2013年9月の記事

2013年9月 2日 (月)

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図の局面も検討どおり。ここで後手の攻めが難しい。攻めに制限があるからだ。

たとえば△6九角▲4九玉△6七竜▲同歩△5八銀▲3九玉に(1)△2七歩(参考1図)。
先手玉に必至がかかるが、そこで▲3二飛△5一玉▲5三香不成△5二金打▲同香成△同金▲7一飛△6一銀▲同飛成△同玉で後手玉は詰み。歩を使いきってしまうと、▲5三香不成に△5二歩と打てない。それが痛い。

(2)△4七銀不成(参考2図)も調べられた。▲4七同銀△同角成から△3八金の狙いだが、銀を渡すと▲3二飛△5一玉▲4二銀から詰みがある。

実戦は図から△6九角と打たずに△5一玉と引いた。そこで森内名人が考えている。

S65

A077

(朝の郷田九段)

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検討されていた局面に進んだ。後手は竜を取られるまでにどれだけ先手玉に迫れるか。△2六桂や△6七香成をうまく組み合わせる必要がある。難しい課題だが、問題はそれだけではない。宮田敦六段は「後手は時間がないので……」と話している。先手玉を追い込むには、まだまだ手数がかかる。しかし、郷田九段には十分に考えられるだけの時間がない。

K007 (佐々木慎六段)K004 (金井恒太五段)K018

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再開後の一手は▲8八銀打(図)。森内名人は9九飛を責めようとしている。継ぎ盤では▲8八銀打△8九飛成に▲9九金と飛車をもぎ取る順が並べられた。

K009(松尾歩七段と村田顕弘五段が検討に加わった)K021 (松尾七段)K032 (村田顕五段)K014

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18時10分、図の局面で夕食休憩に入った。対局は19時に再開する。
消費時間は▲森内2時間41分、△郷田4時間17分(持ち時間、各5時間)。

H003(夕食休憩中の対局室)H004

H008(残り時間の早見表。郷田九段は残り43分)

H007(17時40分ごろの控室)H006 (継ぎ盤は2面とも▲3七桂△2九飛▲3九金△1九飛成▲4五桂が並んでいたが……)H012 (実戦は▲2四角の王手。「王手?」「すぐに?」の声があがる。写真は中村真梨花女流二段)

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伊藤真四段に形勢を聞いた。
「先手よしは間違いないと思います。どれくらいよいのかと言われると困りますが、あえていえば6-4で先手よしくらいでしょうか。すぐに勝負が決まるということはないと思います」(以下は伊藤真四段の回答)

先手よしは他の検討陣も同じ考えだった。さらに先手よしとみる理由を聞いた。
「まず二枚換え(▲金銀△飛)で先手の駒得です。また現局面は9九香が5六に移動した形とみることができます。これもポイントです。先手の中住まいはまだ寄る形ではありません」

継ぎ盤では図から▲3七桂△2九飛▲3九金が示されている。後手が飛車をどこに逃がしても▲4五桂と跳ねることができる。この桂はすぐに取られることはなさそうだ。

D016(郷田九段)

左手前に見える3枚の紙。右から2枚は棋譜用紙、左端の1枚は残り時間の早見表。これが郷田九段側に出たということは、郷田九段の残り時間が1時間を切ったことを示している。郷田九段は時間の面でも苦境に立たされている。

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