カテゴリ「第21期竜王戦七番勝負第1局」の記事 Feed

2008年10月19日 (日)

2_2  64手目の△6四角は良い手、という評価になっている。米長会長の詳しい解説をお聞きいただきたい。「候補手は3つです。」

(1)▲4五桂打は、△同歩▲同桂で△4一桂▲5三桂成△3三桂▲6二成桂△同玉となって先手の攻めが少し細い。
(2)▲4五銀は(A)△同歩なら▲同桂となって前者に比較して桂を手に持っている分、攻め駒が多いので、難しいが(B)△3七馬と桂を取る。
 以下▲5三金△同金▲4四銀△同金▲同竜△5三銀となって、現局面の一手前に、△4六馬とするよりも、角を一手守りに打っている分だけ後手が儲かった計算になる。これが羽生マジックです。

そこで先手は
(3)▲7五歩と今度は絡めていく手を考えることになる。
想定手順としては△4六馬▲7四歩△同銀▲6六桂で、銀がどこに逃げても▲7四歩と打って、玉頭に迫る拠点を作る。
さらに、単に(4)▲4五桂と跳ねる手もある。△同歩に▲4四歩とじっと垂らしておく。

現在の局面で、渡辺竜王には大きく分けて二通りの方針がある。
「(1)、(2)、(4)のように4六銀と3七桂の2枚を自分から動くことによって活用するか、
もしくは(3)▲7五歩と取らせる間に攻め切るか。ここがヤマ場ですね。」

先手優勢だったはずだが、先手が焦らされている。

5dsc_0255  第1局が始まる前の日、つまり17日に、ベルサイユ宮殿の見学のあと、渡辺竜王は、パリ南部のサン・クルー競馬場を訪ねる。竜王は「ついに来た・・・」と感慨深げ。パドックへ向かう足取りも軽い。オーロラビジョンもなく素朴な競馬場で、パリの富裕層が余暇のために楽しむ雰囲気だ。竜王は3勝1敗と、竜王戦に向けて幸先良し。
 ちなみに、前夜祭会場のロンシャンは、有名なパリ凱旋門賞が行われる競馬場の名前。ちなみにロンシャン競馬場はこの日は開催なしの休み。

4dsc_0255  仏時間・19日、午前7時30分。パリの朝は、遅い。日本では、7時頃は、日が昇り、明るいが、パリは、まだ日が昇らず、暗い。

 その代わりというわけではないが、日が暮れるのが遅いので、この時期19時頃でも、まだ明るいのだ。終局の頃、果たして、日が暮れて暗くなっているのだろうか?それともまだ明るいのだろうか?

 写真は、宿泊の部屋の窓から撮影。モンマルトルの丘が朝日にあたって、幻想的で、非常に美しい。この光景を眺めることができるのも、残すところあと1日。

2  △64角、64手目、めぐり合わせというか何というか。羽生名人のこの一手に検討陣は、苛まれることとなる。意表を付く一手である。この手見た、米長会長は、唸り、黙ってしまった。

 しばらくして、▲45銀か▲45桂打か?

 当然とは言え、予想通り封じ手は△24同歩であった。

 羽生名人は、対局室に8時53分頃入室。一方の渡辺竜王は、それから約5分遅れての入室であった。両対局者が対局室に入り、室内の緊張感が一挙に高まる。報道スタッフはもとより、、そして一般見学の方にも、そのキリリと引き締まった空気を肌で感じることができたであろう。

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 米長邦雄会長と佐藤康光棋王が継ぎ盤で、検討をしている。実は、今回の竜王戦、渡辺、羽生の両対局は当然だが、佐藤棋王もパリに来ている為、将棋界七つのタイトルのうち、六つが日本を離れ、このパリにあることになる。24dsc_0131

23dsc_0131_2  パリ市内を歩くと、至るところにカフェがあり、それがパリ市民の日常の一部であり、気取らず、ごく普通に利用されている。それがまた、実に味わい深く、現地の人から見れば、当たり前の光景だろうが、私からすれば、パリのエスプリを一番感じる光景である。左写真は、ソルボンヌ教会とカフェの風景。

 さて、パリの中心部では、毎週水曜日に将棋の会が開かれている。パリに到着した15日の夜に佐藤棋王、早水女流二段らがフランス人の将棋ファンが集まるカフェを訪ね、指導対局を行った(右写真)。カフェでの将棋。ちょっと粋な光景。21dsc_0131_3