カテゴリ「第26期竜王戦七番勝負第3局」の記事 Feed

2013年11月 7日 (木)

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大丸別荘では2000年11月に第13期竜王戦七番勝負第2局▲羽生善治五冠-△藤井猛竜王(肩書はいずれも当時)が行われました。当時は四間飛車の藤井システム全盛の時代。第13期竜王戦は藤井竜王が4勝3敗で竜王を死守した、将棋史に残る名シリーズとして知られています。
この対局では、羽生五冠が右銀を使った急戦に出ました。藤井竜王は1筋から反発して大決戦に。図は後手が先手の攻めをしのいだかに思える局面。ここで▲3四歩が▲4三歩△同金▲5二金を見た好手でした。部分的に受けが利かなくなった藤井竜王は△3七角成としましたが、▲3三歩成からの攻めの方が早く、先手勝ちとなりました。
大丸別荘は竜王戦以外にも第47期名人戦第3局、第49期名人戦第3局、第12期王位戦第2局、第48期王位戦第4局などが行われたタイトル戦と縁深い対局場です。

開始日時:2000/11/01 09:00
終了日時:2000/11/02 19:24
棋戦:第13期竜王戦七番勝負第2局
持ち時間:各8時間
消費時間:125▲479△479
場所:福岡県筑紫野市「大丸別荘」
先手:羽生善治五冠
後手:藤井 猛竜王

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二銀    ▲5六歩    △4二飛
▲6八玉    △9四歩    ▲7八玉    △4三銀    ▲5八金右  △7二銀    ▲9六歩    △6二玉
▲5七銀    △6四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲3六歩    △7一玉    ▲4六銀    △3二飛
▲3五歩    △8二玉    ▲1六歩    △1四歩    ▲6八銀    △1三香    ▲3四歩    △同 銀
▲3五歩    △4三銀    ▲3七銀    △5二金左  ▲3六銀    △1二飛    ▲4六歩    △1五歩
▲2四歩    △同 歩    ▲4五歩    △1六歩    ▲4四歩    △1七歩成  ▲4三歩成  △8八角成
▲同 玉    △2八と    ▲3四角    △4九飛    ▲5二と    △同 飛    ▲5九金引  △2九飛成
▲5二角成  △同 金    ▲3二飛    △4二歩    ▲3一飛成  △7一桂    ▲6一銀    △同 銀
▲同 龍    △6三角    ▲6二銀    △4四角    ▲5五歩    △6二金    ▲同 龍    △7二銀
▲6一金    △5四歩    ▲4二龍    △5三銀    ▲3一龍    △5五角    ▲7七桂    △4一歩
▲7一金    △同 玉    ▲2一龍    △1九龍    ▲7五桂    △7四角    ▲4三金    △4二金
▲同 金    △同 銀    ▲6六桂    △5二角    ▲5三歩    △同 銀    ▲5一金    △1六角
▲4一龍    △4二金    ▲3一龍    △8二玉(図)    ▲3四歩    △3七角成  ▲3三歩成  △5五香
▲4二と    △5九香成  ▲5二金    △6九成香  ▲7一金    △6一金    ▲同金上    △同 銀
▲8一金    △同 玉    ▲8三桂成  △8二金    ▲同成桂    △同 玉    ▲8四金    △6五歩
▲8三金打  △7一玉    ▲6一龍    △同 玉    ▲7二銀
まで125手で先手の勝ち

前夜祭で対局者が退出された後に加藤九段と豊川七段が本局の見どころを話しました。

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加藤「これから少し、豊川さんと将棋の見所を、まあいろいろと話をしたいと思います。わたくしは福岡県の嘉麻市の出身なんですね。生まれたときは市ではなくて町でしたけれど、いまは嘉麻市になっております。小学校の4年生のときに、将棋の……そうだ! 新聞の将棋欄を見まして、醍醐味というものを子供ながらに悟りました。それがわたくしの将棋棋士としてのスタートです。以来、読売新聞社主催の九段戦、十段戦、竜王戦をずっと指し続けておりまして、ほぼだいたい60年近く、読売新聞社主催のですね、対局を続けています。わたくしはですね、名人にもなっていますけれども、読売新聞社主催の以前の十段戦で、三度、十段になっています、ハイ。大山名人・十段を負かし、中原名人・十段を負かし、それに米長永世棋聖を負かし、三度十段になっています。わたくしとしましても、もっとも多く獲得したタイトルですので、読売新聞社様とは、非常に息が合っていると思います。えー、それでですね……」

豊川「すみません。すみません。加藤先生」
加藤「ああ、こりゃ。豊川さんです。どうぞどうぞ」
豊川「すみません。加藤先生、1局目と2局目はどうだったでしょうか。渡辺竜王と森内名人の対局ですが」

加藤「はい、そうですね。1局目はですね、ニコニコ生放送の解説をしまして、ニコニコ生放送の解説は私がやったときに、にじゅうまんにん! の将棋ファンが見たそうです。内容はですね、ひとことでいえば大熱戦。第2局も同じ戦型になりまして、これは私も経験がありますけれど、七番勝負などのタイトル戦では自信と自信、研究と研究がぶつかりあいますので、よく出だしが同じ形になることが多いんですね。問題は明日、明日ですよ。森内名人の先手番なんですけれども、豊川さんも知っていると思いますけれども、森内名人は先手番が大好きなトップ棋士なんですよ。どうやったら振り駒で先手になるかと、家で1000回も振り駒をしたという、これ本当の話なんですよね。戦型としましては、森内名人はもしかしたら加藤流の矢倉をですね、可能性としてはやるかもしれません。えっとそれはまず、ななろくふ、はちよんのふ、ろっぱちぎん、さんよんふ、ななななぎん、ですね。これが加藤流の出だしです」
(書き起こし=烏)

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20131107ryuou_37図は37手目▲7六歩まで。第2局と同じ手順が続いています。
第2局では後手が△3三桂▲7九玉△7五歩として▲同歩に△同飛▲7六歩△2五飛を狙う将棋になりました。
20131107_ac2_2 (加藤九段は棋譜並べに余念がない)

20131107_ac (「二人の調子を見ないと」と言いながら加藤九段が渡辺竜王と森内名人の棋譜を並べ始めた。豊川七段が相手側を持つ)

20131107_ac1 (しばらくして豊川七段に代わって青野九段が加藤九段の前に座る)

20131107ryuou_24図は24手目△5五同角まで。第1局と第2局と同じ戦型になりました。5筋歩交換は後手の積極策ですが、3連続で同じ戦型がタイトル戦で現れるのは大変珍しいです。渡辺竜王意地の歩交換といえるでしょうか。以下▲7九角△7三角▲4六角△6四銀▲7五歩と第2局と同じ展開に進みます。
第2局では渡辺竜王が負けた戦型を用いた森内名人、本局では渡辺竜王が敗れた指し方を用いています。
20131107_ab4 (対局前から気迫みなぎる表情)

20131107_a2_3 (豊川七段は真剣な表情で電波時計を見ながら腕時計の時刻を合わせる)

20131107_a3 (豊川七段はタイトル戦の記録係が初めての黒川二段に時刻調整するよう指導する)

20131107_a4(加藤九段が「足を崩されても結構ですよ。われわれは慣れているから大丈夫ですけど」と藤田筑紫野市長にすすめる)

20131107_a5 (加藤九段と藤田市長は福岡の話で盛り上がっていた。「2、3年前に福岡で医師を相手に、生涯現役をテーマに講演したことがあるんですよ。ふふふふふふ」と加藤九段)

20131107_a6 (天井にカメラやマイクが設置されている)