2018年12月の記事
2018年12月 5日 (水)
ファンの前で
終局直後
■羽生善治竜王
――3勝2敗となり、タイトル通算100期まであと1勝となりました。
羽生 目の前の対局に集中していたので、あまり意識していませんでした。
――本局は矢倉になりましたが。
羽生 作戦でした。形勢判断が微妙な感じが、ずっと続いていたと思います。ずっとはっきりしないと思ってやっていました。
――勝ちを確信されたのは。
羽生 ▲3五歩(127手目)と打ったところで、初めてよくなったんじゃないかなと思いました。
――第6局に向けての抱負をお願いします。
羽生 しっかり調整して、いいコンディションで次の対局に向かいたいと思います。
■広瀬章人八段
――一局を振り返っていかがでしょうか。
広瀬 あまり類型のない将棋だったと思います。▲2七角(49手目)と打たれて意表を突かれて、そこから守勢に立たされる展開になってしまったので、ちょっとずつ模様が悪いかなと思っていました。
――第6局に向けての抱負をお願いします。
広瀬 あとがなくなってしまったのですが、次はもう少し内容のいい将棋にできればと思っています。
羽生竜王が3勝目を挙げる
第31期竜王戦七番勝負第5局は、139手で羽生竜王が制しました。終局時刻は18時42分。消費時間は▲羽生7時間53分、△広瀬7時間26分。これにより、シリーズ成績は羽生竜王の3勝2敗に。竜王防衛まであと1勝となりました。第6局は12月12日(水)、13日(木)に、鹿児島県指宿市「指宿白水館」で指されます。
驚きの一段金
決め手があるか
絶妙の3手1組
羽生竜王が絶妙の手順を見せました。広瀬八段が△3一金(84手目)と引いて竜に当てたところで、▲3三桂△4二玉▲7六銀(87手目)が妙手順です。
王手をかける▲3三桂は「形を決めて損」という類の手に思えるのですが、竜にヒモをつけたことで▲7六銀と歩を払う余裕が生まれました。先手は△2一金と竜を取られても、▲同桂成で次に▲3一角という厳しい狙いが残ります。戻って、△3一金には▲1一竜~▲2三桂が自然な攻めに見えるだけに、意表の順でした。
現地大盤解説会には渡辺明棋王が登場。この▲3三桂~▲7六銀について「控室ではまったく見えていませんでした。さすが羽生さんという視野の広さが出ている、プロが感心する3手1組です」と絶賛していました。検討陣の見解は「先手よし」に傾いています。