2015年8月の記事

2015年8月11日 (火)

78図は20時半頃の局面。渡辺棋王は検討陣の予想外の手順で寄せに出ています。当初は明快な寄せが見つからず「意外に難しいか」と言われていたましたが、しばらくして検討陣が寄せを発見しました。
「△7九とは予想外でしたが、下段に落とす寄せで鋭かったんですね。これは決まったんじゃないですか」(田中寅九段)

Img_047220時半頃の対局室モニターの映像。

71攻め続けていた渡辺棋王が、一気に終盤に持ち込む筋に踏み込みました。図から△8六飛▲8七歩が予想される進行で、そこで寄せに出ると見られています。後手玉が堅く、先手は攻め合いが望めないのが実戦的につらいところ。ただ、局面はまだまだ大変で、簡単に決まるというわけではないようです。

Img_0378永田町周辺にはシャレたカフェなどが多い。

5618時0分、この局面で永瀬六段が13分使って夕食休憩に入りました。消費時間は▲永瀬3時間21分、△渡辺3時間8分。対局は19時に再開します。

Img_0467夕食休憩中の対局室。

Img_0470夕食休憩時の盤面。

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図は17時15分頃の局面。交換した角を▲4六角△8四角と互いに打ち合っていますが、現時点では先手の4六角のほうが働きのいい位置です。控室でも当初は後手の△8四角の評判が悪かったのですが、検討が進むと評価が変わってきました。図で後手の手番なら狙い筋は△5五歩とのこと。以下▲同銀△同銀▲同角に、△5二飛、あるいは△5四金で先手の角をいじめます。

「現時点では先手の角のほうが働きがいいのですが、盤上から先手の角がいなくなると、後手の8四角の働きが急に強くなります。先手の角を負担にするのが△8四角の狙いで、有力な手に見えてきました」(長岡五段)

現局面は互いの角を巡る攻防で一気に決戦に突入する可能性を秘めているようです。

Img_0371清水谷公園の花。

Img_0460控室には藤井猛九段、長岡裕也五段、金井恒太五段が来訪し賑やかになった。

Img_0463藤井九段はこの将棋の第一人者。

Img_0462_2藤井九段の解説を真剣な表情で聴く長岡五段。

Img_0464金井五段も興味津々の様子だ。

48図は16時40分頃の局面。ここまで検討陣の予想通りに進んでいます。検討では先手玉の薄さが響いて、先手が不利になる変化が多くなっているようです。消費時間は▲永瀬2時間45分、△渡辺2時間29分。

都市センターホテルの最寄駅のひとつは永田町。日本の国家中枢機能が集中する地です。

Img_0452日本の司法の最高機関、最高裁判所。

Img_0446国立劇場。歌舞伎などの伝統芸能が演じられる。

Img_0444裏手には落語や漫才が演じられる国立演芸場。

Img_0445落語家さんらしき人が演芸場に入っていった。

Img_0436ホテル横は緑いっぱいの通路になっている。

Img_0433夏も後半戦。セミも必死だ。

Img_0440都市センターホテル。

4515時半過ぎ、先手は△3九角の隙を放置して桂を跳ねました。塚田九段が予想していた馬を作らせる方針です。田中寅九段は「先手のほうが自然な駒運びになってきた。先手が良く見えてきたな」と、評価を変えています。

Img_0457控室には千葉幸生六段が来訪し、田中寅九段と検討している。

42図は15時過ぎの局面。先手が▲4六角と引いたタイミングで、後手から角交換。以下▲4六同歩△6四銀と進んで図の局面です。微妙に異なる互いの陣形がどう影響するのか。まもなく中盤の難所に入りそうです。ここまでの消費時間は▲永瀬2時間2分、△渡辺1時間35分。

「確かに指し手が難しい局面ですね。後手の番なら△5五歩と押さえてから△7五歩が狙いになるので、先手はそれにどう対応するか。▲6五歩と突きたいですが、△5三銀と引かれて△3九角が残りますね。馬を作らせるというのもあるのかもしれませんが」(15時頃、下見を兼ねて控室を訪れた塚田泰明九段)

対局場の都市センターホテルから歩いて5分ほどのところに、清水谷公園があります。都会のオアシスとも言える水と緑の公園には、幕末から明治にかけて活躍し、西郷隆盛、木戸孝允とともに維新の三傑と呼ばれる大久保利通公の哀悼碑があります。

Img_0372洋風の通路がまっすぐ石碑に向かっている。

Img_0362大久保公の哀悼碑。

Img_0366

Img_0356真夏の日差しだが、公園内は涼しさを感じる。

Img_0357鳩も水辺で一休み。

Img_0347清水谷の由来。