―― 今日の将棋はいかがでしたか。
里見 はっきりわからなかったので、やってみたのですが、こちらの玉が薄く、あまり自信がありませんでした。
―― ▲4三銀打(57手目)のあたりは。
里見 あそこは攻めに専念できる形だったので、難しいながらも、まずまずかなと。
―― 優勢を意識されたのは?
里見 最後の▲8一飛(95手目)と打ったところです。
―― ▲8八角打(77手目)のあたりは。
里見 いろんな手が見えたのですが、はっきりよくなる順が見えなかったので、本譜の▲8八角打が、いちばんいいのかなと思って選びました。
―― 2連敗のあと3連勝で防衛されました。シリーズを通じての感想は。
里見 第1局、第2局は内容が一方的だったので……。第3局は客観的に見ると苦しいですが、自分の力を出し切って負けたら仕方がないと思って挑めました。そこからは星というよりは、一局一局を力を出し切ろうという気持ちでやっていました。
―― 女流王座初防衛についての感想を。
里見 細かいところで、変化は違うのですが、お互い研究をして挑んだ番勝負は充実感がありました。
―― 今日の対局を振り返っていただけますか。
加藤 最後はわからなかったのですが、だいたい予想していた展開になりました。自信を持って指していたのですが、ちょっとやりすぎてしまったかもしれません。▲4三銀打(57手目)とからまれてからは、本譜の進行を見ると一方的になってしまったと思います。たとえば△5二飛では△5一飛の比較だとか、細かいところができていなかったかなと思います。△5四金と出た構想は、ちょっと欲張ってしまったかなと思ったのですが、振り飛車の玉が薄かったので。飛車の横利きが受けに利かなくなってからは……。▲8八角打(77手目)がいい手だったなと。
―― シリーズを振り返っては。
加藤 出だしは内容がよい将棋が指せて、勝てたので自信を持っていたのですが、第3局以降は少し自分らしさが欠けたというか。甘い部分が出てしまったように思います。本局もあまり攻めることができなかったのが残念です。すべて中飛車で、6六と6四に銀がいる形の将棋で、珍しいと思います。この戦型を深め合えたということで、プラスになったと思います。
※この記事の写真はPENTAX K-3で撮影しました。