2014年10月の記事

2014年10月17日 (金)

控室に差し入れが届いた。チョコレートで「祝第27期竜王戦」と文字が書かれたチーズケーキとロールケーキ。「料理の鉄人」に出演したこともあるシェフ、後藤雅司さんが作ったものとのこと。口にした関係者は「おいしい」とうなずいていた。

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比較的速いペースで局面が動いている。角換わりの序盤は「最善形で仕掛けたい先手」と「最善形で迎え撃ちたい後手」という2つの思惑が盤上で交錯する。そのために手待ちをすることも多く、一直線に仕掛ける展開にはなりにくい。わずかな得を求めて、細かい駆け引きが行われるのがこの戦型の常だ。控室では佐藤康九段がパソコンをにらみ、前例と照らし合わせながら検討している。図から糸谷七段は▲2八飛! 一度4筋に狙いを定めた飛車が2筋に戻った。実戦では指されたことがないが、以下△3三銀▲2五歩と進めば前例のある形に合流する。先手が飛車先を伸ばす形はやや古い形だが、最近は再評価が進み増えている指し方だ。本局もそうした形になるのか、それともまったく新しい展開になるのか。森内竜王は盤面を見つめて熟考している。

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控室では谷川九段が封じ手用紙を入れる封筒の準備中。封筒には棋戦名や開催地などの情報を書き、立会人が署名する。封じ手は2通作って保管する規定だ。この封筒が使われるのは18時。佐藤康九段は進行の速さに、「これは12時には(駒が)ぶつかりますね」と話していた。最近のタイトル戦は、事前で研究済みの局面までスッスッと進む傾向がある。今日はどこまで進むだろうか。

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後手番の森内竜王は2手目に△8四歩と突き、先手に作戦を委ねる指し方を選んだ。対する糸谷七段は▲2六歩と突いて角換わりを目指す。△7七角成(図)で戦型が角換わりに決まり、森内竜王が糸谷七段の得意形を受けて立った形になった。

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(控室に重枝総領事夫妻が来訪。しばらく関係者と談笑していた)

9時、立会人の谷川九段が「定刻になりました。第27期竜王戦第1局を糸谷七段の先手で始めてください」と告げて対局開始。糸谷七段は初手を指したあと、しばらくの間そのままの姿勢を維持していた。撮影するメディアへの配慮だろう。森内竜王は糸谷七段の着手から少し間を置いて着手した。これもまたひとつの配慮である。2手目までを見届けて、関係者が退室した。

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(盤側に対局関係者が座る。左から重枝総領事夫妻、谷川九段、ハレクラニコーポレーションCOOのPeter Shaindlinさん、同じくハレクラニコーポレーションの前田上席副社長、日本将棋連盟ホノルル支部の野田支部長)

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8時53分、谷川九段が「第1局ですので、振り駒を行います」と告げる。石田四段が白布の入った箱を持って立ち上がる。森内竜王の歩を5枚手に取って「森内竜王の振り歩先です」と言うと、森内竜王ははっきりとした声で「はい」と答えた。振り駒の結果はと金が3枚。糸谷七段の先手に決まった。

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糸谷七段は8時47分に入室。立会人らが和服の襟が曲がっているのに気付き、佐藤康九段が襟を直す場面があった。8時59分、森内竜王が対局室入り。やがて対局の準備が始まった。

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ニコニコ生放送では対局の模様をリアルタイムで中継する。解説は富岡英作八段、聞き手は山口恵梨子女流初段。解説は日本時間で17日8時30分から開始される。

【ニコニコ生放送の番組ページ(視聴には無料の会員登録が必要です)】
http://live.nicovideo.jp/watch/lv193643941

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ホノルルは雲が多いものの晴れ空が見える天気だ。第1局の対局開始はハワイ時間16日9時、日本時間17日4時。七番勝負の開幕局のため振り駒が行われる。封じ手は、18時の時点で手番の対局者が次の手を封じる。

■1日目のスケジュール(カッコ内は日本時間)
9:00(4:00) 対局開始
10:00(5:00) 飲み物
12:30(7:30)~13:30(8:30) 昼食休憩
15:00(10:00) おやつ
18:00(13:00) 封じ手

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