2015年10月の記事
2015年10月16日 (金)
関西将棋会館から
詰めろだった後手玉
図は114手目△5六角成と4七の角を成ったところ。一見、△6九金と金を取りたいところですが、なんと▲9三歩成△同香▲同香成△同桂に▲9四銀から手数は長いものの後手玉が詰んでいたようです。△5六角成は自玉にも利かして詰めろを消した手だったのです。
▲9四歩と取り込んだのは先手の損ともいえず、藤井九段の判断も変わりました。
難解な終盤戦、対局者は残り少ない時間の中、一人で険しい道を進んでいます。
17時25分ごろの対局室
微妙な端の取り込み
後手玉に詰み筋あり
100手目△4八銀の局面。後手の攻めは一瞬重いです。そこで阿久津八段は控室で▲7四桂打△同歩▲同桂△9二玉▲8五桂(参考図)という順を調べています。攻防の指し方で、以下△5七銀成は▲6九飛△6七成銀▲同飛△5六角成(参考2図)に▲9三銀△同桂▲同桂成△同玉▲8五桂△8四玉▲7五銀△8五玉▲8六歩△7六玉▲7七飛(参考3図)までの詰みとなります。
実戦は△9二玉に▲9五歩でした。確実ですが、後手玉への詰み筋が少ないため、先手も怖い面があります。
揺れる形勢判断
大盤解説会の検討
15時15分、糸谷竜王が△4六角と出たころ、現地では藤井九段と阿久津八段が大盤解説会を担当していました。図の△4六角は△7九角成からの詰めろをかけつつ、自陣にも利かした攻防手です。
普通は▲6八香ですが、そこで阿久津八段は△7八銀打を示しました。以下▲同金△同銀成▲同玉△5六角成▲同金△6八角成▲8八玉△7八金▲9八玉△7七馬(参考図)。こう進めて「あれれ、受けなしですね」と藤井九段。先手がたくさん駒を持っても後手玉は詰みません。
△7八銀打に▲6九金も△6七銀成▲同香△6九金(参考2図)が厳しい。6九金を取っても後手玉は詰みません。
実戦は渡辺棋王が▲5七香と受けました。「▲5七香は非常手段気味」が藤井九段と阿久津八段の見解です。