2019年6月の記事
感想戦
主催紙インタビュー
――本局を振り返ってください
藤井 1筋から先攻されてこちらが8筋から反撃に出る展開で、こちらは攻めが途切れると相手の竜が手厚く苦しくなってしまう。一局を通じて際どい勝負でした。
――どのあたりでよくなったように思われましたか
藤井 82手目の△9七桂成で攻めがつながる形になったので、そこで。
――次は初の1組の棋士と決勝トーナメントで対戦します
藤井 強敵ばかり続く戦いですが、目の前の戦いに集中して、上を目指して頑張っていきたいです。
――現時点で本戦に勝ち残っているのはこの竜王戦だけだと思いますが、改めてタイトルへの思いはいかがですか
藤井 竜王戦は初めて1組の先生と対戦できるところまで来れて、こちらとしては思いきってぶつかっていけます。目の前の戦いに全力を尽くしたいと思います。
――本局を振り返ってください
近藤 途中で差がついてしまいました。誤算があって、攻めを受けきれなかったです。
――誤算とは具体的にはどういったところでしょうか
近藤 夕食休憩前後が勝負どころだったように思うのですが、そこで正しく指せなかったです。72手目に△7七角と打たれて受けきれなくなりました。
――決勝トーナメント初出場でしたが、敗退となりました。来期に向けての抱負をお願いします
近藤 もう一度力をつけ直して、またこの舞台に戻ってきたいです。
終局直後
藤井聡太七段勝利
▲近藤誠-△藤井聡戦は20時7分、96手で藤井聡七段の勝ちとなりました。消費時間は▲近藤4時間9分、△藤井3時間48分(持ち時間各5時間)。勝った藤井聡七段は、次戦で久保利明九段(1組5位)と対戦します。
粘りを見せるが
近藤六段は取れる飛車を取らずに▲8八銀と自陣に銀を投入して粘りを見せました。しかしこれには△7八角▲9八玉に△8四歩が冷静な応対で、▲7七銀△8五歩▲8八玉△5六角成▲同歩に△8六歩で、先手玉は寄り筋と言われています。
見てみたい
棋士室では平藤七段と村山七段が「ここで▲8一飛成のときにどうやって寄せるのか見てみたいです」と話し合っています。自然な順は以下△7八角▲9八玉△8七歩ですが、▲8九歩ではっきりしないとのこと。
「ただ、藤井さんは寄せが見えていると思うんですよね。指し手を当てたいですけどちょっと分かってなくて。ゆっくりした寄せならあるんですけど、▲8一香成のときにどう指すのか見てみたいです」(平藤七段)
不成ではなく、桂成りで
藤井七段、切り込む
図は角交換後に再度△7七角と打ち込んだところ。以下▲6八角に検討では△6六角成とゆっくり指す順が示されていましたが、藤井七段は△8六角成と切り込みを見せました。以下▲同金に△7七銀が▲8七歩に△9七桂不成を見た継続手で、実戦も▲8七歩まで進みました。村山七段は「先手玉が寄っていてもおかしくないです」と、現局面についての見解を述べています。