カテゴリ

2023年4月24日 (月)

後手も三段目に金上がり

2023042426

図は11時頃の局面です。先手が飛車先交換から▲2五飛としたのに対し、後手のほうも△3三金と左金を三段目に上がる指し方を採りました。次に△2四歩と打てば、先手の飛車に当てつつ2筋を収めることができます。現局面で▲2四歩には、△1三桂▲2八飛△2五歩~△2四金で受かっているでしょうか。挑戦者決定戦の大一番は、見たこともないような形になっています。

Dsc_30611 (永瀬王座。「目には目を」の姿勢だ)

(睡蓮)

戦型は相掛かり

2023042417

戦型は相掛かりになりました。図は10時30分頃の局面。後手の飛車先交換に▲7七金と上がって、7六歩を守りつつ8六飛を追ったところです。珍しい指し方で、すでに同一の前例はありません。佐々木七段用意の作戦の一つと思われます。永瀬王座は、▲7七金に10分ほど手を止めています。

Dsc_31231 (タイトル初挑戦を目指す佐々木七段。早々に工夫を見せた)

(睡蓮)

対局開始

Dsc_31391 (定刻になり、開始の礼を交わす)

Dsc_31431 (先手番を得た佐々木七段の初手は▲2六歩)

Dsc_31461 (永瀬王座は△8四歩と応じた)

Dsc_31491 (藤井聡太棋聖への挑戦権を得るのはどちらか)

(睡蓮)

開始前の様子

対局は定刻通りに開始されました。まずは開始前の様子をお届けします。

Dsc_30271 (永瀬王座は9時26分と早い入室だった。着座して眼鏡のレンズを拭く)

Dsc_30331 (扇子、腕時計、水、緑茶、スポーツ飲料、除菌スプレーなどを回りに並べる。脇息には亀の絵柄のハンドタオル)

Dsc_30391 (飲み物のペットボトルを何度も顔に当てていた)

Dsc_30841 (佐々木七段は9時47分に入室。記録係の隣に座っているのは、産経新聞観戦記担当の宮本橘さん)

Dsc_30891 (佐々木七段は扇子と水を近くに置いた)

Dsc_30961 (永瀬拓矢王座)

Dsc_31001 (佐々木大地七段。2月から負けなしで、自己最多の14連勝中だ)

Dsc_31151 (永瀬王座の振り歩先で行われた振り駒の結果はと金が3枚で、佐々木七段の先手と決まった)

(睡蓮)

ABEMAで動画中継

本局は、ABEMAの将棋チャンネルで動画中継も行われます。

【ABEMA 将棋チャンネル】
https://abema.tv/now-on-air/shogi

(睡蓮)

いよいよ挑戦者決定戦

276_3

藤井聡太棋聖への挑戦権を争う第94期ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦は、本日、4月24日(月)に行われます。挑戦者決定トーナメントを勝ち抜いてきたのは、永瀬拓矢王座(写真左)と佐々木大地七段(写真右)です。永瀬王座が勝てば、2期連続3回目の棋聖挑戦。佐々木七段が勝てば、全棋戦を通じて初のタイトル挑戦となります。対局は東京・将棋会館「特別対局室」で10時開始。持ち時間は各4時間。先後は振り駒によって決定されます。過去の対戦成績は永瀬王座2勝、佐々木七段1勝です。
中継担当は棋譜コメントが紋蛇、ブログが睡蓮です。どうぞよろしくお願いいたします。

【棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/94/kisei202304240101.html

(睡蓮)

2022年7月18日 (月)

記者会見

感想戦終了後、20時30分から記者会見が行われました。

Fujii16

―3連覇達成の率直な感想を
藤井 対局が終わったばかりなので、それについてはまだ実感がないのですが、今回、永瀬王座を挑戦者に迎えての番勝負で厳しい戦いになるかと思っていたので、その中で結果を出せたのはうれしく思います。

―10代のうちにタイトル獲得9期となり、上位はすべて永世称号を持っている中で歴代9番目となったことについて
藤井 (長考)いまの段階で意識するわけではないのですが、積み重ねていった先にそういうものが見えてくるのかなあと思います。今後はより精進して、そういうところを目指していけたらと思っています。

Fujii18(15秒を超える長考もしばしば見られた。慎重に言葉を選ぶ)

―長年の研究パートナーの永瀬王座と初めてタイトル戦を戦った感想と得られたものは
藤井 本シリーズを振り返ると第1局は完敗で、第2局も早い段階でこちらが苦しくしてしまったという将棋だったので、まずは序盤の精度を上げなくてはいけないのかなと感じました。(長考)あとは第1局で2回千日手になって、自分にとっては初めてのことだったのですが、普段の対局以上に体力が求められるような展開になったと思います。そういったところも、もっと向上させなくてはいけないのかなと感じました。

―第2局までの厳しい戦いのあと、その反省をどのように生かせたか
藤井 第1、2局では作戦の面で差をつけられてしまったように思ったので、第3局からはより入念に準備が必要かと思って臨みました。

―本局、22手目△2三歩は事前の研究か
藤井 あの局面に進めば△2三歩は指そうと思っていたのですが、そのあと▲3五歩(25手目)の局面で方針が分からなくなってしまったので、局面に対する理解がもっと必要だったかと感じています。Fujii22

―タイトル戦が続いてまとまった研究時間を取りづらいが、対策は
藤井 対局が少なかった時期に序盤について考え直したところもあります。ただ、そういう定跡よりも局面の理解が重要だと思うので、そういうところはよりしっかりしていきたいと思っています。

―地元愛知県でタイトル3連覇を決めたことについて
藤井 地元名古屋の万松寺様で対局場を用意していただいて、以前、見学には伺ったことはあったのですが、今回は対局で訪れることができてうれしく思いました。また、大盤解説会も今回開催していただいて、地元の方に多く対局を見ていただいた中で、こういった結果を出せたことはうれしく思っています。

―師匠からサプライズのケーキは初めてか
藤井 えーと? そうですね、師匠からケーキをいただいたのは初めてだと思います。師匠からは毎年お正月にお年玉をいただいていたのですが、多分、次からはないと思うので、その代わりに今回ケーキをいただいたのかなと思っています。

Fujii20_2

―20歳を迎えるに当たって新しくチャレンジしたいことは
藤井 いまは対局が続いているので、何か始めてみたいことはあまりないのです。20代になるに当たり、実力を高めていくために今後の数年は非常に大事な時期になってくると思うので、そういう意識を常に持って取り組んでいきたいと思っています。

―デビューから6年弱、ここまで重ねてきた実績をどのように感じているか
藤井 (長考)タイトル戦に初めて挑戦したのが2年前のこの棋聖戦ですが、それ以降もタイトル戦の機会を多く作ることができたのはよかったかと思っています。ただ、これからも実績よりは実力を高めていくことが大事だと思っているので、しっかり意識して取り組んでいけたらと思っています。

―10代最後のメッセージを
藤井 対局を見ていただき、ありがとうございました。今日も難しい将棋だったのですが、何とか防衛という結果を出すことができてうれしく思っています。明後日から20歳となりますが、対局は変わらず続くので、次の対局にもしっかりいい状態で臨めればと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします。

Fujii23 以上で第93期ヒューリック杯棋聖戦の中継を終了いたします。ご観戦いただきましてありがとうございました。すでに第94期の一次予選も進行しています。また来期の五番勝負までの熱戦もお楽しみに。

(飛龍)

=== Copyright (C) 2009 >>> The Sankei Shimbun & Japan Shogi Association === All Rights Reserved. ===