カテゴリ「第30期竜王戦七番勝負第4局」の記事 Feed

2017年11月22日 (水)

両対局者は明日の対局に備えて退室しています。

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(関係者一同が登壇。このあと立会人の中村修九段と中田宏樹八段が残って戦型を予想した)

中村 五十嵐川というお酒をいただいていますが、おいしいですね。
私は何回も立会人をさせていただいていますが、対局者がストレスを感じず、全力を出せるよう見守る仕事です。あまり働いていない香車のよう。

中田 いざというときは、力を発揮されますよね。

中村 いえいえ。明日から第4局です。最初に羽生棋聖が2連勝したときは、永世七冠間近と思われた方も多かったと思いますが、渡辺竜王が1勝返しました。シリーズを左右するといえる、いちばんいい場面で本局を迎えました。羽生棋聖が3勝1敗にすれば有利ですし、2勝2敗になれば世間の空気は竜王戦で渡辺竜王は力を発揮するということになります。
本局に勝ったほうがタイトルを獲るのではないかというくらいの勝負です。二人とも結果がほしいのではないかと思います。いかがでしょうか。

中田 はい、そのとおりです。

中村 明日の戦型はどうでしょうか。

中田 ▲7六歩△8四歩の出だしになるかと思います。

中村 角換わりが多いので、そうなりそうですね。

中田 第2局は羽生棋聖が雁木でした。

中村 そうか、そうですね。それで快勝しました。二人とも居飛車党なので、どちらが主導権を取るかが大きいですね。大盤解説会は屋敷九段、佐藤紳哉七段、高浜女流2級が解説します。明日は祝日ですし、2日間足を運んでくださいましたら幸いです。20171122imgp1291_2

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(書き起こし=銀杏、写真=玉響)

20171122imgp1272(渡辺明竜王のあいさつ)

「これだけ盛り上がっている前夜祭も珍しいと思います。お宿にも秘湯と書かれていて、静かな環境を提供してくださりありがとうございます。このようなところで対局できるのは棋士冥利に尽きます。
七番勝負は中盤から終盤に差し掛かり、集中して悔いない戦いにしたいと思います。2日間知り合いの方をお誘い合わせの上で大盤解説会で観戦していただきたいと思います。最高峰の棋戦にふさわしい対局を指さねばならないと思っています」

20171122imgp1277 (羽生善治棋聖のあいさつ)

「これまで新潟県では竜王戦の対局はありますが、三条市は初めてということです。
先ほど市長から開催のいきさつを聞いて納得しました。将棋の世界で「棋は対話なり」という言葉がありますが、対話から対局が実現したということで、将棋を通じた縁の広がりと感じています。
ずいぶん前に津南に行ったことがあります。嵐渓荘さんも秘湯ということで、新潟県の奥深さを感じています。
このシリーズも明日から第4局。これからが佳境だと思っています。自分自身の持っている力を出しきって対局に臨みたいと思います」

(書き起こし=銀杏、写真=玉響)

20171122imgp1199(國定勇人・三条市長)

「私自身は将棋は門外漢ですが、今回どのようにして竜王戦の対局が三条市で実現できたかを紹介したいと思います。
私が普段から身につけて持ち歩いているのが、歩の携帯ストラップです。地元三条市で長年駒の制作をされている大竹竹風さんのお母さまが100歳になられた記念にいただいたものです。
三条市の経済活性アドバイザーを務めている青山社中の社長を務めている朝比奈一郎さんから「なぜ歩のストラップをつけているのか」といわれました。三条はものづくりの街として知られていますが、竹風駒も世界に誇る、ものづくりの技を駆使したものだとお話しをしたところ、日本将棋連盟の方に紹介してくださりました。それであれば、三条市長と会ってみようというお話しをいただき、その場で竜王戦対局の話が出まして、ぜひとも協力させていただきたい、実現するために応援させていただきたいということでこの日を迎えられました。竜王戦の対局は、たった一つの歩の駒から始まったわけです。でも、一つの駒を通じて多くの方の縁をいただいて、対局開催となったことは望外の喜びです。
嵐渓荘は予約を取りにくいところですが、竜王戦中は数日間完全貸し切りでお迎えいただきました」

20171122imgp1200(中島慎一郎・読売新聞東京本社新潟支局長)

「新潟県での竜王戦七番勝負は6回開催されています。
前期の第7局が南魚沼で行われましたが、昨日のことのように思い出されます。
嵐渓荘の緑風館は燕駅にあった旅館を移築したもので、有形文化財に登録されています。
また、秘湯マニアからは根強い人気と聞いております。
20日の弊紙の新潟県版に駒師の大竹日出男さんを紹介いたしました。今回の対局を盛り立てる一助となればと思います」

20171122imgp1206(森下卓・日本将棋連盟常務理事)

「竜王戦は今回で30期目。棋士としての30年を振り返りまして、感無量です。
第1期は4組で出場しました。現在は3組。30年で一つ上がったことになります。
30年間支えてくださった読売新聞やファンの皆さまに感謝いたします。
昨日は藤井聡太四段が最速の通算50勝ということで理事として取材を受けました。
「時代は藤井聡太さん」と話をしたのですが、それでも実際のところは渡辺竜王と羽生棋聖のお二人であろうと思います。お二人の活躍がないと、将棋界も発展しないのではないかと思います。
嵐渓荘さんにはこのような盛大な前夜祭を開いてくださりありがとうございました。明日からの名局を期待したいと思います」

(書き起こし=銀杏、写真=玉響)


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(関係者一行は東京駅に集合し、新幹線で燕三条駅に向かった)20171122imgp1147_2

20171122imgp1151_2(渡辺明竜王)

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(挑戦者・羽生善治棋聖)

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(右手から立会人を務める中村修九段と、大盤解説を務める佐藤紳哉七段)

20171122imgp1148(新聞解説を務める中田宏樹八段)

20171122imgp1154(屋敷伸之九段も大盤解説を務める)

渡辺明竜王に羽生善治棋聖が挑戦している、第30期竜王戦七番勝負(主催・読売新聞社)は、挑戦者の2勝1敗で第4局を迎えました。渡辺竜王がタイに戻すのか、羽生棋聖が奪取まであと1勝とするか。第4局は、11月23・24日(木・金)、新潟県三条市「嵐渓荘」で行われます。
持ち時間は各8時間(2日制)。対局開始は9時。1日目18時の時点で、手番の側が封じ手を行います。本局の先手番は、渡辺明竜王です。
立会人は中村修九段と中田宏樹八段(新聞解説兼任)、記録係は冨田誠也三段(小林健二九段門下)が務めます。
現地大盤解説は屋敷伸之九段、佐藤紳哉七段。聞き手は高浜愛子女流2級が担当します。

【YOMIURI ONLINE】【囲碁・将棋】:竜王戦:カルチャー:読売新聞】

http://www.yomiuri.co.jp/culture/igoshougi/ryuoh/

中継は、棋譜コメント入力を銀杏、ブログを玉響が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。