2014年7月の記事

2014年7月24日 (木)

定刻が近づき、対局室には阿久津八段と糸谷六段が戻っていた。13時になると、糸谷六段はすぐに再開後の手を指す。しばらくして行方八段が戻り、こちらも着手。阿久津八段はどっかりとあぐらになり、扇子を使いながら盤面を見つめる。屋敷九段も戻ってくると、表情を変えずに着手。局面が進んでいく。

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2組優勝の行方八段と1組3位の阿久津八段。両者の竜王戦での成績を紹介する。

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行方八段の竜王戦での成績は60勝35敗(0.632)。第7期(1993年)から参加し、1期目でランキング戦優勝、そのまま決勝トーナメントを勝ち抜き挑戦者決定戦に進出。竜王戦では挑戦者になれば1組昇級となるが、三番勝負では羽生善治名人に敗れて一気の「飛び級」は成らなかった。その後2組まで毎年昇級を重ね、第13期(2000年)に1組昇級を果たす。ランキング戦優勝は今回で4回目。決勝トーナメント進出は9年ぶり5回目。

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阿久津八段の竜王戦での成績は42勝23敗(0.646)。第13期(1999年)から参加し、ランキング戦優勝は2回。決勝トーナメント進出は4年ぶり3回目。第25期には行方八段との昇級決定戦を制して初の1組昇級を果たしている。

1組2位の屋敷九段に挑むのは3組優勝の糸谷六段。両者の竜王戦での戦績を紹介する。

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屋敷九段の竜王戦での成績は69勝46敗(0.600)。第2期(1988年)から参加し、ランキング戦優勝は2回、第10期(1997年)には挑戦者決定戦に進出している。決勝トーナメント進出は今期が10年ぶり6回目。10年前の2004年は渡辺明五段(当時)に敗れている。

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糸谷六段の竜王戦での成績は30勝10敗(0.750)。第20期(2006年)から参加し、ランキング戦優勝は2回、決勝トーナメント進出も今期が2回目。前回は第21期(2008年)、中村亮介四段(現五段)を破って決勝トーナメント進出。このときにランキング戦2期連続昇級により五段昇段。その後の決勝トーナメントでは、豊島将之四段(現七段)、増田裕司五段(現六段)を破り、羽生善治名人に敗れた。

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特別対局室のより上位にあたる奥側(窓側)で行われているのが▲屋敷-△糸谷戦。戦型は糸谷六段得意の一手損角換わりに進んでいる。屋敷九段の囲いは一路ずれた矢倉囲いで、8筋の薄さが弱点だが、後手の飛車先が伸びていないので大丈夫と見ている。近年になってよく用いられるようになった形だ。

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入口側で行われているのは▲行方-△阿久津戦。後手の阿久津八段は横歩取りから△3四飛(図)とひねり飛車ふうに構えた。今期の3組ランキング戦決勝で西尾明六段が用いた指し方だ。▲3三角成△同桂▲2一角には△4五桂と跳ねて金取りを受ける意味があり、後手は△6二玉と囲いやすくなっている。最近の後手は中住まいではなく、△6二玉と寄せていく囲い方が流行している。

竜王戦決勝トーナメントの2局には、特別対局室があてられている。一番乗りは屋敷九段。続いて糸谷六段が対局室に現れ、対局の準備が始まった。駒を並べ終え、振り駒が行われる。結果は歩が4枚で、屋敷九段の先手に。9時58分、行方八段が入室。定刻の10時を回り、対局開始。阿久津八段は1分ほど遅れて対局室に現れた。振り駒は歩が4枚で、行方八段の先手に決まった。

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第27期竜王戦は決勝トーナメントが進行中。7月24日(木)には屋敷伸之九段(1組2位)-糸谷哲郎六段(3組優勝)戦、阿久津主税八段(1組3位)-行方尚史八段(2組優勝)戦の2局が行われる。この2局の勝者は、次に挑戦者決定戦進出をかけた戦いへと臨む。対局場所は東京・将棋会館。対局開始は10時。
インターネット中継は、棋譜・コメント入力を銀杏記者(屋敷-糸谷戦)と吟記者(阿久津-行方戦)が、ブログを文が担当する。

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2014年7月22日 (火)