2015年10月の記事

2015年10月16日 (金)

20151016i85手目▲3一竜まで進みました。2日目の経過を藤井九段に聞きました。

「封じ手の▲9六歩は進行を見ると渡辺さんらしいですね。堅さをキープしています。△6二角はちょっと浮かばない手でしたね。
後手が決戦に出たのが意外でした。△3五歩(下図)では△2五桂と思っていましたから。ただし、現局面まで進んでみるとギリギリです。
流れは先手なのですが△8三歩と打ってみると景色が変わりますね。いないといきなり後手玉が詰んでしまう筋がありますが、これなら一瞬堅いですし、後手が攻める手番がきました。先手のはっきりした勝ちが見えません」

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20151016_fujii1 (検討する藤井九段)

20151015_unaduki32 (2001年竣工の宇奈月ダム。右下に宇奈月発電所が見える。水力発電のほか、上水道の供給や洪水調整などを担う多目的なダムだ)

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20151015_unaduki24 (宇奈月発電所)

20151015_unaduki26 (黒部川を利用した水力発電。電気は主に関西方面へ送られる)

20151015_unaduki28 (宇奈月ダムによってできた人工湖のうなづき湖。中央奥は黒部峡谷鉄道の柳橋駅)

20151016_hiru3 (81手目▲2一飛の局面で昼食休憩入り)

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20151016_hiru4 (スタッフは休憩中にお茶や水、お菓子を入れ替える。お菓子は朝とは違うものがいくつかあった。宇奈月へ来たら、おみやげに買いたいもの)

20151016_hiru5 (対局室の隣の部屋。昨日、渡辺棋王は奥の和室で封じ手を記入した)

2日目の対局者の昼食は糸谷竜王がビーフカレー、渡辺棋王は黒部名水ポークの豚重でした。
ビーフカレーは昨日渡辺棋王が頼んだカレーライスとは別物です。また、黒部名水ポークは黒部川の水で育てた豚肉で、柔らかく美味です。

20151016_hiru1(糸谷竜王の昼食)

20151016_hiru2 (渡辺棋王の昼食)

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図の81手目▲2一飛で糸谷竜王が18分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡辺5時間34分、△糸谷5時間14分。対局は13時30分再開です。

20151016d81手目▲2一飛まで進みました。控室で調べている阿久津八段は「糸谷さんの方を持って自信がありません」とのこと。先手が十分な進行のようです。
▲2一飛は銀香両取りの厳しい一着。特に▲1一飛成としてから▲6一竜が先手の狙い筋。以下△同銀に▲8六香(参考図)となると、6筋が壁で後手玉が詰んでいます。8筋の歩のない美濃囲いは「坊主美濃」と呼ばれますが、上部が薄いです。参考図はその薄みを端的に突いています。



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大盤解説会を担当する阿久津八段と井道女流初段が次の一手の景品用に色紙を書いています。20151016_ido1 (井道女流初段)

20151016_ido2(達筆)

20151016_akutu1 (阿久津八段)

20151016_akutu2 (鋭さのある「鋭気」)

20151016_ooban2 (藤井九段がゲスト出演。井道女流初段と解説する)

20151016_ooban3(読売新聞の子ども新聞など)

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20151016c「△3五歩は一番激しくなる手です。形勢は難しいですね。前夜祭で糸谷さんは前評判は自分が不利として臨むようなことを話していました。謙虚な感じですが、私は実績を抜きにして考えたら、どうみても激戦で互角だと思っています。それで前夜祭では対決をあおるようなことを話しました」と藤井九段。
△3五歩以下▲3三歩成△3六歩▲3二と△3七歩成と一直線に進みました。大決戦です。