カテゴリ「第23期竜王戦七番勝負第2局」の記事
戦型は相矢倉に
図は10時頃の局面。戦型は相矢倉(あいやぐら)へ進んだ。羽生名人の囲いが「矢倉囲い」で、両者この囲いに入って戦うことから相矢倉と呼ばれる。相矢倉の定跡は、幾多の棋士による、数えきれないほどの実戦を経て洗練されてきた。相矢倉を目指す序盤24手は「矢倉24手組み」と呼ばれ、この戦型の基本図となっている。もちろんこの24手組みも、時代と共に徐々に変化してきた。
「現代矢倉の基本の24手になりました。ここから▲3七銀が最も採用率が多いです。現在はまた▲6八角の森下システムも増えています」(所司和晴七段)
ここが先手にとって第一の作戦の岐路。▲3七銀と上がれば、長い歴史を持つオーソドックスな形になる。いっぽう、3七に使う駒を銀か桂か決めずに保留し、▲6八角と上がって玉の入城(▲7九玉~▲8八玉)を急ぐ形は、「森下システム」と呼ばれる。森下システムは森下九段が実戦で連採し、好成績を挙げたことからこの名が付いている。
(文)
禽(とり)将棋
午前のおやつ
対局開始
対局の準備が進む
両対局者、入室
本日の棋譜解説チャットは所司和晴七段
本日、棋譜解説チャットを担当するのは所司和晴(しょし・かずはる)七段。渡辺竜王の師匠だ。平手から駒落ちまであらゆる定跡に精通しており、「定跡伝道師」と呼ばれる。
また、将棋類のボードゲームに造詣が深いことでも有名。将棋・チェス・シャンチー(象棋:中国将棋)・チャンギ(將棋:韓国将棋)・マークルック(タイ将棋)などに精通している。特にシャンチーの腕前は世界レベルで、今年11月に行われるアジア競技大会には日本代表選手として出場することが決まっている。所司七段のブログでは、将棋、シャンチー・チャンギ・チェス・マークルックの異種5面指しを行って5戦全勝したという珍しい記録を知ることができる(所司七段ブログ)。
「戦型予想は難しいですが、おそらく相居飛車にはなるだろうと予想します。先手の羽生善治名人は何でも指しますが、最近の傾向では角換わりを目指す可能性の方が高いでしょうか。対して渡辺明竜王は堂々と迎え撃つか、横歩取りや後手1手損角換わりに誘導するかです。渡辺竜王は、以前は横歩取りを多用していましたが、現在は少ない傾向です。また後手1手損角換わりの採用率は少ない方です。すると同型角換わり腰掛け銀の最新形などになるかもしれません。しかし羽生名人は戦法のレパートリーが広く、戦型予想は難しいです。
見所としましては、まず戦型が何になるかでしょうか。定跡化された流行形になりますと1日目からかなり進むように思います。そしてどちらが新手、新工夫を指すかあたりが興味深いところです。定跡通りの戦型の方が私は解説しやすいですが、一手一手が難しい力戦になるのも面白そうです」
(文)
まもなく対局開始
戦型予想
対局前に、立会人の島九段、新聞解説の森下九段、BS中継解説の森内九段に戦型予想を聞いたところ、3人とも▲7六歩△8四歩の出だしになるのではないか、という意見でした。本命は角換わり、対抗は矢倉の予想でした。森下九段は「渡辺さんは作戦家ですので、▲7六歩△3四歩の出だしもあるかもしれません」と付け加えていました。