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2023年7月 3日 (月)

二人の和服

本局で着ている藤井棋聖の和服は、昨年の就位式でヒューリックから贈られた副賞の着物の誂えで作ったものです。本局が初のお披露目とのこと。

Dsc_7025001 (朝の藤井棋聖)
【フォト特集】藤井棋聖、就位式で飛躍誓う|産経ニュース】
https://www.sankei.com/article/20221004-WHBQCWC2A5L4JLH7ABKXQSG57A/
【第93期ヒューリック杯棋聖戦 藤井聡太棋聖 就位式|YouTube】
https://www.youtube.com/live/NoteIbE9_XQ

佐々木七段の緑の着物は第1局でも着た、師匠の深浦九段から譲られたものです。

Dsc_6997002 (朝の佐々木七段)

(銀杏)

暑い夏のダブルタイトル戦

藤井棋聖と佐々木七段は棋聖戦と並行して、7日から第64期王位戦七番勝負を争います。ダブルタイトル戦により「十二番勝負」といわれています。
十二番勝負の組み合わせはいくつかありますが、両対局者のように棋聖戦と王位戦を戦った例を調べてみました。

1971年 大山康晴十五世名人-中原誠十六世名人(第18期棋聖戦、第12期王位戦)棋聖戦は中原、王位戦は大山の勝利。ともにタイトル防衛
1980年 米長邦雄永世棋聖-中原誠十六世名人(第36期棋聖戦、第21期王位戦) 棋聖戦は米長、王位戦は中原の勝利。ともにタイトルを奪取。
1992年 谷川浩司十七世名人-郷田真隆九段(第60期棋聖戦、第33期王位戦)  棋聖戦は谷川、王位戦は郷田の勝利。郷田は王位戦でタイトル奪取。
2000年 谷川浩司十七世名人-羽生善治九段(第71期棋聖戦、第41期王位戦)  両方とも羽生勝利。
2005年 羽生善治九段-佐藤康光九段(第76期棋聖戦、第46期王位戦)     棋聖戦は佐藤、王位戦は羽生の勝利。ともにタイトル防衛。佐藤は王座戦にも挑戦して「十七番勝負」に。

棋聖戦と王位戦を連続で挑戦したのは、1992年の郷田九段に次いで佐々木七段は2例目です。
郷田九段は当時四段。四段でのタイトル獲得は史上唯一です(現在はタイトル挑戦で五段昇段する)。

(銀杏)

驚きの一手

20230703_45

図は45手目▲9七桂まで。藤井棋聖が43手目に▲6八玉としたのは、この手を見ていたからのようです。▲9七桂以下は▲8九飛から▲8六歩の8筋逆襲が見えます。43手目で▲6八玉に代えて▲8八玉としていたら不可能でした。
とはいえ、玉に近い囲い側の桂を駒組み段階で端に跳ねるとは何事でしょうか。昔なら「破門」といわれかねない手です。棋聖が指した常識外れの一手に、控室の面々からも驚きの声が上がりました。
現地を訪れている佐藤康光九段は独創的な序盤戦術で知られますが、「▲9七桂は浮かばなかったですね。現代研究の一端でしょうか」といいます。そして、「私は▲8八銀から▲7七桂の展開を予想していましたが、より過激ですね。後手はどこに代償を求めるか長考になりそうです」と話しました。

(銀杏)

Dsc_7140 (控室でも▲9七桂には驚きの声)

午前のおやつ

10時になり、午前のおやつが出されました。藤井棋聖は「究極のガトーショコラ」、「アイスコーヒー(御用邸チョコレート添え)」、佐々木七段は「りんごジュース(御用邸チョコレート添え)」です。

Dsc_7149(藤井棋聖のおやつ)

Dsc_7152 (佐々木七段のおやつ)

(銀杏)

角換わり腰掛け銀から右玉に

20230703_40

図は40手目△6三玉の局面。一度4二に動いた玉が5二から6三に進み、さらに△7二玉と引いて右玉に構えました。手損ですが、角換わり腰掛け銀でも後手は手損するのが主流作戦なので、違和感が少ないかもしれません。先手にとっても後手の右玉は仕掛けの糸口をつかむのが難しい作戦でもあります。
図から▲7九玉△6三銀▲6八玉!
図の前に先手の玉は6八にいたのに、三角を描くようにして動いて元に戻りました、藤井棋聖も手損で相手の様子を見ています。理想形を胸に秘めて複雑な序盤になりました。

(銀杏)

Dsc_6976 (対局前の佐々木七段)

9時30分ごろの控室(2)

控室には作家の柚月裕子さんが訪れています。後日に、産経新聞で観戦記が掲載されます。
柚月さんの長編小説『盤上の向日葵』は将棋を題材にしており、テレビドラマや漫画にもなりました。
柚月さんは前期、前々期にも観戦記を執筆、2021年に藤井棋聖と対談もしています。

Dsc_7130 (勝又七段の解説を聞く柚月裕子さん)

【第92期ヒューリック杯棋聖戦 作家・柚月裕子さんが第1局観戦記 雄姿と雄偉 人の心動かす熱闘】
https://www.sankei.com/article/20210610-UC5LXQ3R5BNUBITAX3ERXDX4AQ/
【第93期ヒューリック杯棋聖戦「一手一手の重み感じたい」 作家・柚月裕子さんが第3局観戦】https://www.sankei.com/article/20220704-MOIBD3F2HBONPNFSFTGMVS4EVE/
【対談【藤井聡太棋聖×作家・柚月裕子氏】「強くなることで何かを達成したい」】
https://special.sankei.com/a/life/article/20210524/0002.html

(銀杏)

9時30分ごろの控室(1)

Dsc_7121 (角換わり腰掛け銀になり、行方九段と八代七段がさっそく継ぎ盤を並べる)

Dsc_7127 (ヒューリックの西浦三郎会長(右)は対局開始に立ち会った)

Dsc_7137001 (9時30分ごろ、佐藤康光九段が来訪)

(銀杏)

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