山崎七段は感想戦で、仕掛け以降の読み筋をすべて吐き出していたように思います。その結果、感想戦は3時間近く行われることになりました。これほど長い感想戦はめったにありません。
本局はいくつかポイントがありましたが、特に印象的だったのが図の局面。「ここで正解が分からなかった。今も分からない」と山崎七段。そして「ここだけは答えを教えてほしかった」とつぶやきました。
山崎七段は誰に対して答えを求めたのか。それは分かりません。感想戦の場にいた誰に対してでもなかったように思います。
午前1時、感想戦は投了近くの局面まで検討されました。
しかし山崎七段は「すみません。すぐに終わりますから」と言いながら局面を上図まで戻します。
再び始まる検討。そしてついに山崎七段は△1四歩を発見します。
「渡辺竜王や羽生二冠ならこう指すような気がする」と山崎七段。そして「見つかって良かった」と小さく息をつきました。
しばらくして丸山九段が盤上に手を伸ばし、駒をひとつずつ駒箱にしまいます。その様子を見守る山崎七段。丸山九段が駒箱を盤上に置き、両者が一礼して感想戦は終了。時刻は1時19分でした。
【棋譜コメントから抜粋】
△1四歩なら後手十分が結論だった。△1四歩に▲6五歩なら△7三桂▲7七桂△8五歩▲9五銀△7五歩▲同歩△4五銀▲同歩△3三桂。この変化は本譜より後手陣が堅い状況で攻めている。
(△1四歩。この手が発見されなければ、感想戦はまだ続いていたかもしれない)