2015年10月の記事

2015年10月16日 (金)

関西将棋会館から大盤解説会の写真が届けられました(撮影=潤)。

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20151016_kansai3 (解説の淡路仁茂九段)

20151016_kansai2 (聞き手は村田智穂女流二段)

20151016_kansai4 (関西将棋会館の棋士室でも熱心に検討されている。左から平藤眞吾七段、村田顕弘五段、大石直嗣六段、斎藤慎太郎六段、大橋貴洸三段)

20151016y図は114手目△5六角成と4七の角を成ったところ。一見、△6九金と金を取りたいところですが、なんと▲9三歩成△同香▲同香成△同桂に▲9四銀から手数は長いものの後手玉が詰んでいたようです。△5六角成は自玉にも利かして詰めろを消した手だったのです。
▲9四歩と取り込んだのは先手の損ともいえず、藤井九段の判断も変わりました。
難解な終盤戦、対局者は残り少ない時間の中、一人で険しい道を進んでいます。



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20151016t106手目△8四歩の局面。ここで藤井九段は▲3二竜を予想していました。△5七銀成▲同金△同角成に▲6九金は△同金▲同飛△7八金が好手で▲9七玉△9五歩(参考2図)は詰めろ逃れの詰めろで後手勝ち筋です。そこで、参考図で▲6九飛となりますが、それだと難しいのが藤井九段の見解。
実戦は△8四歩に▲9四歩△8三玉と端歩を取り込んでから▲3二竜でした。一見先手が利かしたようですが、藤井九段はかえって先手玉が危なくなった(将来△9四香など、逆に後手から9筋を攻める筋ができた)のではないかという見解です。


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20151016_yuu1 (夕方の宇奈月温泉。山に囲まれており、低いところは日が当たらなくなった)

20151016p100手目△4八銀の局面。後手の攻めは一瞬重いです。そこで阿久津八段は控室で▲7四桂打△同歩▲同桂△9二玉▲8五桂(参考図)という順を調べています。攻防の指し方で、以下△5七銀成は▲6九飛△6七成銀▲同飛△5六角成(参考2図)に▲9三銀△同桂▲同桂成△同玉▲8五桂△8四玉▲7五銀△8五玉▲8六歩△7六玉▲7七飛(参考3図)までの詰みとなります。
実戦は△9二玉に▲9五歩でした。確実ですが、後手玉への詰み筋が少ないため、先手も怖い面があります。



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20151016_hikaesitu2 (大盤解説会から藤井九段と阿久津八段が戻ってくる。当初、▲5七香は非常手段気味といわれていたが、検討を進めると難しいことが分かってきた。「形勢不明です」と藤井九段)

20151016n▲5七香と受けた局面で糸谷竜王が長考しています。△5七同金▲同金△同角成に▲6九飛と取るのが自陣の駒を玉に近づける手になります。
次いで△5六馬で△6九角成▲同金△8九飛を狙うのは▲6七銀(参考図)が受けの好手です。参考図から△6九角成▲同金△6七馬と銀を取れば、▲7四桂打から片美濃囲いが詰んでしまいます。
糸谷竜王は51分の長考で、▲5七香に△4八銀と絡みました。確実でも時間がかかるので、受けにも自信がないと指しにくい手です。



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15時15分、糸谷竜王が△4六角と出たころ、現地では藤井九段と阿久津八段が大盤解説会を担当していました。図の△4六角は△7九角成からの詰めろをかけつつ、自陣にも利かした攻防手です。
普通は▲6八香ですが、そこで阿久津八段は△7八銀打を示しました。以下▲同金△同銀成▲同玉△5六角成▲同金△6八角成▲8八玉△7八金▲9八玉△7七馬(参考図)。こう進めて「あれれ、受けなしですね」と藤井九段。先手がたくさん駒を持っても後手玉は詰みません。
△7八銀打に▲6九金も△6七銀成▲同香△6九金(参考2図)が厳しい。6九金を取っても後手玉は詰みません。
実戦は渡辺棋王が▲5七香と受けました。「▲5七香は非常手段気味」が藤井九段と阿久津八段の見解です。

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