(11時頃の記録用紙。後手・伊藤奨励会1級側は持ち時間を1分も消費せずに指し手を進めているので、36手目まで消費時間欄は空白が続いている)
まだ午前中だが、残り時間に早くも43分の差が付いた。持ち時間が3時間の将棋で、43分の差は大きい。難解な終盤戦に入った時、もしかしたら中井女流六段が一方的に時間で苦労する展開も考えられるところだ。
これも、先ほど勝又六段が語っていた「自分の得意形に持ち込むメリット」なのかもしれない。
伊藤奨励会1級が初めて時間を使ったのは【図】の局面。
角の利きをいかした△3五歩▲同歩△3六歩の仕掛けに備えて、先手が▲2七飛と角のラインから逃れたところだ。
ここで伊藤奨励会1級は約20分考えて、△3五歩と果敢に仕掛けていった。先手が受けの手を指して待ち構えているところだったが、そこで仕掛けていくのは非常に強気な指し手。伊藤奨励会1級の積極的な棋風が全面に出ている将棋になってきた。
※この記事の写真はリコー社製一眼レフカメラ、PENTAX K-30で撮影しています。