先手が優勢と見られていた本局ですが、後手の飯島七段も攻防に秘術を尽くして粘っており、局面は混沌としています。
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きわどい勝負
先手は△4二歩に▲3一飛と下ろしました。
この手は次に▲8四桂△7一金▲3二飛寄成で次に▲4一飛成△6一玉▲4三竜の必至の狙いがあります。
後手からは△2六歩が厳しい筋。次に△2七歩成としても詰めろではありませんが、後手の持ち駒に桂1枚入れば先手玉に詰み筋が生じます。難解な終盤戦です。
21時25分頃の局面。残り時間は▲山崎31分、△飯島28分。
ダイナミックな受け
山崎七段は後手の狙いの順を避けずに△6六桂を打たせる驚きの構想を見せています。
図から▲4八玉△7八桂成に▲4三成桂△同金▲8八馬(次図)と竜を抜くダイナミックな受け。
以下△8八同成桂▲1二飛と進んだところで時刻は21時を回っています。
▲1二飛に△4二歩と受ければ、後手玉は堅くなった印象を受けますが山崎七段の寄せの構想は果たして。
先手玉は広く、後手玉は狭い
8筋を破った後手はすぐに飛車を成らずに、△5四桂と打ちました。
この手は▲1四歩に対して△8八飛成▲7八金△6六桂(参考1図)の狙いと思われます。
この狙いが決まれば後手も相当と思われますが、わかりやすい狙いだけに受け方はいろいろありそうなところです。
4Fの桂の間で検討していた広瀬章人七段、村山慈明六段が一例として示してくれた順は、▲1四歩△8八飛成に▲7八銀△6六桂▲同金△7八竜▲6八桂(参考2図)。
一見怖い図ですが、先手玉は右翼が広く簡単には寄らない形。対する後手玉は▲8四桂で挟撃態勢を作られるとすぐに寄ってしまう形とのことです。
広瀬七段、村山六段は先手優勢の見解で一致しています。
攻め合い
飛車を捕獲しにいった先手に対して、後手は△9五桂と反撃に出ました。
8七の地点は先手も受からない形。▲1五歩とすぐに飛車を取って攻め合うか、あるは▲6八金△8七桂成▲6五桂と後手の攻めを緩和する手も考えられます。
時刻は20時を回りました。△9五桂までの消費時間は▲山崎3時間55分、△飯島3時間38分。
終盤戦へ
将棋大会
夕食休憩
渋い受け
図は17時頃の局面。
先手の強襲に対して、飯島七段はじっと△2四飛と攻防に飛車を打ちました。
2一桂にヒモを付けて先手の攻めを封じつつ、△2七歩成の確実な攻めを見た渋い一手。
先手が手を続けられるかどうかの勝負になりそうです。
△2四飛までの消費時間は▲山崎2時間33分、△飯島3時間2分。
山崎七段の強手
前図から△3四同銀▲同飛(!)△同歩▲1一角成と進んでいます。
先手の山崎七段が飛車切りの強手に出ました。
先手陣は玉の脇が空いており飛車打ちに弱い形に見えますが、山崎七段は大丈夫と見たようです。