カテゴリ「第28期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2015年6月26日 (金)

19時30分を回り、72手目△3二金まで進みました。

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棋士室では、ここで▲4七銀と引く手が候補に挙がり、以下△4六歩▲2三銀不成△2七歩▲3二成銀△同玉▲2九飛△4七歩成▲4九飛△5八と(参考1図)と進んだ局面で、▲4一角以下の詰みがあり一時は先手有望な展開に見られていました。

参考1図

しかし再検討の結果▲4七銀△4六歩▲2三銀不成に△4三金(参考2図)とかわせば後手玉は捕まらないとされ、むしろこの変化は「後手よし」と見られています。

参考2図

19時7分、再開後もしばらく考えていた千田五段が▲4三馬と切って強襲に出ました。

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夕食休憩
(早めに夕食休憩を済ませた両対局者。再開まで二人だけの時間が続いた)

なにわ筋
(時刻は19時を回り、外が暗くなり始めている)

18時10分になりました。図の66手目△3三桂の局面で、千田五段の考慮時間が26分を記録して夕食休憩です。ここまでの消費時間は▲千田五段3時間30分、△斎藤六段3時間15分。夕食の注文は、千田五段がバターライス、斎藤六段の注文はありませんでした。

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対局は19時に再開します。

バターライス
(千田五段が注文したバターライス)

時刻は17時を回り、64手目△8七歩まで進みました。

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この歩は▲8八玉の入城を防いだ手筋で、▲8七同金と取れば金の守りがそれて、横からの攻めに弱くなります。これに対し千田五段は29分の考慮で▲7二歩!と打ちました。

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この▲7二歩も手筋。飛車の横利きを止めた手で、取れば▲6三銀(または▲8三銀)の隙が生じ、放っておくと次に▲4三馬△同金▲2三飛成が厳しい攻めになります。

斎藤六段

千田五段

時刻は16時30分を回り、60手目△4三銀まで進んでいます。斎藤六段は△3八角から馬を作り合う展開を選びました。

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北浜八段
(棋士室では本局の新聞解説担当・北浜健介八段が継ぎ盤で検討している)

本局はタブレット端末を利用した自動棋譜更新システムを使用して中継しております。消費時間が一手ごとに更新されるため、臨場感のある中継をお楽しみ頂けます。

なお、使用しているタブレットは富士通製「ARROWS Tab F-03G」で、最高クラスの高精細画面と、わずか400g弱の軽さが特徴です。長時間の将棋中継に耐えうる頑丈さと電池持ちの良さを兼ね備えた信頼できる確かな逸品となっています。

ARROWS Tab F-03G

時刻は15時を回り、51手目▲6一角まで進みました。この角打ちは、角換わり腰掛け銀同型の定跡では、部分的によく指されいる手です。

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参考図は9筋の突き合いを入れて、飛車が2八にいる形ですが、この局面だと第4期(1991年)竜王戦七番勝負第1局▲谷川浩司竜王-△森下卓六段戦や、第5期(1992年)竜王戦七番勝負第5局▲谷川浩司竜王-△羽生善治王座戦(いずれも肩書は当時)などの前例があります。

参考図

▲谷川-△森下戦は参考図以下△3五歩▲3四角成△4三銀▲2五馬△5四角▲6七金右△3三桂▲5八馬と進んで、結果は持将棋でした。また▲谷川-△羽生戦は参考図で△4三角と合わせており、▲同角成△同銀▲7四歩△同金▲4五桂△6五歩▲3四歩と進みました(結果は後手勝ち)。

9筋の端歩や飛車の位置の違いはありますが、この後の進行のひとつとして考えられる手順です。

時刻は14時を回り、42手目△4四銀まで進んでいます。斎藤六段のこの銀上りは27分の考慮でしたが、千田五段も現局面で30分以上の長考に沈んでいます。同一の前例は、2014年5月の▲飯塚祐紀七段-△塚田泰明九段戦(NHK杯)のみとなっていますが、1筋、7筋の突き捨ての有無など、ひとつひとつの変化が複雑で、まだしばらく長考が続くかも知れません。

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淡路九段
(先月、現役を引退した淡路仁茂九段が3階の棋士室に立ち寄っている)