2012年10月19日 (金)

_3613時50分頃、加藤女流王座は△6九銀(図)と先手玉に迫った。▲同玉なら△4九馬で金を取れる。▲6八金にも△7九飛があり、この攻めはなかなか厳しい。この銀打ち、昼食休憩中に伊藤真四段が指摘していた手だ。これで流れが一気に急になったので、「先手玉が寄るかどうか」という展開になる可能性も高い。控室では「早い終局もあるのでは」とささやかれている。
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(13時50分頃の控室。藤田女流初段=右、相川女流3級=左が駒を動かしている)
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(解説会場ではこの局面で次の一手が出題された)

大盤解説会場では谷川九段と早水女流二段が登板中。横歩取り△4五角戦法との比較で現在の局面を解説していた。谷川九段は四段、五段時代に公式戦で△4五角戦法を指したことがある。△4五角戦法について、「これが流行した時代には、本田さんもまだ生まれてないですよね。先手がいいとされてますけど、時間が短いと大変ですよ」と語っていた。
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(こちらは将棋会館隣の鳩森神社)
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本局の使用駒は大竹竹風師作、菱湖(りょうこ)書の盛上駒。加藤女流王座の王将には「大竹竹風作」と、本田女流三段の玉将には「菱湖書」とそれぞれ刻まれている。
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(昼食休憩までの棋譜用紙。△4五角に対して本田女流三段は34分使っている)

_27本田女流三段は飛車取りに▲7七角(図)と打った。これには△8八飛成▲同角△5三歩▲1一角成という展開が予想される。「どこかで見たような……」と思った方は、横歩取りの知識があるはず。これは横歩取りにおける最も激しい定跡、「△4五角戦法」と似た展開だ。
Sankou_27これが横歩取り△4五角戦法の変化。ここでは(1)△8七銀や(2)△3三桂▲3六香が代表的な変化だ。△4五角戦法自体は「後手無理筋」と見られプロ棋戦ではほぼ見られないが、本局は後手の条件が違っている。分かれはどうなのだろうか。

加藤女流王座の△4五角を見た本田女流三段が長考に沈んでいる。2階の大盤解説は谷川九段に交代していた。
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_22_2控室の検討では、ここから▲5三飛成△5二歩▲8六歩△同飛▲5五竜△6七角成▲8七銀△7八馬▲8六銀△8九馬(参考図)が一例として示された。
_32だが、これは「後手がよさそう」との見解。駒割は二枚換えで難しいところだが、後手陣にスキがなく、先手は大駒の使いどころが難しい、というのがその理由だ。
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(11時30分頃の控室。中川大輔八段=奥と上野裕和五段=手前が検討中)

_22本田女流三段が▲5六飛と回って成り込みを見せた手に対して、加藤女流王座は△8八角成▲同銀△4五角(図)と受けずに対応。ぎょっとする手だが、▲5三飛成△5二歩と進むと真意がわかる。これで竜の行き場がないのだ。ただし以下▲8六歩の切り返しがある。△同飛なら▲5五竜と引く余地や、▲7七角の反撃が生じる。加藤女流王座が強い手を返したことで、激しい展開になりそうだ。控室には青野照市九段、竹部さゆり女流三段が姿を見せ、早くも継ぎ盤がにぎわっている。
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(青野九段)

将棋会館2階ではすでにイベントが始まっている。野月七段は大盤を使って解説中。「△8五飛も指す棋士はいるんですけど、相当に少ないですね。これを見た本田さんはぐっと盤に身を乗り出して、腕組みをしまして……」と、対局者の様子をまじえて話をしていた。同じ部屋では谷川九段がサイン中。東京のイベントに谷川九段が来るのはとてもめずらしいこと。脇に飾られた直筆扇子は、野月七段が「ほしい」と言っていた品だ。
2階奥の部屋では指導対局も行われている。遠山五段、早水女流二段、藤田女流初段の三人で指導中だ。
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(遠山五段)
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(藤田女流初段)
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(早水女流二段)