2012年8月の記事

2012年8月17日 (金)

59山崎七段は感想戦で、仕掛け以降の読み筋をすべて吐き出していたように思います。その結果、感想戦は3時間近く行われることになりました。これほど長い感想戦はめったにありません。

本局はいくつかポイントがありましたが、特に印象的だったのが図の局面。「ここで正解が分からなかった。今も分からない」と山崎七段。そして「ここだけは答えを教えてほしかった」とつぶやきました。

山崎七段は誰に対して答えを求めたのか。それは分かりません。感想戦の場にいた誰に対してでもなかったように思います。

午前1時、感想戦は投了近くの局面まで検討されました。
しかし山崎七段は「すみません。すぐに終わりますから」と言いながら局面を上図まで戻します。

再び始まる検討。そしてついに山崎七段は△1四歩を発見します。
「渡辺竜王や羽生二冠ならこう指すような気がする」と山崎七段。そして「見つかって良かった」と小さく息をつきました。
しばらくして丸山九段が盤上に手を伸ばし、駒をひとつずつ駒箱にしまいます。その様子を見守る山崎七段。丸山九段が駒箱を盤上に置き、両者が一礼して感想戦は終了。時刻は1時19分でした。

【棋譜コメントから抜粋】
△1四歩なら後手十分が結論だった。△1四歩に▲6五歩なら△7三桂▲7七桂△8五歩▲9五銀△7五歩▲同歩△4五銀▲同歩△3三桂。この変化は本譜より後手陣が堅い状況で攻めている。

Wdsc_0021
(△1四歩。この手が発見されなければ、感想戦はまだ続いていたかもしれない)
Dsc_0120

2012年8月16日 (木)

107

第25期竜王戦挑戦者決定三番勝負・第1局は丸山忠久九段が勝ちました。

投了以下は(1)△6一玉は▲7二金△5一玉▲5二金まで、(2)△4三玉は▲4四金△4二玉▲3二金まで、後手玉は即詰みです。

終局時刻は22時34分。消費時間は丸山4時間59分、山崎4時間53分(持ち時間、各5時間)。丸山九段は先勝で挑戦者まであと1勝。挑戦者決定戦第2局は9月6日に関西将棋会館で行われます。

7677手目を考慮中に丸山九段は1分将棋に入りました。

検討陣は後手の攻めを考えていますが、先手の▲9六歩型が厄介な形です。6筋を突破するには角を使うことになりそうですが、そうなると斜め駒がなくなり、最後は▲9七玉で余されてしまいそう。後手のうまい攻めが見つかっていません。





Tdsc_0002


(後手側から撮影した継ぎ盤の一例。先手が▲9七玉と逃げている)

71後手玉を直接攻めると反動が厳しいため、丸山九段は盤の左から動きました。後手陣に角を打ち込み、8一桂を取って先手が先に駒得を果たしました。丸山九段らしい手厚い指し回しです。

後手はここで動けないと駒損が響いてきます。果たして手が作れるかどうか。ここからは両者の棋風通り、山崎九段の攻め、丸山九段の受けという展開になりそうです。


2152
(21時52分、丸山九段が71手目▲8一角成を着手)