2021年10月の記事

2021年10月 9日 (土)

34_1_98図から▲4五歩△3六桂▲3五歩。▲4五歩は玉のコビンを開ける手で怖さもありますが、これが最も効果的な攻めでした。△3五同歩は▲3四歩が厳しいため、実戦は△3三玉と逃げましたが、3筋の勢力争いは先手が制しそうな勢いです。

34_1_92高見七段は第4回ABEMAトーナメントで藤井三冠とチームを組みました。藤井三冠からは「自然に指してください」とアドバイスされたそうです。大盤解説会では、図の局面で自然な手は何か、と話題になっていました。
実戦は▲7九歩。▲3七玉も候補に挙がっていたようですが、鈴木大介九段は「指されてみれば自然」。自玉の安全を図るもので、時間のないこともあわせて考えれば実戦的な手といえそうです。

Dsc_4767(現地大盤解説会)

34_1_83

18時を回りました。先手の評判が上がっています。ただし、先手が勝ちになった、というわけでもありません。激戦の終盤になるかもしれません。図で残り時間は、▲藤井24分、△豊島31分。

Mnt1809(18時9分のモニター映像。豊島竜王は両手で首筋を押さえる)

34_1_751図から△7七飛成▲同銀△8九飛成に▲7一飛(2図)と進みました。飛車角交換から△8九飛成は、後手が勝ちにいった順ですが、▲7一飛が厳しい手のようです。次は▲6五桂のほか、▲5三角成△同玉▲5一飛成の強襲もあり得ます。飛車を打ち込んだことで9七角まで働く可能性があるのです。「先手の4七玉はとらえどころなく、妙にしっかりしています。▲7一飛は狭い場所に打つので見えにくい手でした」と松尾八段。

34_1_792図で後手は△6九角▲5八桂と合駒請求することはできますが、そのあとが難しい。たとえば△6九角▲5八桂に(1)△9九竜は▲8八銀と竜に当てられます。(2)△8二竜は▲2一飛成△3一金▲同竜△同銀▲4五歩△3六桂▲同玉と進んだとして、次に▲5四桂△同歩▲3一角成の攻めがあります。

Dsc_4748(控室では▲7一飛以下の検討が進められている)

Dsc_4754(継ぎ盤では、先手が後手玉を追い詰める変化も出てきた)

34_1_70図の局面で藤井三冠が手を止めています。この一手にかけた時間は、すでに1時間を超えました。△4四桂は藤井三冠の読みの本線ではなかったでしょうか。現地の大盤解説場では高見七段が「▲6六金が自然です。それ以外は勝負に出る手という感じがします」と解説しています。仮に▲6六金のつもりだとしても、その後の△8八歩成を何で取るかなど、考えるべきことはいくつもあります。

Dsc_4297(本日朝の藤井三冠)

34_1_69前回の記事から図まではパタパタと進みました。ここで豊島竜王が再び時間を使っています。現地の大盤解説会では、中村修九段が「後手がよくなる手がありそうなんだけど……」と話しています。後手リードは変わりませんが、具体的な手をたぐり寄せるのは簡単ではないようです。先手玉が右に逃げる展開になれば、3八銀と4九金が美濃囲いとして働き、粘りが利きます。後手としては5八玉型のうちに決定打を放ちたいところです。

Dsc_4668(豊島竜王は後手番で勝利を手にできれば大きい)

34_1_61図の局面で豊島竜王が30分を超える長考に入っています。60手目が指された時点で、残り時間は▲藤井2時間13分、△豊島1時間50分でしたから、1時間差がつこうとしています。形勢は豊島よしとみられていますが、残り時間を考えると、ここはハッキリとしたリードを築きたいところです。△8七飛成、△8一飛打、△3三桂、△6五桂など候補手が多く、悩ましい局面かもしれません。

Mnt1508(15時8分、モニター映像。両者とも前傾姿勢)