△6七香成(図)で豊島竜王は一分将棋に入りました。藤井三冠は4分を残し、形勢も勝勢とみられてます。
2021年10月の記事
2021年10月 9日 (土)
先手がリードを広げる
図から▲4五歩△3六桂▲3五歩。▲4五歩は玉のコビンを開ける手で怖さもありますが、これが最も効果的な攻めでした。△3五同歩は▲3四歩が厳しいため、実戦は△3三玉と逃げましたが、3筋の勢力争いは先手が制しそうな勢いです。
自然に指す
夜戦へ
▲7一飛は逆転の一手か
1図から△7七飛成▲同銀△8九飛成に▲7一飛(2図)と進みました。飛車角交換から△8九飛成は、後手が勝ちにいった順ですが、▲7一飛が厳しい手のようです。次は▲6五桂のほか、▲5三角成△同玉▲5一飛成の強襲もあり得ます。飛車を打ち込んだことで9七角まで働く可能性があるのです。「先手の4七玉はとらえどころなく、妙にしっかりしています。▲7一飛は狭い場所に打つので見えにくい手でした」と松尾八段。
2図で後手は△6九角▲5八桂と合駒請求することはできますが、そのあとが難しい。たとえば△6九角▲5八桂に(1)△9九竜は▲8八銀と竜に当てられます。(2)△8二竜は▲2一飛成△3一金▲同竜△同銀▲4五歩△3六桂▲同玉と進んだとして、次に▲5四桂△同歩▲3一角成の攻めがあります。
藤井三冠が手を止める
再び長考
前回の記事から図まではパタパタと進みました。ここで豊島竜王が再び時間を使っています。現地の大盤解説会では、中村修九段が「後手がよくなる手がありそうなんだけど……」と話しています。後手リードは変わりませんが、具体的な手をたぐり寄せるのは簡単ではないようです。先手玉が右に逃げる展開になれば、3八銀と4九金が美濃囲いとして働き、粘りが利きます。後手としては5八玉型のうちに決定打を放ちたいところです。