カテゴリ「第26期竜王戦七番勝負第3局」の記事 Feed

2013年11月 7日 (木)

20131107ryuou_49渡辺竜王の48手目△1四歩に森内名人も▲9六歩と端歩を突きました。控室で継ぎ盤を並べていた加藤九段と中田七段もビックリの応酬です。
戦った後の端の突き合いは予想できない手順。これが頂上決戦の将棋なのでしょう。
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図は48手目△1四歩まで。渡辺竜王は香を取られているにもかかわらずさらに陣形を整備しました。見たことのない指し回し。加藤九段に見解をうかがいました。
加藤九段「竜王の△1四歩では△4四銀と思っていました。落ち着いた手で、将来の反撃に備えています。先手からはっきり有利になる手があると後手は困るがそれはないとみています。
勝負どころで、ここ数手が明暗を分けそうです。名人が打って出たが、竜王は受けて立って十分対抗できると。非常に興味深い将棋ですね。研究しがいのある将棋で互角でしょう。
僕も矢倉をたくさん指していますが、同じ将棋が3局も出たのは初めてでしょう。私は少し違いますから、これは新記録じゃないかな。深く研究して指しているわけですが、指しているとまだ足りないかなと思うかもしれません。専門的に言えば、非常に興味深い将棋です」
その後、▲8二馬や▲9二馬と馬を使う手が示され、△1四歩では△4四銀が良かったのではないかという意見が控室で出ています。

20131107_hb3 (加藤九段が「十段戦でタイトルを初めて獲得しました。私の棋士人生で、30前で一番転機になったできごとです。トップでやっていく確信を得ました」など十段戦の思い出をまじえながら熱弁振るう)

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20131107_hb4 (次の一手の景品)

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20131107_hb7 (棒銀五十三年(NHK杯決勝戦で棒銀を使って大山康晴十五世名人を破ったことから)や棒銀無敵のバージョンも)

20131107_hb6 (読売ジャイアンツのグッズも)

20131107_ha1_2 (対局再開時刻の13時30分を過ぎても対局者は二人とも戻ってこなかった)

20131107_ha2 (13時33分ごろ渡辺竜王。その後森内名人も対局室に)

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20131107_ha7 (棋士生活59年)

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20131107_h3 (47手目▲6八玉で昼食休憩入り)

20131107_h5 (後手から見る47手目▲6八玉の局面)

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20131107_h6 (控室では検討に熱が入っていた。加藤九段が「これはボクの方に自信が出てきた」など話しながら駒を進めている)

20131107ryuou_47図の47手目▲6八玉の局面で渡辺竜王が16分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲森内1時間47分、△渡辺1時間20分。対局者の昼食は森内名人が天丼、渡辺竜王がカツ丼です。
局面は早くも中盤の難所です。先手は駒得の実利、後手は(玉の堅さも含む)駒の効率のよさが主張です。価値観のぶつかり合いといえましょうか。

対局が行われている大丸別荘は慶応元年(1865年)に創業。2015年には創業150年となります。 皇族もたびたび訪れている歴史と風格を感じる旅館です。本局が行われている蓮魚庵は大丸別荘では一番古い建物で、先ほど紹介した第13期竜王戦第2局が行われたり、美空ひばりさんが麻雀を興じたり、と由緒があります。20131107_ad

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20131107ryuou_43図は43手目▲8二角の局面。ここまでは第70期名人戦▲森内名人-△羽生善治二冠(当時)戦と同じ進行でした。羽生二冠はここで△8六歩から反撃しました。ところが本局の渡辺竜王は△2二玉▲9一角成△4二金上と香損を見向きせずに玉を固める驚きの手順です。ただ、これで後手陣はかなり堅くなりました。陣形の薄い森内名人は香得が生きる展開に持ち込めるかどうか。
継ぎ盤では、▲5八玉△4四角といった展開が調べられています。