2020年10月の記事
封じ手の様子
羽生九段が60手目を封じる
時刻は18時を回り、図の59手目▲5四歩の局面で、羽生九段が次の一手を封じました。封じ手の考慮は36分。1日目の消費時間は▲豊島竜王3時間41分、△羽生九段3時間53分です。
筋のいい手
17時25分、「このまま封じ手もあり得るか」と言われ始めたところで、豊島竜王が▲5四歩と指しました。控室では、「筋のいい人は▲5四歩」と言われていた手です。
「次の手は難しいところですよ。この局面で確実に封じ手になるでしょうね。もしかすると18時になってもすぐに封じないかもしれません」と青野九段。候補手としては△3六歩が最有力と見られていますが、少し前に青野九段が指摘していた△8六銀もあるようです。また、受けの手なら△3二銀打が考えられるようです。
この手を見た羽生九段は棋譜を手に取って、しばし眺めてから前傾姿勢を強めて考え出しました。なお18時を回ると次の手を封じますが、18時ちょうどに封じなければいけないわけではありません。手番の棋士は、18時以降も指す手が決まるまで、持ち時間の許す限り考えることができます。
大盤解説組到着
16時過ぎ、明日の大盤解説会を担当する三枚堂達也七段と和田あき女流初段が現地入りしました。和田あき女流初段は、来て早々におやつの食レポを依頼されて、早速お仕事です。羽生九段が注文した「クラシックショコラ」は、口当たりが柔らかく食べやすいと好評でした。
なお、今日は和田あき女流初段の妹で、9月にプロデビューしたばかりの和田はな女流2級が東京・将棋会館で女流公式戦の対局中です。将棋連盟ライブ中継アプリで中継されていますので、どうぞご覧ください。
意外な長考
時刻は16時を回りました。豊島竜王は△7七桂成と銀を取られた局面で長考しています。▲7七同桂が普通ですが、すぐに指さないところを見ると何か嫌な筋があるのかもしれません。控室の青野九段に見解を伺いました。
「もしかしたら△8六銀(下図)の強手があるかもしれません」と青野九段。
歩切れの先手は▲8六同歩と取りづらい形のため、▲8五桂と歩を取る手が考えられます。しかしそれには△7七銀打が目の覚めるような強手です。以下▲同金△同銀成▲同玉△8五飛(下図)まで一本道ですが、次に△6五桂と△6九角の二つの厳しい狙いがあるため、この変化は先手が苦しいとされました。
戻って、最初の△8六銀に▲同歩と取り、△同歩に▲8五桂打と桂を打つ変化が検討されました。以下△8七角▲7九玉△7五歩(下図)に、先手からも▲4四歩や▲2四歩などがあって「意外に難しい」とされました。ただ、先手としてはかなり気を使う変化のため、「これは時間を使って当然ですね」とのこと。しかし、ここで▲7七同金は妥協した感があるため、▲7七同桂と取れないようだと先手変調と言えそうです。
控室では、青野九段と山崎八段が継ぎ盤を挟んで検討している。
16時過ぎ、豊島竜王は32分の考慮で、図から▲7七同桂と応じました。妥協しない取り方に対して、青野九段が指摘した△8六銀の強手が指されるのかどうか。次の一手が注目されます。
1日目午後のおやつ
15時を回り、両対局者におやつが用意されました。注文は、豊島竜王が「フルーツ盛り合わせ」(檸檬屋)と「100% ももジュース」(Banshoji Bar)、羽生九段が「クラシックショコラ」(ガトー・デュラ・メール・スリアン)と「コーヒー」(Banshoji Bar)。
クラシックショコラにはフルーツが添えられていた。
【檸檬屋】
http://e-lemon.jp/
【ガトー・デュラ・メール・スリアン】
http://www.souriante-nagoya.net/
【Banshoji Bar】
https://bar.banshoji.jp/
羽生九段、長考で動く
亀岳林 万松寺
対局が行われている「亀岳林・万松寺」は、十一面観世音菩薩を本尊とする単立寺院(特定の宗派に属さない寺院)。その歴史は、1540年に織田信長の父、織田信秀が菩提寺として建立したことに始まり、大変な歴史と由緒のある寺院です。名古屋市の繁華街である大須商店街の中にあり、毎日多くの参拝者が訪れる他、観光スポットにもなっています。