2011年7月28日 (木)

第1期リコー杯女流王座戦、本戦トーナメント1回戦も最後の1局となりました。
7月28日(木)は東京・将棋会館より、清水市代女流六段-松尾香織女流初段(LPSA所属)の一戦をお送りします。

Honsen

棋譜・コメント入力は銀杏記者、ブログは牛蒡が担当します。
本日もよろしくお願いいたします。

(牛蒡)

2011年7月27日 (水)

300

―― 一局を振り返っていただきます。本局は矢内女流四段の先手中飛車に対し、引き角戦法を採用されました。

竹部 予定の作戦でした。引き角はよく採用しています。

―― 序盤はいかがでしたか。

竹部 相手の方が駒組みに苦労しそうだな、と思っていました。△8四飛(60手目)の辺りでは、指しやすいと感じました。

20110727_60

―― 勝ちを意識した局面は?

竹部 最後の方になってしまうんですが、△2八金(122手目)と打った局面です。

20110727_122

―― 詰みを読みきって、ということですね。

竹部 はい。かなりプルプルしていたので(笑)。最後も△1三玉じゃなくて△1二玉だと詰まない変化がありましたし、「狙っているな」とわかったので、気の抜けない終盤でした。

―― 次の相手は伊藤沙恵2級です。

竹部 実力のある方なので、大差をつけられないようにしたい。力を尽くしたいと思います。

(聞き手:文 写真:牛蒡)

以上で本局の中継を終了いたします。ご観戦いただきありがとうございました。


028
(快勝で1回戦を突破した竹部さゆり女流三段)
029
(矢内理絵子女流四段にとっては不本意な内容の将棋になってしまったか)
030
(感想戦は別室で行われた。節電のため蛍光灯が半分消されており、やや薄暗い)

(牛蒡)

20110727_124
図の△3六香を見て矢内女流四段が投了を告げた。以下(1)▲同玉は△2四桂▲3七玉△2七金打まで、(2)▲同銀は△4八竜▲同玉△3九竜▲5七玉△6七金▲5六玉△5九竜までの詰み。終局時刻は15時41分、消費時間は▲矢内2時間40分、△竹部1時間9分。勝利した竹部女流三段は、2回戦で伊藤沙恵奨励会2級と対戦する。

(文)

20110727_111 本局は最終盤を迎えています。
図の▲5三とは、駒がいくつか手に入れば▲3一角から詰み筋もある手。
ここで竹部女流三段は△8九飛成▲2六歩△5五桂。慎重に寄せの網を絞っています。

(牛蒡)

20110727_68_2 図の飛車取りに対して、矢内女流四段は構わず▲7三歩成△7六歩▲6三と△7五銀▲5三歩△8六銀▲5二歩成(下図)と進めました。
大駒を見捨てるという思い切った勝負に出ています。

20110727_75 左図の局面では大駒は全て後手に渡ってしまいました。午後の早い段階での大駒独占は異常事態と言ってよいでしょう。先手は飛角と桂の交換で大きな駒損です。
先手の希望は駒損と引き換えに作った2枚のと金。小駒の攻めで後手玉に食いつこうとしています。しかし1筋突き越しの美濃囲いを攻略するには相当に苦労しそうです。

027
(快調な指し手が続く竹部女流三段。あとは先手の食いつきを余せるかどうか)

(牛蒡)