両対局者の退場後、登壇した棋士と女流棋士が、明日の展望などを語りました。
――広瀬八段は明日の対局をどのように見ていますか。
広瀬 前期は里見さんがストレートで加藤さんから女流王座を奪取しました。加藤さんとしてはリベンジの舞台が整ったといえそうですね。
――あと1勝でタイトル奪取、あと1敗でタイトル失冠、そのいずれも広瀬八段は経験されていますが、対局前夜はどのような気持ちで過ごすものなのでしょうか。
広瀬 タイトル奪取は23歳のときで勢いがありました。なるようになれ、という気持ちでぶつかっていった記憶があります。タイトルを守る側のほうがプレッシャーがあります。対局前夜にできることは限られていますから、リラックスして過ごすのが大事だと思います。
――中尾五段は静岡県出身ということで、加藤さんのこともよくご存じではないですか。
中尾 加藤さんが小学生のころ、飛車落ちくらいで指導対局をしたことがあります。見事に負かされまして、強い小学生だなと思いました。
――明日はどのような戦いになるでしょうか。
中尾 里見さんはカド番で負けられない戦いですので、作戦に注目しています。戦型としては第1局や第2局と同じように、里見さんの中飛車、加藤さんの居飛車になると思います。
――藤田女流二段と室谷女流二段は、対局者のおふたりにはどのような印象をお持ちですか。
藤田 勉強熱心で最新形をよく指されています。また、終盤が鋭いので、ふたりの対局はいつも大熱戦になるという印象があります。明日もそんな対局になるのではないかと思います。
室谷 よくお話しさせていただきますし、対局したこともあります。ふたりとも普段はとても穏やかなのですが、盤をはさむと怖いくらいで別人のようです。今期はここまで加藤さんが2連勝、それも里見さんの得意戦法を破ってきたということで、とても充実していると感じます。ただ、里見さんもこのような状況は何度も経験されていると思うので、簡単に負けるとは考えられません。明日の対局が楽しみです。
(閉会のあいさつはリコージャパン株式会社、脇永勉静岡支社長から)
(書き起こし=牛蒡、写真=文)