご恩を返していけるように、これからも引き続き頑張っていきたいと思っております。
以上で本日の中継を終了致します。
ご観戦いただきまして、誠にありがとうございました。