2011年9月21日 (水)

20110921_71▲加藤1級-△伊藤1級戦は、驚いたことに中盤でと金ができた。と金は金将と同じ性能で、相手に渡しても歩に戻るので、場合によっては「最恐」の攻め駒になる。将棋の常識では、中盤でと金を作られないように指すものだが、伊藤1級はそれをあっさりと許した。「これは形勢に差がついたのでは?」後手のあまりにも大胆な順に、控室では疑問の声が上がっている。


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(と金を作って好調の加藤1級。写真は対局再開時のもの)

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20110921_64▲加藤1級-△伊藤1級戦は、先手の攻めに後手が力強い受けで対抗している。馬を作った先手があっさり優位を築いたかに思えたが、後手も重く力の入った手を指し、決め手を与えない。図の△3四銀上は▲3五銀を受けた手。ここで▲3五歩△2三銀と進めるのは、味消しになりそうだ。控室の検討では、「先手がなんとかできるのでは」「難しいなあ」というやり取りが続いている。


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(本局の昼食休憩までの棋譜用紙。二人とも本局の前に1級に昇級した)

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20110921_53_1▲清水女流六段-△中村女流二段戦は、互いに金銀四枚で囲って本格的な戦いになっている。控室では中川大輔八段が検討に加わっている。どうも検討陣の間では先手の8七玉の評判がよくないようだ。三段目の玉は下段からの攻めには強いが、△6五歩など上部から攻められる展開には弱い。「昭和の将棋ですね」と中川八段。四間飛車に対する左美濃は、やはりプロの目から見て相当に珍しいようだ。青野九段が「絶滅危惧種、か」とぽつりとつぶやく。


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(青野九段と向い合って検討中。渡辺女流1級(左)、竹部女流三段(中央)、中川八段(右))

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(検討を眺める中村太地五段。現在17勝3敗で勝率0.850、勝率ランキング1位だ)

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20110921_57_2▲加藤1級-△伊藤1級戦は、対局再開後すぐに▲7一角成(図)と角を成り込む激しい展開に。ここで△3六歩は▲4八飛△4四歩▲2八銀で先手よし、と言われている。と、モニタに△3六歩が映る。「決戦になりましたよ」と飯島七段。「いえ、決戦にはなりませんよ。どこかで緩やかな流れにするでしょう」と青野九段。駒がぶつかり合う華々しい展開に、検討が熱を帯び始めた。


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(藤田綾女流初段、井道千尋女流初段、渡辺弥生女流1級が検討に加わる)

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20110921_44▲清水女流六段-△中村女流二段戦は、図の局面で昼食休憩に入った。後手が5筋・6筋の位を押さえているが、先手が右桂を活用できているのが大きく、先手十分の態勢といえそうだ。清水女流六段はここから仕掛けを視野に入れて時間を使っていくだろう。先手の攻めに対し、後手の中村女流二段がどのように立ち回るか注目が集まりそうだ。


20110921_53こちらは▲加藤1級-△伊藤1級戦。先手の加藤1級が角を1七に引いたところだ。後手はひとまず、次の▲4五歩への対応を考えなくてはいけない。後手は自分の玉頭で戦いが起こっているだけに、神経を使う展開になりそうだ。


対局はこの後13時より再開される。

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(対局中の糸谷哲郎五段。昼食休憩中、青野九段と継ぎ盤で検討していた)

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(再開直前には飯島栄治七段も登場)

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